1年を通してさまざまな記念日が定められている中、耳を疑うようなユニークな名称の記念日を耳にすることがありませんか?
そんなユニークな記念日のひとつに、オカルトブームの火付け役になったホラー映画「エクソシスト」が日本で初公開された日付に由来した、7月13日の「オカルト記念日」があります。
「オカルト」は本来、秘学・神秘(的なこと)・超自然的なものを意味する言葉。この記事ではオカルト記念日にちなみ、神秘的すぎる離島の来訪神4柱や来訪神にまつわる奇祭について解説します。
なお、本記事で紹介する来訪神や奇祭は、全て国の重要無形民俗文化財やユネスコ無形文化遺産に登録されています。
神秘的で不思議な離島の来訪神とは?
日本の離島では、普段の生活では触れられないような不思議な来訪神が崇敬されています。
今回紹介する来訪神は、メンドン・トシドン・ボセ・パーントゥの4柱です。
天下御免の悪霊祓い薩摩硫黄島の「メンドン」
メンドンは、鹿児島県の三島村に属する薩摩硫黄島に伝わる、人々を災厄から守る来訪神です。
旧暦の8月1日と2日には、メンドンが御神木の枝で住人を叩きながら集落を巡る「硫黄島八朔太鼓踊り」という伝統行事が行われます。
行事に降臨するメンドンの面は、真っ赤な顔の左右に大きな耳のようなものがあり、横倒しにした落花生のような形の目が左右についています。
一見奇怪な形相ですが、よく見るとユニークな顔です。
メンドンが人々を御神木で叩くことで、悪霊を追い出すと言われています。
また、天下御免の免罪符があり、住人がメンドンに逆らうことは許されません。
子どもたちを健やかに育む鹿児島甑島の「トシドン」
トシドンは、鹿児島県の下甑町がある甑島(こしきしま)に伝わる祝福の来訪神。
大晦日の夜には、子どもたちが健やかに成長するように家々を訪れる伝統行事が行われます。
行事に降臨するトシドンの面は、赤や青の大きな顔に、高い鼻、つり上がった目、耳元まで裂けた口があるおどろおどろしい形相です。
恐ろしい姿のトシドンですが、子どもたちの長所を褒めたり、短所・欠点を論じたりして、「悪いことはしない」と約束を交わします。
そして、約束をしたご褒美として子どもたちに「年餅」を渡して去っていくそうです。
地域と人々の邪気を祓うトカラ列島悪石島の「ボゼ」
ボゼは、鹿児島県のトカラ列島の一つ悪石島(あくせきじま)に伝わる、悪魔を祓い幸いをもたらす来訪神。
盆の最終日となる旧暦7月16日の夕刻に現れ、人びとの邪気を追い祓います。
ボゼの面は、木の幹のような顔に大きく開いた口、見開かれた赤い目があるという形相。
パプアニューギニアにルーツがあると見られているそうです。
ボゼの持つ「ボゼマラ」と呼ばれる棒の先端に付けた赤い泥を人々に擦り付けられると、悪魔祓いの利益があるとされています。
日本一恐ろしい祭り沖縄宮古島泥まみれの「パーントゥ」
パーントゥは、沖縄県宮古島市の島尻地区に伝わる、厄を祓い無病息災を祈る来訪神です。
旧暦の9月上旬には、パーントゥが奇声を発しながら家々を巡る「パーントゥ・プナハ(パーントゥ祭り)」という伝統行事が行われます。
平坦な表情の面を付け、異臭を放つ「ンマリガー」という神聖な泉から採取した泥や「シイノカズラ」という植物を全身にまとったパーントゥが、人々を襲って泥をなすりつけます。
当日の集落では、パーントゥの奇声と人々の悲鳴、そして笑い声であふれます。
まとめ
今回は、日本の離島で密かに崇敬されているオカルトチックな来訪神や奇祭をご紹介しました。
ご紹介した離島に伝わる来訪神はどれも奇怪な姿をしています。
しかし、来訪神の所作は悪魔・悪霊・厄災などを祓うといったご神徳を賜われるありがたいものです。
離島に伝わる来訪神や奇祭に興味がある方は、一度参加してみてはいかがでしょうか。