色とりどりの個性的な七夕飾り。キラキラと光るその風景に、どんどん吸い込まれていくような感覚だった。関東の中でも有数の七夕祭りの1つと言われる「茂原七夕まつり」。どのようなお祭りなのか、そしてなぜ始まったのか。詳しい内容に迫っていきたい。2023年7月29日に現地を訪れ、感じたことをレポートする。
茂原七夕まつりとは？
茂原七夕まつりは毎年7月下旬に市内商店街で開催される。その規模から関東屈指の七夕まつりとも言われる。約800本の竹飾りなどの七夕飾りで埋め尽くされ、夏の賑わいを作り出す。また、もばら阿波おどりや、YOSAKOI、ダンスイベントなどが行われ、市内外の来場者で賑わう。
茂原七夕まつりの歴史
昭和27年に出来た茂原の人口は当時約3万人。市に昇格したことで、商店街の活気を作り出すことが課題だった。そこで商店主たちが集まり話し合い、仙台など各地の七夕まつりが観光客を多く集めていることを知って、茂原でもこの行事を取り入れることを決めた。
昭和29年に榎本商店街で開催した七夕が非常に盛り上がったため夏の一大事行事にしようと、昭和30（1955）年から本格的に祭りとして始動。この年が第１回七夕まつりということになっている。
個性豊かな飾りに注目！茂原七夕まつり
さあ、現地での様子を振り返っていこう。
さあ、茂原七夕まつりの会場はこちら！茂原駅から徒歩数分の場所に、会場である商店街は広がっている。
この商店街沿いにずーっと続く、七夕飾り。色とりどりで、極彩色の飾りが本当に美しい…。
四角いもの、丸いもの、形は本当にさまざまだ。
天高くに向けて揺らめく七夕飾りにどんな夢を託そうか。
商店街沿いにずらりと並ぶ屋台には、興味深いお店もたくさん！例えば、この茂原名物の焼きそばはなんと300円！通常、お祭りの屋台で提供される焼きそばといえば500円はするイメージなので、とてもお手頃価格で食べられる。
くまのプーさんの飾りも登場！なかなか精巧な作りをしている。
プーさんがくつろぐ姿はどこか愛らしい。
さあ、この商店街ぞいの七夕飾りは、茂原駅から徒歩20分ほどの市役所付近まで続いていた。すごい規模である。市役所前には「天の川」と名付けられた川があり、「七夕のまち」として力を入れておられることを知った。
このお店もユニークだ。ものすごく大きな綿菓子「ジャンボ」を提供しているらしい。こんなに大きい綿菓子食べられるの！？という驚きと、楽しさに満ち溢れている。
たなばた神社という神社もあった。仮設テントが設けられ、そこに供え付けられた祭壇に向けてお参りができるようだ。
横にはオランウータンのぬいぐるみとともに、ポップな手相の看板があった。気軽に入れそうな占いのお店だ。
ステージ上では子どもたちによるダンスパフォーマンスも見られた。
さあ、七夕飾りはずっと続いていく。七夕飾りのトンネルをくぐっているような気持ちになる。まるで、異世界に来たような気分だ。
太陽の光に反射して、キラキラっと輝く飾りが本当に美しい。
風に揺らされてさわさわと音を立てる七夕飾りは、夏の暑さに対する癒しになっている。
ぶわっとめくり上がる七夕飾り。とても迫力がある。
とても見応えある七夕まつりだった。
商店街活性化の願いが結実して、このような賑わいが作り出されていたとは！初来訪の茂原七夕まつを楽しませていただいた。
さあ、夕方から夜にかけては、もばら阿波踊りが行われた。美しい踊り手たちが、各団体個性あふれる構成の踊りを披露していた。踊り手が手をスッと伸ばす時、凛々しさと粋な雰囲気が感じられた。
太鼓は大きく、しっかりと担いでいる姿には堂々としたたくましさを感じた。
さて、夕日に照らされた踊りの姿は美しい。
夕暮れ時になると、七夕飾りのライトアップが始まった。光る七夕飾りはお昼と違って、どこか幻想的な景色を作り出していた。
最後は阿波踊りの総踊りが行われた。沿道からは全く見えないほどの人だかり。建物の上階からでしかなかなか見られないほどの盛り上がりだった。改めて七夕飾りから阿波踊りまで盛り沢山な内容の中で、祭りのパワーを感じた1日だった。
茂原の七夕祭りは今回、初めての来場であった。とにかく長く続く個性あふれる七夕飾りがまず印象的だった。そして、七夕だけでなく、阿波踊りなどの踊りを楽しめるところも見どころだ。30日にはYOSAKOI夏の陣2023も行われたようだ。夏の祭りの楽しみをぎゅっと詰め込んだお祭りだ
参考文献
茂原市市長公室企画課『ふるさと茂原のあゆみ』（昭和61年3月, （株）ぎょうせい）
茂原市役所商工観光課パンフレット『茂原市観光ガイドブック茂原』
国書刊行会『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 茂原』（昭和59年10月）