「大祓(おおはらえ、おおはらい)」とは、日常生活を過ごしている間についてしまった、穢れや災難、また、犯してしまった罪や過ちを祓い清めることを指します。大祓は夏と冬の年二回行われ、夏は「夏越の祓」と言い、冬は「年越の祓」と言います。ここでは大祓についてご紹介します。
大祓の歴史
まず、大祓はいつ頃から始まったとされているのでしょうか。起源とされるのはなんと、『日本神話』の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の祓祓い(みそぎはらい)だそうです。やがて、大宝元(701)年の「大宝律令(たいほうりつりょう)」により、正式な宮中の年中行事に制定されました。さらに時代はくだり、中世以降、各神社で定例行事として一般化し、現在では多くの神社でごく普通に行われています。ところで、「夏越の祓」と「年越の祓」は具体的には、どのようなことを執り行うのでしょうか。夏越の祓に関しては、前回ご紹介した「茅の輪くぐり」は簡単に、またそれ以外の作法もご紹介したいと思います。
「夏越の祓」について
「夏越の祓」は、六月三十日に行われる夏の大祓ですが、その作法はいろいろあります。まず、おとなでも通れるほどの大きさの茅の輪を「神拝詞(となえことば)」を唱えながらくぐることで、心身を清めて、罪や穢れを体からぬぐいさり、年越の大祓までの半年を一新した心持ちで過ごすことができるように祈る神事です。あと、穢れを人形(ひとがた:紙を人のかたちに切り抜いたもの)に託し、祓い清めて川や海に流したり、お焚き上げをしたりします。また、この日に小豆をのせた三角形のういろう「水無月」を食べる風習がある地方もあるそうです。
「年越の祓」について
「年越の祓」は、十二月三十一日に行う冬の大祓です。穢れを人形に託すところは同じようですが、茅の輪を備え付けていない神社が多いようです。確かに茅の輪は、夏の風物詩の感こそあれ、冬のイメージはあまりないと思います。前回、茅の輪くぐりについて詳しくお伝えしました。そこでこちらでは、夏の風物詩である茅の輪ができた背景と歴史についてご紹介したいと思います。
「茅の輪」の意味
現在、神社で設けられている茅の輪は、人がくぐり抜けできるほどの大きさだと思います。ところが一説によると、茅の輪は元来、小さなものを腰につけるスタイルだったそうです。この腰に茅の輪を腰につけるスタイルは、素戔嗚(スサノオ)神社の「蘇民将来伝説」に由来します。武塔神の指示に従って茅の輪を腰につけたところ災厄から免れたという逸話から、小さな茅の輪を腰につけていたようです。やがて時代が下るにつれ大きくなり、江戸時代初期になると、今のような大きな茅の輪をくぐり、罪や災いを取り除く神事になったそうです。
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