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「おわら風の盆」とは?富山を代表する幻想的なお祭りの見所や2023年の開催情報は?

2023/6/15
2023/6/15
「おわら風の盆」とは?富山を代表する幻想的なお祭りの見所や2023年の開催情報は?

夏には日本各地でさまざまなお祭りが開催されていますが、富山県を代表する幻想的なお祭り「おわら風の盆」はご存知でしょうか。これは、美しい日本文化の1つである伝統的な踊りや音楽を、静かに味わいたい方におすすめのお祭りです。

「おわら風の盆」は、例年9月1日〜3日までの3日間、富山県越中八尾町にて行われます。この記事では、「おわら風の盆の基本情報」や「おわら風のお盆を楽しむために知っておきたいこと」についてご紹介します!

おわら風の盆とは

©(公社)とやま観光推進機構

まずは、おわら風の盆とはそもそもどんなお祭りなのか、その概要をご紹介していきましょう!

おわら風の盆とは、富山県越中八尾町(やつおまち)で毎年9月1日~3日に開催される富山県を代表するお祭り。この地で300年あまり踊り継がれてきた「越中おわら節」を伝承する大切な行事です。風害を鎮めて今年の豊作を祈るこの民謡行事は、哀愁漂う音楽と美しく艶やかな踊りが特徴的で、なんと毎年全国から25万人以上の見物客が訪れます!

 

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「おわら」とは

「おわら」の語源には諸説ありますが、一説では、江戸時代に唄の中に「おわらい(大笑い)」という言葉を入れて町内を練り歩いたのが「おわら」と唄うようになったと言われています。他に、小原村の村娘が唄い始めたことによる「小原村説」や豊年万作を祈念した「おおわら(大藁)」など諸説あります。

「風の盆」とは

開催される9月1日ごろは、立春から数えて二百十日に当たり、ちょうど台風到来の時節に当たります。昔から収穫前の稲に被害が及ばないよう願って「風の盆」という豊作祈願のお祭りが行われてきました。また、おわらの盆が開催される富山では、休みのことを「ボン(盆日)」と呼ぶ習わしがありました。「種まき盆」「植え付け盆」「雨降り盆」などがあり、「風の盆」の名前の由来は、その「盆」にあるのではないかとも言われています。

どんなお祭り?

おわら風の盆は、静寂の中で静かに見て、聴くお祭りです。この行事は、町の全てが会場となります。住民全員が行事に携わるため、町の人は約3分の1ずつの割合で囃子や踊り・運営や警備・家を守るといったそれぞれの役割を持ちます。演舞会場や一部の施設以外は、入場料や観覧料は無料です。大声を出して賑やかに騒ぐお祭りではないため、観光客は特にマナーを守る必要があります。

おわら風の盆前夜祭

3年ぶりの開催となった2022年は中止となりましたが、例年は8月20日~30日まで前夜祭が開催されていました。もともとは各町で行われていた練習の延長でしたが、当日の激しい混雑を解消する目的もあって、本番の雰囲気はそのままに、よりゆっくりと楽しむことができる前夜祭が定着しました。

前夜祭が開催される11日間は、八尾にある11の町が毎晩交代で担当し、町流しや輪踊りなどが行われます。期間中は、八尾曳山展示館にて踊り方の解説やステージ出演を観覧した後、その日を担当する町内で踊りを見て楽しむという過ごし方ができます。

おわらの歌

ここでは、おわらの歌の種類やおわらの歌の豆知識、おわらで使われる楽器についてご紹介します。

おわらの歌の特徴

おわらの歌詞は七・七・七・五の26文字で構成されており、最後の5文字の前にかならず「オワラ」を入れています。これは、おわらの語源の一説にある「おわらい節」の名残という説があります。この26文字の歌を「正調おわら」や「ひらうた」と呼びます。さらに、「正調おわら」の頭に5文字をかぶせて31文字にした歌を「五文字冠り」、七・七・七と言葉を重ねて最後に5字で結ぶ歌を「字余り」と呼びます。これらの歌は唄い手の力量が試されるため、おわらの味でもあります。

おわらの歌の豆知識

現在のおわらの歌を創ったのは名手・江尻豊治と言われています。本格的に浄瑠璃の修行をした江尻豊治は、持ち前の美声と特有の唱法によっておわら節を洗練させました。昭和5年の句集「二百十日」には、江尻豊治の唄を聴くために夜12時頃に200人近い聴衆が集まったと記されていることから、江尻調が非常に人気があったことがうかがえます。

おわらで使われる楽器

踊り手に対して、歌と楽器を奏でる役割の人たちを「地方(じかた)」と呼びます。おわらの地方は唄い手と囃子、三味線、太鼓、胡弓(こきゅう)を指します。三味線はおわらにおいて最も大切な役割を担っています。おわらの三味線は「探り弾き」という演奏法によって、独特の重厚なリズムを奏でます。胡弓は、おわら特有の哀調の音色を奏でますが、八尾では目立たないように演奏するように教えられます。それぞれの楽器が互いに主張しすぎないようにすることによって、静かで哀愁漂う音色が生まれます。

おわらの3通りの踊り

ここでは、「豊年踊り」「男踊り」「女踊り」の3通りの踊りについてご紹介します!

豊年踊り(旧踊り)

豊年踊りは古くから踊られている踊りです。種まきや稲刈りなどの農作業の所作を取り入れた舞踊の要領で表現されています。男踊りと女踊りを「新踊り」と呼ぶため、豊年踊りを「旧年踊り」と呼ぶこともあります。

男踊り

男踊りは、日本舞踊の若柳吉三郎によって振り付けられた男性の舞台用の踊りです。直線的力強さを持ちながらも、豊年踊りと同様に農作業の所作を表現しています。

女踊り

女踊りは、「四季踊り」とも呼ばれ、女性の舞台用に振り付けられました。画家・俳人でもあった小杉放庵が八尾の春夏秋冬をうたった「八尾四季」を基に振り付けられたのが最初です。男踊りと同じく振り付けは若柳吉三郎が担当しており、日舞の艶やかさが特徴的です。

おわら風の盆の楽しみ方

おわらの踊りと演奏や歌の楽しみ方は、大きく分けて2つ。演舞場で有料で観覧する方法と、おわら保存会11支部がそれぞれの町で日程を決めて行う「町流し」を見る方法です。ここではその2つと、事前に知っておくと役立つ情報をご紹介します。

9月1日・2日・3日の行事の違い

日によって行事の時間帯が異なります。明るい時間におわらを楽しみたい方や写真を撮りたい方は、午後3時から踊りが開催される1日・2日に参加するとよいでしょう。

人出の目安

2016年には1日に9万人、2日に7万人、3日に8万人の計24万人の見物客が集まりました。特に演舞会開催時間帯は非常に混雑するため、早めに目的地に到着しておくことをお勧めします。

おわら演舞場の内容

コロナ禍前の2019年まで、おわら演舞場では、おわら保存会の11支部と八尾高校郷土芸能部が、午後7:00~午後8:35頃まで、3日間各支部の踊りを披露していました。町流しでは全ての支部の演舞を見ることは難しいですが、演舞場なら見逃してしまう心配がありません。支部によって振り付けや着物のデザインが異なる点も、見どころの1つです。
会場は全て椅子席となっているため、ゆっくりと踊りを楽しめます。チケットは、指定席と自由席があるので、前もって購入しておきましょう。

演舞場の踊りを見るためには

演舞場は、JR越中八尾駅から約2キロメートル離れていて、徒歩では40分程度かかります。駅前や演舞場へ向かう途中の町内でも町流しが行われているため、踊りを楽しみながら移動することができます。
また、「八尾ゆめの森テニスコート駐車場」と「富山市八尾スポーツアリーナ駐車場」から演舞場近くまで例年、シャトルバスが運行しています。乗車には協力金として1人500円必要です。「専用乗降所の町民ひろば」から約1キロメートルで徒歩20分程度歩けば、観光バスもあります。

町流しとは

 

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おわら風の盆は旧町と呼ばれる東新町、西新町、諏訪町、上新町、鏡町、東町、西町、今町、下新町、天満町の10町と井田川をはさんだ対岸の福島を併せた合計11の町で行われます。各町に「富山県民謡越中八尾おわら保存会」の支部があり、支部ごとに日程を定め、それぞれの町の通りを唄い踊りながら練りまわるのが「町流し」です。

町流しには踊りと地方が組み合わさったものと、地方だけのものがあります。注意したいのが、演舞場出演や休憩・食事などによって中断する時間もある点です。また、道が非常に混雑した場合は町流しが行えなくなってしまうこともあります。町流しは例年混雑しているため、待っているエリアに時間通りに訪れることができない場合もあります。その場合は、静かにマナーを守って待ちましょう。

町流しの詳しい情報

おわら風の盆を行う区域は南北に約3キロメートルほどあり、11支部が町流しを行う場所はその区域中に点在しています。支部ごとにロケーションや雰囲気、踊り方や衣装が異なり、上新町では観光客でも参加できる「大輪踊り」が行われるなどの違いがありますので、あらかじめ支部ごとの特徴や地理をよく確認してから、観覧することをおすすめします。

おわら風の盆の行事終了後も、少人数が集まった深夜の町流しを見ることができますが、騒がしい場所や混雑している場所は避けて通るため、見られない可能性もあります。町流しを観覧する際は、マナーやルールを守って楽しみましょう。

おわら風の盆の開催案内

開催日時・場所

2023年の開催情報はまだ発表されていませんが、おわら風の盆は、例年9月1日~9月3日に開催されます。
2022年は縮小開催だったため変則的でしたが、コロナ禍以前の2019年までは通常通り、おわらの踊りをじっくり見ることができる「演舞会」と、町の中でお祭りの雰囲気に包まれて踊りを観覧できる「町流し」を楽しめました。
以下では例年のものを参考情報として紹介しますが、実際にお祭りに行く前に、必ず2023年の最新の情報をおわら風の盆公式サイトなどでご確認ください。

◎「おわら演舞場」で行われる演舞会

2022年は演舞会は中止でした。コロナ禍前の2019年は富山市立八尾小学校グラウンドにて9月1日~9月3日、午後7:00~午後8:55分に行われました。雨天中止・ペット同伴不可です。演舞場の入場料は、指定席が3600円、自由席が2100円でした(2019年)。

◎町流し

11支部ある各町内会が決めたコースで町流しが行われます。雨天の場合は中止となります。2022年は開始時間を2時間ほど後ろ倒しして行われましたが、コロナ禍前の2019年は9月1日・2日が午後3:00~午後11:00まで開催(午後5:00~午後7:00は夕食や休憩時間)。9月3日は午後7:00~午後11:00の時間に開催されました。最終日だけ時間が異なるため注意して下さい。

◎おわらの隠れた見どころ

実は、おわら風の盆の隠れた一番の見どころともいわれているのが「夜流し」です。最終日の9月3日は、午後11時頃を過ぎると「おわら風の盆」は終了となります。しかし、そこからが本当の民謡行事といっても過言ではありません。
深夜からは「見せる」のではなく、自分たちが楽しむために踊ります。おわらの盆で踊れる女性は「25歳までの未婚」と決められていますが、公式行事が終わった後は、ベテランの踊り手も参加します。迫力のある踊りを見られること間違いなしです!

日中の過ごし方

 

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おわら資料館の見学、町並みや城ケ山公園の散策をしながら踊り場の確認をすることをおすすめします。また、八尾町は坂が多く、道幅が狭いため、動きやすい服装で時間に余裕を持って行動することをおすすめします。

また、過去には富山市八尾曳山展示館にて「おわら踊り方教室」が行われていました。

おわらのお土産

 

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おわらの代表的なお土産は、和紙民芸品や各種銘菓、おわらのCD・DVDなどがあります。また、おわら風の盆の開催期間には、お土産品のラインナップが豊富です。上新町の「なりひら」や「富山市八尾曳山展示館」では年間を通してお土産品が販売されています。

おわら風の盆を見るときの注意点

おわら風の盆の観覧の際には、いくつか注意点があります。伝統的な民謡行事のため、ルールやマナーを守りましょう。

フラッシュ禁止

おわらは提灯の繊細な灯りによる幻想的な雰囲気が特徴です。フラッシュ撮影は雰囲気を壊してしまうため、控えましょう。

宿泊の予約は早めに

おわらの風の盆の開催時期には、観光客が殺到するため、宿泊の予約が取れないケースも少なくありません。早い時期に予約しておきましょう。

雨天中止

胡弓や三味線は湿気に弱いため、雨天の場合はおわらは開催中止になります。購入販売店にてチケットの払い戻し手続きを行えます。

土日の混雑

おわら風の盆の開催期間の土日は一層混雑するため、交通手段や移動時間などに注意する必要があります。

休憩する場所や施設がないこと

八尾には30店舗ほど飲食店がありますが、基本的に休憩する場所や施設がないことを念頭に入れておきましょう。案内所や仮設トイレは「JR越中八尾駅前」「演舞場」「富山市八尾曳山展示館」「バスの乗降場」などの各主要な場所に設置されており、案内所にはガイドマップが用意されています。

おわら風の盆を存分に味わおう!

この記事では、富山県を代表する幻想的なお祭り「おわら風の盆」についてご紹介しました。お祭りといえば、わいわい盛り上がるイメージがありますが、「おわらの風の盆」では一味違った雰囲気のお祭りを楽しむことができます。支部によって異なる振り付けや着物を見ることができるのも魅力的です。ぜひ、今年は夏をしめくくる思い出作りに「おわら風の盆」を見に行ってみてはいかがでしょうか。

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