太鼓・神輿をはじめとし、あらゆる“祭り”用品の製作、修繕を手掛ける老舗企業、宮本卯之助商店。
前回は職人さんに職人が作業する現場を見せていただき、神輿に限らず太鼓や獅子頭をどのような体制で製作・修繕しているのか?お話を伺いました。
今回は、広報担当者に取材をさせていただき、宮本卯之助商店の取り組みの中でも特に新しい取り組みについてお話いただきました!
※インタビュアー
神輿大好き!神輿エバンジェリスト カツ
オマツリジャパン ライター りか
目次
宮本卯之助商店ってどんな会社?
宮本卯之助商店は、太鼓、神輿などの「祭り用品」を製作、修繕する技術者集団で、祭り好きの間では知らない人はいない…という企業。
始まりは江戸時代。文久元年の創業ということですが、西暦で言うと1861年!
大正時代に宮内庁にお納めする楽器一式を製作して以来、宮内庁御用を賜るようになりました。昭和に入ってからは、東京オリンピックの開会式で演奏された大火焔太鼓を製作。平成には浅草神社御本社神輿(三基)の大修復を手掛けるなど、日本を代表する太鼓・神輿製作の老舗企業として知られています。
神輿・太鼓以外の修繕相談も出来るの?
カツ)オマツリジャパンでお祭りの担い手の方と接する機会が多いのですが、お祭り用品をどう直していいか分からない…というご相談をいただくことがあります。電化製品であれば販売店やメーカーに相談…というのが一般的だと思いますが、お祭り用品だとそもそも購入した当時のことを知る人がいなくなっていることも多く…そう言った場合でも宮本卯之助商店さんにご相談しても大丈夫なのでしょうか?
郡山さん)そうですね。まずはご相談いただければと思います。太鼓や神輿に限らず、祭り用品であればご相談に乗れると思います。東日本大震災の時は獅子頭が津波で流されてしまった…というご相談も多く寄せられましたし。まずはご相談いただきたいですね。
震災の津波で流されてしまった獅子頭を、宮本卯之助商店によって復元した取り組みの一例
裾野を広げる取り組み①海外向けのオンライン教室運営
りか)宮本卯之助商店さんは、もともと太鼓の修繕からスタートし、後に神輿の製作も手掛けるようになった…という歴史をお持ちかと思いますが、伝統的な技術を時代のニーズに合わせて応用していく…というスタンスで取り組まれているのでしょうか。
郡山さん)そうですね。特に新しい取り組みで言いますと、現在の8代目社長の代になってから、太鼓教室をオープンさせました。国内には何ヶ所か拠点を置いていますが、海外向けにはオンライン教室を開いています。「kaDON」という名前で運営しているのですが、海外のスタッフの声も積極的に取り入れるようにしています。
裾野を広げる取り組み②練習用のポータブル太鼓製作
りか)具体的に、海外のスタッフさんの声を受けて、どの様なことが変化したのでしょうか?
郡山さん)先ほどの海外教室のスタッフの声を受けて、製作したのがこちらの団扇太鼓「団扇クランプ」なんですが…
りか)シンバルみたいですね!
郡山さん)そうなんです。太鼓って重くて持ち運びもしにくいことから気軽に練習できないという欠点があったのですが、これはドラムセットにあるシンバル用の台に固定して演奏できる、ポータブルな太鼓です。
カツ)職人さんから「こんなもの作れるか!」って反発はなかったんでしょうか…。
郡山さん)その辺りは職人も柔軟で。「面白そう、やってみようか」となって。もちろん太鼓としてのクオリティには妥協はありませんが、これまでになかった発想も柔軟に受け入れて、むしろ「やってやろう!」と、前向きなんですよね(笑)
裾野を広げる取り組み③国内向けの太鼓教室運営
カツ)太鼓教室は、海外ではオンライン教室を運営されているということですが、国内でもいくつかレッスンスタジオを運営されてるんですね。
郡山さん)そうです。HIBIKUS(ヒビカス)という教室です。先ほど職人に女性が増えているとお話をしましたが、太鼓教室の生徒さんは女性が多いです。エクササイズ目的で気軽に始めて、そのままハマってどっぷり…という方も多いですね。
りか)わかるような気がします!
郡山さん)かく言う私も太鼓が大好きで…。
りか)そうなんですね!是非今度演奏を聞かせて下さい(笑)こうした教室を通して、気軽に太鼓に触れる機会を作り、裾野を広げる取り組みとして実施されているんですね。
郡山さん)そうですね。多くの方に日本の伝統文化を楽しむ機会を持っていただければと思います。もちろん講師の質にもこだわっていますので、本格的に太鼓を極めたいという方にもご満足いただけると思いますよ。
終わりに
今回は宮本卯之助商店の広報担当である郡山さんにお話をお伺いしました。郡山さんも大の太鼓好き…とあって、アツいインタビューとなりました!
インタビューの中でご紹介いただいた、宮本卯之助商店が手掛けるポータブルな太鼓「団扇クランプ」の他にも、電子太鼓「TimbreTaiko」も開発されたんだとか。いずれもこれまでの「太鼓」の既成概念が覆ってしまうような新しい形の太鼓ですね!
伝統技術を大切に守り、継承しながらも新しい取り組みを柔軟に行っている宮本卯之助商店。今後の取り組みに注目です!
※トップ画像出典:江戸村のとくぞう (Edomura no Tokuzo)Wikipedia