加賀前田藩2代藩主・前田利常の隠居城・小松城の城下町として栄えた小松市。このまちで毎年5月に行われる菟橋神社・本折日吉神社の春季祭礼は、「お旅まつり」と呼ばれ、豪華絢爛な曳山とその上で上演される子供歌舞伎は全国的に有名です。
2023年も5月12日（金）から15日（日）にかけて盛大に行われます。
この記事では、2022年の開催レポートと共に、2023年の開催情報をお届けします。
石川・小松のお祭り
石川県の南部に位置する小松市。西で日本海に面し、南では福井県と県境を接する街です。江戸時代初期には、加賀藩第三代藩主の前田利常が隠居地として小松城に入城。以降も加賀藩の支城として残ったため、小松は城下町として発展してきました。この小松市で、毎年5月第二金曜日から日曜日にかけて三日間行われているお祭りがあります。「お旅まつり」です！
3年ぶりの曳山曳揃え
2022年の今年は、5月13日から15日に開催のお旅まつり。オープニング式典が行われる二日目の14日に小松へとやってきました！お祭り会場へのアクセス拠点となるJR小松駅を出ると、早速お祭りの開催を知らせる看板が目に入ってきます！
街を歩くと、早速曳山が出ていました！金と黒で塗られた屋根が立派ですね！
各町の曳山が、曳山曳揃えの会場に向けて進んでいます。曳山曳揃えとは、お旅まつりに参加する8つの曳山が一堂に会する場のことで、見どころとして知られています！今年は3年ぶりの開催となりますが、感染症対策などの観点から今回は5つの曳山で集まることになっています。
アーケード商店街の中からも曳山が登場！こちらは八日市町の曳山です。
曳揃えの会場へ入るためには、曳山を回転させなければなりません。てこ棒を使い、器用に回転させていました！
さあ、だんだん曳山が集まってきていますよ！
石川県小松市で、お旅まつりが開催されています！3年ぶりの子供歌舞伎実施に向け、曳山が集まってきました！#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/ByhXhYWLvn
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) May 14, 2022
後ろから見ても見事です！
5つの曳山が勢揃いしました！整然と並んでいる姿は圧巻ですね！
子供歌舞伎を披露！
曳山が勢揃いした後はこちらも3年ぶり、子供歌舞伎の披露が行われます！と、その前に15時からオープニングイベントが開催され、そのスタートは踊りで華やかに飾られました！
式典が進められ、小松市のイメージキャラクターのカブッキーや、こまつ姫御前も登場し曳山に色を添えます！
さあ、子供歌舞伎がはじまりますよ！その口火を切るのは、こちらも名物の口上です！どんな心意気で、これから何を行うのか、高らかに宣言されました！
一つ目の演目は、八日市町曳山で行われる「絵本太功記十段目 尼ケ崎閑居の場」。明智光秀をモチーフにした、武智光秀が主人公の物語です。
そしてこちらは息子の十次郎と許嫁の初菊。ここから戦国時代の悲しい物語がはじまります。
話は本能寺の変の後、十次郎が初陣を果たそうとするところからスタートします。
母や祖母と共に祝言を上げ、無事初陣へと向かう十次郎。
ここでシーンが変わり、武智光秀の登場です！
登場するや否や竹槍を作りはじめるのですが、これがキーアイテムになります。
なんと誤って、母親の皐月を刺してしまうのでした…。
そこに初陣で深手を負った十次郎も帰還。
見事な立ち姿を見せますが、そのまま絶命してしまいます。
史実の本能寺の変後のキーパーソンといえば豊臣秀吉ですが、今作では真柴久吉と言う名で登場しています。加藤清正ならぬ正清と共に、三武将が戦場で改めて合間見えようと言うところでお話が終了です！
三武将揃い踏みで、子供歌舞伎「絵本太功記十段目 尼ケ崎閑居の場」が閉幕しました！#お旅まつり #祭り #オマツリジャパン #石川 #小松 pic.twitter.com/J139uKSAoO
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) May 14, 2022
ちなみに会場の様子はこんな感じ。たくさんの方が子供達の活躍を見守っていました！
なお今年は感染症対策の観点から初の試みで、整理券による入場制限を実施。試行錯誤しながらお祭りを開催されている、関係者の皆様には感謝ですね！
二つ目の演目は、寺町曳山で行われる「男の花道」。人気の女形役者、歌右衛門と医師の玄碩（げんせき）の友情を描いた物語です。
こちらが大阪の花形役者の歌右衛門。江戸での成功を信じていましたが、目の病気になって命を絶とうとしてしまいます。
そこに現れたのが、眼科医の玄碩。見事治療を施し、歌右衛門の目を見えるようにすることができました！
それから数年後、玄碩が旗本の柏原との宴席で、命懸けの危機に陥ってしまいます。その命を守るためには、旧知の歌右衛門を宴席に呼ぶしかないのですが…。
所変わってこちらは歌右衛門。見事目も完治し、江戸で人気役者として成功していました！
飛び芸にご注目！見事な技の数々です！
そんな折に、玄碩からの手紙が届きます。なんとか芝居を中座して玄碩の元へと向かおうとします。
ですが、観客からは「どうした？」「なぜ芝居を止める？」の声が。事情を話し、観客に納得してもらう場面は見どころです！
男の花道の見どころの一つは、やっぱりこの大向うの方々との兼ね合いですね！歌右衛門の見せ場でもあります！#お旅まつり #子供歌舞伎 #祭り #オマツリジャパン #石川 #小松 pic.twitter.com/vvWG03ofdu
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) May 14, 2022
刻一刻と切腹の時間が迫り、ついに短刀を手にしてしまう玄碩。
とそこへ、歌右衛門が現れました！どうにか間に合ったのです！
そして見事な踊りを披露した歌右衛門。
一件落着！男の友情で、めでたく演目が終了となりました！
夜は煌びやかに
昼の部と夜の部が行われた子供歌舞伎。日が落ちると曳山へライトが灯り、昼とはまた違った光景を楽しむことができます。全ての演目が終わり、曳山の前で役者の記念撮影が行われていました！
闇夜に煌めく曳山の数々。美しいですね！
その後曳山は曳揃えを解消し、各々の町へと帰って行きました。
お旅まつりは、菟橋神社（うはし じんじゃ）と本折日吉神社の春季祭礼で350年以上の歴史があると言われています（子供歌舞伎は250年）。お祭りの大元の一つ、本折日吉神社の境内には今年も屋台が出ており、地元の子供たちで賑わっていました！例年ですと道路いっぱいに屋台が並びますが、今年はこちらのみとなっています。
周辺情報・アクセス
小松市内は、アーケード商店街が連なっているのも見どころの一つです！こちらは子供歌舞伎が演じられた曳山の拠点、八日市商店街の様子。
アーケードだけでなく、古い街並みが残るのも小松市の魅力になります！こちらの北国街道沿いをはじめ、小松市は空襲被害が無かったために、歴史ある風景を楽しむこともできる街です！
続いてご紹介するのが、小松城天守台！一説には金沢城の二倍の規模を誇ったと言う小松城の遺構を見ることができます。
天守台近くの芦城公園（ろじょう こうえん）は元々小松城内だった場所で、見事な庭園が残され必見です！
お次は安宅の関（あたか の せき）。歌舞伎の演目になるなど有名な場所で、源義経の危機を救った武蔵坊弁慶のエピソードが知られている土地です。
また安宅の関は日本海のすぐ側にあり、天気が良い日はこんな夕日を楽しむこともできるスポットですよ！
安宅の関で見た夕日。弁慶の勧進帳で有名な場所ですが、こんな素晴らしい景色が味わえるとは！ pic.twitter.com/XfMHcCVYAu
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) May 14, 2022
■小松市へのアクセス
【金沢から】JR北陸本線で約30分。
【大阪から】JR特急サンダーバードで約2時間30分。
【名古屋から】JR特急しらさぎで約2時間40分。
【東京から】羽田空港から小松空港へ、約1時間。
小松駅からお祭りのメイン会場となる「こまつ曳山交流館みよっさ」前までは徒歩約3分です。
2023年開催情報！
日程：2023年5月12日（金曜日）～5月14日（日曜日）
会場：小松市中心市街地ほか
内容：
・曳山子供歌舞伎上演 5月12日（金曜日）～14日（日曜日）
演目
【京町】義経千本桜 河連法眼館の場（よしつねせんぼんざくら かわつらほうげんやかたのば）
【大文字町】鬼一法眼三略巻 今出川菊畑の場（きいちほうげんさんりゃくのまき いまでがわきくばたけのば）
・曳山曳揃え 5月13日（土曜日）18時30分～21時
場所：JR小松駅前
