陽気も温かくなり、天体観測がしやすい季節になってきました。
特にお子様がいる家庭では、自由研究など夏休みの課題などで天体観測をする機会が増えるかもしれません。ですが、天体観測は意外に難しく、どの位置にある星がどの星で、どの星を結べば星座になるのか分からないことも多いのではないでしょうか。
七夕との関わりが深く、比較的見つけやすいとされる「夏の大三角」も、初めて天体観測をする人には見つけにくいはずです。
しかし、ポイントさえ押さえれば簡単に夏の大三角を観測できるようになります。今回は夏の大三角を見つける方法について、観測する方角や時間帯、おすすめの観測アプリなどをご紹介。
夏の大三角とは?
夏の大三角は、「はくちょう座α星のデネブ」「こと座α星のベガ」「わし座α星のアルタイル」の3つの星を結んだものです。こと座のベガは天の川の織姫星にあたり、わし座のアルタイルは彦星にあたります。
この3つの星にはギリシャ神話と天の川の物語が関わっています。
星の探し方をご説明する前に、まずは各星座にまつわる七夕の物語とギリシャ神話をご紹介します。
夏の大三角にちなむ神話と七夕の物語
夏の大三角を構成する「はくちょう座」「こと座」「わし座」にはそれぞれ神話があります。
・はくちょう座
はくちょう座には神話としていくつかの物語が残されていますが、最も有名なのは「はくちょう座は全知全能の神であるゼウスが化けた姿である」という伝説です。
スパルタの王妃であるレーダーに恋をしたゼウスが、白鳥に化けてレーダーに接近して誘惑しました。白鳥に化けたゼウスが去った後に、レーダーは2つの卵を産み落とし、これが双子座のポルックスとカストールになりました。
七夕の物語では、カササギが天の川の上で翼を広げ、織姫と彦星の橋渡し役となったとされています。
そのため、ちょうど天の川の中央付近に見られるはくちょう座が、その橋渡し役であるという説があります。
・こと座
こと座は、「ゼウスが天に昇らせた星座」と言われています。
琴の名手として知られている神オルフェウスは、毒蛇に噛まれて死んだ妻エウリディケを生き返らせるよう冥王プルトーンに願いました。
条件付きでエウリディケは地上に戻されますが、オルフェウスは条件を破ってしまい、エウリディケは再び冥界に戻ります。打ちひしがれたオルフェウスは琴を弾くことをやめました。
オルフェウスが宴会で琴を演奏しないことに怒った参加者の女性が、オルフェウスに石を投げて打ち殺し、琴と一緒に川に捨てます。哀れに思ったゼウスは彼の持つ竪琴を星座にして天に昇らせました。
七夕ではこの星が織姫様を指すものだとされているため、「おりひめ星」「織女星」などと呼ばれることもあります。
七夕伝説によると、牽牛(ひこ星)の妻であった織女(織姫)は機織りの名手で、素晴らしい布を織っていました。
しかし、牽牛と結婚するようになると2人の時間にふけるようになり、働かなくなってしまいます。
こうした二人の状況を見かねた天帝(織姫の父)は、二人を引き離したうえで、真面目に働けば一年に一回会わせるという約束をしました。
その後、二人は真面目に働くようになり、7月7日の夜に天の川を渡って再開を果たしていると言い伝えられています。
・わし座
神話では、わし座は「ゼウスが遣わした鷲」と言われています。
トロイの国に住む、ガニメドという非常に美しい少年がいました。彼の美しさには男女ともに魅了され、それはゼウスも例外ではありませんでした。彼を自分の側に置きたいと思ったゼウスは、自らの使いである大鷲にガニメドをさらわせ、ガニメドに永遠の若さと美貌を与えました。
七夕伝説では、わし座が彦星に当たります。
七夕伝説の内容については先ほど説明した通りですが、織姫が機織りの名手であるのに対して、牽牛は熱心な牛飼いでした。
織姫と結婚するまでは休みなく働き、牛の体を洗ったり草を食べさせたりと真面目な青年です。
織姫との結婚も、こうした牽牛の真面目な性格を見て、織姫の父である天帝から縁談を持ち掛けたとされています。
このように夏の大三角一つとってみても、国によって伝承が異なります。
夏休みの機会に、星にまつわる伝説や物語を調べてみるのも面白いかもしれません。
方角や時間、見分け方は?
各星座の神話を知ったところで、実際に夜空を見上げて夏の大三角を探してみましょう。
しかし、夏の大三角は「いつ」「どこに」現れるのか分かりませんよね。さらに、星が多すぎて一体どれを結べばいいのか疑問に思うはずです。まずは、夏の大三角について一つずつ紐解いていきましょう。
夏の大三角は6月~9月頃まで真東の夜空に見えます。
6月~7月には東を向いて見上げた位置にあり、8月~9月には頭上に見られるようになります。
なお、夏の大三角を観測するのに最適な時期と時間は、8月上旬の20時~22時です。
簡単に星を探すには東を向いて上を見上げ、一番明るい星を探すようにしましょう。
東の空に見える最も明るい星が「こと座のベガ」、ベガから斜め右下の方向にあるのが「わし座のアルタイル」、斜め左下の方向にあるのが「はくちょう座のデネブ」です。
東の空に見えるベガは、右下の4つの星を結ぶと平行四辺形になるのが特徴です。
七夕は7月7日。月遅れの地域は8月7日になりますが、ともに「東の空」と覚えておけば見つけやすいですね。
おすすめの観測アプリ
夏の大三角を自力で見つけるのは一つの楽しみ方です。家族で協力して星を探せば夏の思い出となるでしょう。
しかし、普段から星を見る習慣がなければ、明るい星であっても見分けることは難しいかもしれません。
「なかなか夏の大三角を見つけられない」という方は、観測アプリを活用してみましょう。
★Star Walk 2
Star Walk 2 で時刻を21:00に設定。けっこう高い位置で、織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)が同時に見れる(*´∀`) pic.twitter.com/we5hTFUpim
— NI-Lab. (@nilab) July 7, 2016
Star Walk 2は簡単に空の検索ができる天体観測アプリです。
Star Walk 2では天体について学べたり、観測のコツを知れたりします。
中でも、夏の大三角を見つけるのに役立つ機能は、AR(拡張機能)を使った「スカイウォッチング」です。
スカイウォッチングでは、デバイスのカメラを使って星座を探すことができます。夜空に向けてカメラを向けると、今見ている夜空に星座の形が表示されます。
Star Walk 2 http://www.vitotechnology.com/star-walk-2-guide-sky-night-day.html
★Night Sky
Night Skyというアプリです(*´∀`*)
無料の範囲でも楽しめます✨画質が悪くてすみません
昼間だとこんな感じで見えます✨ pic.twitter.com/IUHLUVKrEK— 知床上手 (@Shiretoco_Jaws) October 22, 2018
Night Skyは、ヒーリングソングを聞きながらプラネタリウムを楽しめる天体観測アプリです。
Night SkyもStar Walk 2同様、ARを駆使して夜空に浮かぶ星座や惑星などを探すことができます。
この機能を使えば、国際宇宙ステーションの位置を探すこともできます。
Night Skyは星座などを探すだけでなく、見つけた天体についてARで詳しく知ることも可能です。
Night Sky https://www.icandiapps.com/
★星座表
《星座表》というアプリなら星座だけでなく、無数にある星ひとつひとつの情報を調べることができます!
太陽系内の惑星ならば、3D表示で詳細なデータも見ることができます!
理科の先生や星が好きな方におすすめです✨ pic.twitter.com/UEzxqpYAa6
— はっしゅTeacher (@TechnicaApple) March 25, 2020
星座表は、主に夜空に浮かぶ星座を探す天体観測アプリです。
星座表もNight Walk 2やNight Sky同様、カメラを夜空にかざすだけでカメラを通して星座を映し出すことができます。
星座表の素晴らしいところは、映し出される星座の美しさです。
星座には、はくちょう座やオリオン座、ペガスス座など様々なものがありますが、星座表はそれらの星座を美しく幻想的なグラフィックで映し出します。
星座表 http://www.escapistgames.com/sc.html
まとめ
今回は夏の大三角について、神話や見つけ方をご紹介しました。
お子さんと天体観測をすれば、勉強にもなるだけじゃなく、素敵な夏の想い出も作れるはずです。
また、これを機に夏の大三角だけでなく、様々な星座を探してみるのもいいかもしれません。
星座を見るだけでなく、今回ご紹介したように星座にまつわる神話や伝承、星についてぜひ調べてみてください。知れば知るほど、天体観測の楽しみ方が広がりますよ。