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「中野駅前大盆踊り大会2020」レポート! みんなの想いを受け取める、多様性の舞台 

2020/9/1
2020/9/4
「中野駅前大盆踊り大会2020」レポート! みんなの想いを受け取める、多様性の舞台 

2020年8月15・16日の2日間、中野区にある「中野セントラルパーク・カンファレンス」にて、「第8回中野駅前大盆踊り大会」が行われました。中野駅前大盆踊り大会という名前を知らなくても2018年に話題となった、Bon Joviで盆踊りを踊る「盆ジョヴィ」と聞けば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか?

過去の中野駅前大盆踊り大会紹介記事はこちら

第8回目の今年は新型コロナウイルス流行の影響を受け、入場者数を制限。さらにはネット配信を用いて盆踊りの様子を生中継するなど、感染対策を徹底しての開催となりました。

今回の特徴はなんといっても生中継のネット配信。お祭りの第2部では、全国で中止となった伝統的なお祭りを行う団体を招待し生中継で演舞を配信。家にいながらも様々な地域の文化に触れられる仕掛けとなっていました。

本記事では工夫を施し新しい場となった、「第8回中野駅前大盆踊り大会」の様子をレポートしていきます。

挨拶

10:00、司会で中野区観光大使のメトロポリちゃんVさんが登場しイベントがスタート。まずは実行委員長を務める鳳蝶流鳳蝶会家元師範・鳳蝶美成 (アゲハビジョウ)先生が挨拶を行いました。

「コロナウイルスの影響がある中でも、想いを絶やさず形を変えてやっていきたい」と今回の開催に至った経緯を説明。

これまでの人生で一年に必ず一回はあった盆踊り、しかし今年は新型コロナウイルスの流行によりほとんどのお祭りが中止となってしまいました。美成先生の知人の大手三味線業者の方も廃業してしまい、「浴衣屋さんや提灯屋さんは大丈夫なのだろうか?」 と不安がよぎったといいます。「当り前として受け取っていた幸せがなくなってしまう。」幸せや楽しみを失わないために何かできないか? という想いが、たくさんの人の協力を得て、今回のwithコロナ流の盆踊り大会へとつながっていったとのこと。

具体的な新型コロナウイルス対策について、実行委員の方に伺うと

・会場のイスとイスとのあいだを2mあける

・消毒用アルコールを各地に設置

・換気を良くする

・体温測定

・ビニール製のパーテーションを設置する

などを行っているそう。

途中には、中野区国際交流協会も登壇した

オープニングの挨拶は、そのままプログラムの第一部「卒業生思い出企画」の紹介へと進んでいきました。

第一部 卒業生思い出企画

第一部は新型コロナウイルスの影響でやむなく発表の場を奪われてしまった、春・夏で引退する小・中学生による演舞です。登場したのはシマオダンスカンパニーのメンバー。

緊急事態宣言中も、リモートレッスンで鍛錬を続け技術を磨き続けた彼ら。リモートレッスンでは、画面越しだと左右が反転してしまうため鏡に反射させて撮影するなどの苦労があったそう。

8月にちなんで8月生まれのシンガー・マイケルジャクソンのダンスや、卒業公演の演目を披露。「3~4か月ぶりにみんなでダンスをした」という子どもたち。演技後のインタビューは、満足感からか笑顔がこぼれていました。

その後は美成先生による盆踊りレクチャーが行われ、第一部は終了です。

第二部 日本全国盆踊り大会

第二部は、「中野チャンプルーフェスタ」や「東京高円寺阿波おどり」など全国で中止となってしまった盆踊り大会を招待し演舞を行ってもらう、というプログラム。各グループ、観覧者の方へ踊りのレクチャーがあり、見るだけでなく踊って文化を体験することもできます。

中野チャンプルーフェスタに出演予定だった沖縄三線奏者・伊藤淳さんの演奏から始まり、東京黒石会による黒石よされ、和樂連の阿波踊り、アイヌ式古式舞踊を踊ったAYNURUTOMTE、ハツラツとしたダンスで会場を盛り上げた燦~SUN~、沖縄の伝統的な踊り・エイサーを披露した学生団体東京中野区新風エイサー、北は北海道・南は沖縄までの伝統を体現する6団体が登壇。

文化的な背景やそれぞれの活動、各地方の説明をし、演舞だけではない大盆踊り大会の場を存分に楽しんでいました。多くの文化を認め、受け入れ、そして時には助け合う。中野らしい多様性に富んだ第2部のプログラムでした。

東京黒石会

和樂連

AYNURUTOMTE

燦~SUN~

東京中野区新風エイサー

縁日

地下にある中野セントラルカンファレンスで生配信が行われる一方、地上の中野セントラルパークではお祭りには欠かせない縁日が開かれていました。もちろん感染拡大防止の工夫も施されています。

会場を柵で囲い、入場を制限。入場口ではアルコール消毒と体温の測定、氏名の記録を行っていました。距離をとって並んでもらうために地面には印がつけられ、売店にはパーテーションが設けられるなど、徹底ぶりがうかがえます。

縁日会場には多くの提灯が飾られ、夜になると「中野駅前大盆踊り大会」の文字を雰囲気たっぷりに浮かび上がらせていました。

お祭りには欠かせない屋台は北海道のザンギや岐阜県郡上市の醤油フランクなど、今回の中野区大盆踊り大会に関係する地方のグルメや飲食店などが出店。お客さんは限られていましたが、和気あいあいと接客に応じていました。

第三部 中野駅前大盆踊り大会

17:00からは、いよいよメインステージ第3部がスタートです。まずは中野区民謡連盟の方々による音頭の生演奏。阿波踊りや中野音頭、東京音頭などに合わせて、大勢の方が自身の椅子の周りで盆踊りを踊っていました。

その後は式典や、2回目の中野区民謡連盟の方々による生演奏が行われ、1人目のスペシャルゲスト・DJ Cellyさんの登場。

直前の取材では「見に来てくれた人だけでなく、画面越しの参加者の方にも、明るい雰囲気を伝えたい」と意気込みを話してくれていました。「盛り上がってますかーー!!??」というという掛け声ともに、フロアの雰囲気は一変。まるでクラブのようなテンポを刻み始め、参加者のボルテージも爆発です。

事前にInstagramでフォロワーにリクエストを募集していたCellyさん。コメントだけでなくDMにまでリクエストが寄せられており「できるだけ応えていきたい」と話していました。その言葉通り舞台では、コメント欄のリクエストに確認できた「盆(ぼん)」のつく曲を多数披露。最後は中野駅前大盆踊り大会の代名詞「盆ジョヴィ」で締め、ステージを後にしました。

その後は中野区民謡連盟が3回目の生演奏。もちろんこの様子もYouTubeで生配信されています。

YouTube配信の様子

そしていよいよ最後のプログラム。壇上には2人目のスペシャルゲストDJ KOOさんが姿を現しました。今年、盆踊り用に浴衣をつくったにも関わらず、これまで一度も浴衣の出番がなかったというKOOさん。多くの分野でイベントなどが中止になった状況を嘆きながらも「まだまだ日本は負けません!!」「気持ちを一つに盛り上がりましょう!!」と来場者に呼びかけました。

締めには「サバイバルダンス」をかけ、フロアは今日一番の盛り上がり。新型コロナウイルスで鬱屈とした雰囲気を吹き飛ばすような熱気のまま、第8回中野区大盆踊り大会は終了となりました。

おわりに

終了後、実行委員長の鳳蝶美成 (アゲハビジョウ)先生に今回の中野駅前大盆踊り大会について伺うと、「こういった状況の中で、少しでもお祭りを続けられてよかった。けれど雰囲気や熱気など伝えられないことも多く、今のままでは真の意味での祭りの継続は厳しいと思う。少しでもやり方の工夫を考えて、継続的にやっていきたい。」「せっかく、中野セントラルカンファレンスという場もできたことだし、多くの人と一緒になって文化を盛り上げていきたいと思います。」との言葉をいただくことができました。

さまざまな催し物が中止となってしまったなかで開催された、今回の第8回中野区大盆踊り大会。

子どもたちや、盆踊り演者の方、縁日の運営者、提灯職人、そして多くの我慢をしてきた参加者の方々など、普段のお祭り以上にたくさんの人の想い受け止め、発散する場となっていたように感じました。

多様性のまち・中野で行われる中野駅前大盆踊り大会。来年の進化に向けて、いまからワクワクが止まりません。

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