「JNTO(日本政府観光局)」の発表によると、2018年の訪日外客数は前年を8.7パーセント上回る3,119万人となり、JNTO が統計を取り始めた 1964 年 以降、過去最高の記録となったことが分かりました。
日本を訪れる外国人観光客が興味を持つものの一つが、日本独自の文化が味わえる場所。その興味の対象もかなり多様化しており、神社やお寺、城跡などに加え地域ごとのお祭りなどにも参加する方が見られます。
外国人が多く訪れる観光地では、外国人観光客からの問い合わせへの対応など、受け入れ態勢の整備が課題となっています。英語での簡単な受け答えであればなんとか対応できる場合もありますが、近年はアジア圏からの観光客も多く、中国語や東南アジア諸国の言語に対応できる人材は多くありません。
そうした悩みへの解決策となり得るのが、オプテージが提供している「クラウド通訳」というサービスです。
この「クラウド通訳」は、スマホ・タブレットを通じて通訳者と会話ができるという特徴を持ち、外国語が堪能でないスタッフでも様々な言語に対応することができます。
今回は、このクラウド通訳が、ユネスコの無形文化遺産にも登録された、岐阜県大垣市の「大垣祭り」で試験導入されたとのことで、実際お祭りの現場に赴き、状況をレポートしてきました!
1.大垣まつりで通訳ツールがスタンバイ
今回クラウド通訳が試験導入されたのは、岐阜県大垣市で毎年5月に開催されている「大垣まつり」です。
この祭りは慶安元年(1648)、大垣城下町の総氏神であった八幡神社が再建整備された際、出しものである軕(やま)を造って曳回したのが始まりと伝えられています。大垣という場所にとってなくてはならない重要行事となっています。
大垣まつりの見どころはなんといっても十三両の軕(やま)による華麗な巡業。軕にはそれぞれ異なる装飾やからくりが設置されており、見るものを飽きさせません。
軕の上では恵比須大神が鎮座していたり、子どもたちが舞を踊っているなどとても華やか。たくさんの出店が並ぶ街中を巡りながら、ダイナミックでハイカラな光景を楽しむことができます。
そんな大垣まつりは、2015年国重要無形民俗文化財指定、2016年ユネスコ無形文化遺産登録など、年々その注目度を増しています。さらに、2018年には大垣市の友好都市であるアメリカのビーバートン市、ドイツのシュットガルト市から訪問団が招待されるなど、海外からの注目も高まっています。
2.外国人観光客の応対に活躍!
今回、クラウド通訳が設置されたのはJR大垣駅改札前にある「西美濃観光案内所」。
取材を行っていると、一人の外国人の方が窓口を訪れたため、早速クラウド通訳を使用します。
タブレットからアプリを起動すると、まずはじめに表示されるのは言語の選択画面。
英語を選択すると、そのまま専属の通訳スタッフとのやりとりができる画面に切り替わります。このようにクラウド通訳は、タップ一つで待機中の通訳スタッフへ繋がることができ、臨機応変なコミュニケーションを取ることができるという「手軽さ」と「正確さ」が最大の特徴になっています。
タブレットで繋がっている通訳スタッフは、外国語スキルだけでなく、会話力の高さも重視して採用しているので、観光客が話した内容を観光案内所のスタッフに変わってヒアリングし、必要に応じて観光案内所のスタッフと連携して、観光客の悩みの解決をしてくれます。
3.臨機応変さと使いやすさに将来的な期待がもてる
今回、クラウド通訳の導入にご協力いただいた、観光案内所の職員の方に、外国人対応の際の悩みについてお話を伺いました。
「案内の際に困るのは、たとえば武将の家紋や名前が書かれたコインロッカーを見た外国人観光客が『このサムライはどういう人なの?』といった風に、歴史的背景などについて尋ねられることですね」と観光案内所の職員である工藤さんはおっしゃいます。
「他の機械翻訳ツールも使いましたが、思ったように変換がうまく行われないなどの不都合もありました。その点、クラウド通訳はネットを経由して人が対応してくれるということなので、正しく情報を伝えられるという安心感がありますね。また、事前に文化や歴史に関する情報や用語を共有することができ、臨機応変な対応をしていただけるということもメリットを感じます」
クラウド通訳は、機械翻訳を主体とした翻訳サービスでは難しい、複雑な構文や細かなニュアンスを踏まえた臨機応変な対応ができることが特徴です。
こういった強みは、大垣のような歴史ある街での観光案内では特に効果が発揮されることが期待できます。その地域の歴史に根差した史跡名や地名などは、形式的な外国語での翻訳がなかなか難しいもの。そんなとき、通訳スタッフを介した、人による通訳があることにより、観光客が文化や歴史をより深く理解していただけるサポートになり得るのではないでしょうか。
4.今後の地方創生におけるクラウド通訳ツールの役割は大きい
外国人観光客の動向と受け入れ態勢の状況について、大垣観光協会の三浦さん(左)村林さん(右)にもお話を伺いました。
大垣市を訪れる外国人観光客の数は、お祭りのシーズンに関わらず年々増加しているそうです。大垣は名古屋からのアクセスが良く、従来から外国人団体旅行客が大垣市内のホテルに宿泊ことはあったそうですが、近年は宿泊だけでなく、街に出て観光を楽しむ外国人旅行者の姿も多く見かけるようになってきたとのこと。そのような環境の中、外国人対応について観光案内所のスタッフ全員が十分にそのスキルを持っているわけではないため、何かしらのツールやサービスに頼ることが必要不可欠になっていくだろうとのことでした。
そんなニーズに答えてくれるアイテムのひとつとして、このオプテージのクラウド通訳も、大きな役割を担っていくことと思います。
2019年のラグビーW杯、そして2020年のオリンピック・パラリンピックを契機に、日本の文化にも改めて世界から注目が集まっていきますが、日本全国のお祭りや文化的施設において、日本文化を正しく伝えるための「的確な通訳」の需要は今後も大きくなっていくことが予想されます。今後も観光案内など様々な場面で、クラウド通訳は活躍していくでしょう。