2020年8月15日、全国8つの団体が連動し、約6時間半、計12企画のオンライン夏祭り「おうちでお祭り騒ぎ!オンライン夏祭り2020」が開催されました。東京・神田明神に併設する「EDOCCOスタジオ」から、全国各地の中止となってしまったお祭りをZOOMやYouTube・Twitter・Facebookでオンライン配信し、全国のみんなで楽しもうという試みです。
今回は場所を超えて楽しむ、新しい形のお祭り「おうちでお祭り騒ぎ!オンライン夏祭り2020」の様子を前編・後編に分けてレポート。
本記事では前編として、オープニングから中盤までのコンテンツをご紹介します。
目次
2つのステージで12のコンテンツを開催!
今回のオンライン夏祭り2020では、2つのステージが用意され、代わる代わる12コンテンツの配信を実施。
一つ目のステージは、「わいわいみんなのステージ」。こちらのステージはYouTube、Twitter、Facebookのライブ放送で、主に”観て楽しむ、画面越しに踊って楽しむ”視聴型のコンテンツを無料で配信。
もう一つの「じっくりやぐらステージ」では事前申込み制による、クローズドな環境での配信を実施。コンテンツは一部有料で、じっくりお祭りを楽しみたい方向けに配信されました。配信にはZOOMが使用され、視聴者と配信側との双方向でコミュニケーションをとりながら配信が行われました。
オープニング
YouTubeには開始前から多くの方が視聴待機してくださっており、多くのコメントが寄せられていました。画面越しにまで熱気が伝わってきそうな勢い。今回のお祭りにかけるみなさんの気持ちが伝わってきます。
そしていよいよ、14:30。フリーアナウンサー・きたおかまお さんと、PALさん、お二人の司会による「みなさん、こんにちはーっ!!」というトークと共に「お家でお祭り騒ぎ!オンライン夏まつり2020」の幕が開けました。
寄せられた、たくさんのコメントを紹介し冒頭からテンションMAXのお二人。会場のスタッフたちも盛り上がっています。
万全のコロナウイルス対策にも触れられ、会場内へのアルコール消毒液等の設置やマスク・フェイスシールドの着用、検温など、国の定めるガイドラインに沿って今回のオンライン夏祭り2020が運営されていることが伝えられました。
また今回のオンライン夏祭り2020では、全国のお祭りを応援すべく寄付金をつのっており、寄せられたお金は支援の気持ちとして全額、各団体へ寄付されます。
最後に本日のスケジュールを紹介し、司会お二人の「汗をかく準備できてますか~!!??」「踊って騒いで楽しみましょう!!」の掛け声で、次のプログラムへ場をつなげました。
「みんなで踊ろう!阿波踊り」
最初の演舞は徳島が発祥の阿波踊り。その起源は400年前にもさかのぼるとされ、優雅さ・力強さを持った伝統芸能として受け継がれています。
今回踊りを披露してくれたのは、東京・高円寺を中心に阿波踊りの活動している「和樂連」。一番の活動の場、高円寺阿波おどりは残念ながら今年は中止、開催されていれば今年で第64回目となっていました。
阿波踊りの特徴は生音で演奏すること。踊りのあとには、普段なかなか解説されることのないお囃子の鳴り物———三味線・大太鼓・締め太鼓・笛・鐘———5種類についての解説がありました。
続いて、阿波踊りを踊ったことのない二人を壇上に招き、踊りの練習。
「手を上げて、足を運べば阿波踊り」と言われるほどの敷居が低さがこの踊りの特徴で、楽しみながら踊れば阿波踊りとして認められるそう。伝統芸能でありながら、厳密なルールがなく自由である点にびっくりです。とはいえ今回はせっかくなので、阿波踊りの中核をなす「手・足・運び」の三つを指導していただくことに。
最後は「ヤットサー」「ヤット、ヤット」の掛け合いで集大成の踊りを披露。
たった数分の指導でしたが、足運びから手先、姿勢まで、たしかに阿波踊りの風格が現れています!! すごい!!
しかし引き換えに、初心者の二人は息も絶え絶え。これからは阿波踊りを観るときには、体力面で尊敬の気持ちがわいてきそうです。二人は「お祭り気分、楽しめました!!」「楽しかったです!」と息を切らしながらコメントしていました。
「盆踊り教室〈~これであなたも盆踊り名人~〉」
【じっくりやぐらステージ】ZOOM会場では、「盆踊り教室〈~これであなたも盆踊り名人~〉」が開始。
講師を務めていただいたのは鳳蝶流鳳蝶会(アゲハ流アゲハ会)のみなさんです。盆踊りの起源や「日本3大盆踊り」・「日本3大流し踊り」の特徴など、かなりニッチな知識まで教えていただき、終始、聞き入ってしまいました。
お話の中で一番心に残ったのは、オンライン夏祭り2020のステージ名にも使われている「やぐら」のお話。
盆踊りは亡くなった先祖に対する踊りのため、死者やあの世との関係が深い風習です。なかでも盆踊りの際に囲んでおどる「やぐら」は、死者やあの世と「交信する」ための神聖な場所なのだそう。
オンライン上の「やぐら」ともいえる、【じっくりやぐらステージ】。もしかしたらあの世とつながっていて「こんな時代が来たのか!?」 と、ご先祖様たちが驚いているかもしれませんね。
「きっと着ずにはいられない あなたの知らない最新ゆかたの世界」
15:20より【わいわい みんなのステージ】で始まったのは「きっと着ずにはいられない あなたの知らない最新ゆかたの世界」。
盆バサダー・大ちゃんこと佐藤智彦さんが、株式会社丹羽呉服店の代表で人気ネットショップ『おべべほほほ』を運営する丹羽隆夫氏に、浴衣のあれこれを訪ねていく企画です。
本来、浴衣とは現代の洋服と同じように普段着として着る服のこと。丹羽さんは実家の呉服屋さんを継いで以降、浴衣の基本に立ち返り、楽天市場での「おべべほほほ」の運営をはじめ、催事用の呉服店から普段着用の呉服店へと方向を転換させていきます。知人のお店を紹介する際は「ジーンズショップのような呉服屋です。っていう形でやらしてもらってます」と話していました。
企画内では、そんな丹羽さんと着物との出会いや「おべべほほほ」の名前の由来、今期のトレンドなどを深堀り。終盤にはオマツリジャパンスタッフ・大塚さんが出演し、彼女ににあう浴衣を選ぶコーディネート勝負が行われました。選ばれた浴衣はどちらも涼しげで素敵な浴衣。大塚さんが選ぶのはいったい……!?
最後に丹羽さんは「こうやって浴衣を楽しんでくれる人が増えてくれたらうれしいです」と締め、なんと丹羽さんのお店・丹羽呉服店による特別特典も発表!視聴者コメントには 「浴衣きれいだな」「見てみたいな」などなどの感想も。気になった方はYouTubeのアーカイブをチェックです!!
「お祭り未来会議 ~祭りの灯を絶やすな」
次に、わいわいみんなのステージで始まったのは「お祭り未来会議 ~祭りの灯を絶やすな」。
オマツリジャパンの共同代表取締役・山本陽平さんや、鳳蝶流鳳蝶会の家元師範であり、中野駅前大盆踊り大会実行委員長・鳳蝶美成(アゲハビジョウ)氏(本名・瀧田哲則氏)、独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所無形民俗文化財研究室長・久保田弘道氏がトークセッションを行いました。
「お祭り2.0 お祭りのミライを考える オンラインワークショップ」
「お祭り2.0 お祭りのミライを考える オンラインワークショップ」では、株式会社あんふぁに代表・Mac船水氏がゲストとして出演。一般参加者や子どもたちを招いて、これからのお祭りについて楽しく考えていきます。
ハード面を考える「お祭り未来会議」、ソフト面を考える「お祭りワークショップ」といったところでしょうか。
どちらもとっても濃い内容となり、有意義な時間となった様子。
ワークショップの詳細は、レポート記事が公開されていますので、そちらをご確認ください。
「お祭り2.0 お祭りのミライを考える オンラインワークショップ」レポート記事はこちら
「みんなで踊ろう! 泉州音頭」
17:20から開始されたのは、大阪より生中継の「みんなで踊ろう 泉州音頭」。
宝龍会の皆さんが、やぐらを中心にして盆踊りを披露。なにより特徴的だったのは、オンラインでもしっかりとたてられたやぐらに、入れ替わり立ち替わり登壇する、音頭取りの方。任された演目・演者さんにより歌詞だけでなく、ゆったり~はやいと、ペースまでもが目まぐるしく変化していくんです。「次はどんな演舞を見せてくれるんだろう??」とワクワクしてしまいました。
「阿波踊り×牛深ハイヤ教室 〈~これであなたも盆踊り名人~〉」
そのころ東京・神田スタジオでは、「阿波踊り×牛深ハイヤ教室 ~これであなたも踊り名人~」が始まっていました。
ステージの様子は、ZOOM会場【じっくりやぐらステージ】で配信。阿波踊りと牛深ハイヤが続いて披露されました。
使う楽器や形式、こころなしか浴衣の雰囲気まで。似ているところの多い、「阿波踊り」と「牛深ハイヤ」。それもそのはず、徳島が発祥の阿波踊りですが、その由来とされてるのが、熊本県の最南端・天草市牛深町に伝わる踊り「牛深ハイヤ」なのです。
江戸時代、港町として栄えた牛深町。港に立ち寄る漁師を迎えるため、港街の住民が踊りを披露し、漁師たちの間で話題となり、全国に広まったのです。それらはやがて、地域の文化と融合し、徳島の阿波踊りなどの様々な踊りへ発展していきました。牛深ハイヤの船をこぐ動作や綱を引く動作、そして白波模様の浴衣は漁業を現わしていたんですね。
その後は、阿波踊り・牛深ハイヤ、それぞれがお互いに自分たちの踊りをレクチャーしあい、踊りや文化についてのマニアックなクイズが出題されました。
出題されたクイズのひとつをご紹介すると「阿波踊りの際、女性が着用するぼうしのなかには何が入っているのか?」というもの。選択肢は3つ。
A.あんこ
B.あめ
C.夢
みなさんはお分かりですか???
答えはこの段落の終わりにお伝えしますね。
最後は牛深ハイヤ・阿波踊りをたて続けに踊って終了。演者の方々はもちろん、スタッフたちも笑顔で踊りを楽しんでいました。
答え:A.あんこ 「ええ!!? あの甘いあんこ!?」と思われるかもしれませんが、そうではなく、商品カバンなどに入れ、膨らませて見栄えをよくするために用いられるあんこ、つまり詰め物のことです。選択肢Bのあめにつられて思わず食べ物だと思ってしまいました。巧妙な手口。やられました……。
―――
前編はここまで。
たくさんの文化やお祭りについて知ることができましたが、オンライン夏祭りはまだまだ中盤。フィナーレに向かってどんどん盛り上がっていきます!!後編では、多くの方にご参加していただいた「ご当地ガールズコレクション~PR対決編~」や、激しい踊りが特徴の「桐生八木節教室~これであなたも踊り名人~」、そして集大成の「フィナーレ」などの様子をご紹介していきます。お楽しみに!!