新潟・三条が舞台
新潟県の中央部に位置する三条市。お隣の燕市と共に古くから金物の町として知られ、特に三条は信濃川舟運により金物を扱う商業都市として発展してきました。また上越新幹線の燕三条駅があることからも、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
この三条市で、毎年旧暦の端午の節句周辺の土日(5月下旬から6月上旬)に開催されているお祭りがあります。「三条凧合戦」です!今年は6月4、5日の二日間で3年ぶりに開催されています!
お祭り会場への最寄りとなる燕三条駅へとやってくると、構内には過去に使用された立派な凧がポスターと共に飾られていました。これは楽しみですね!
主役はイカ?
三条凧合戦の会場となる、三条防災ステーションへとやってきました!こちらは信濃川岸にあり、なんと江戸時代初期まではお城だった場所でもあります。空が広く開放感のある場所で、どのようにお祭りが行われていくのでしょうか?
このように行われていました!合戦がはじまる前の予行練習といったところですが、既にたくさんの凧が空に浮かんでいます!
主役である凧ですが、実は三条では”イカ“と呼ばれます!タコに洒落を効かせてイカなのか、と思えばそうではありません。そもそも凧は、江戸時代初期までは全国的にイカと呼ばれ、イカあげやイカのぼりとの言い方もあったそうです。ですが突如1655年(明暦元年)にイカのぼり禁止令が江戸幕府から出てしまいます。あまりにも盛んになりすぎて様々な支障が出てきたからと言うのが理由だそうですが、その後もこれは”タコ”だと言い張って庶民の間で続けられてきたんだとか。三条ではこの古い呼び方が残り、イカ合戦が行われています!
子どもの喧嘩からはじまった
三条凧合戦は、紅白のチームに分かれて合戦が行われます。今年は20チームが参加です。今でこそ大人が行う凧合戦ですが、その発祥は子どもの喧嘩との説も。江戸時代初期の1649年(慶安2年)、当時の三条には村上藩の陣屋が置かれていました。その陣屋から端午の節句を祝うために凧揚げが推奨されていたのですが、鍛冶屋の子どもたちが武士の子どもたちに凧でいたずらを仕掛けたのがはじまりなんだとか!その後この争いは大人たちにまで発展し、凧で行う庶民と武士の戦いが公然と認められて今に続いていると言われています(鍛冶集団と市役所が紅白に分かれているのにも意味があるのでしょうか笑)。
揚げられるのは六角形の凧!こちらは三条独特の形式とのことですが、空中での操作性も高いと言われています!
凧合戦の由来などを見てきたところで、そろそろお祭りがはじまっていきます。まずはオープニングイベントで、三条太鼓の披露が行われました!
三条凧合戦のオープニングイベントでは、三条太鼓の披露も行われていました!青空の下、和太鼓の音が響き渡ります!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/AlvezEVCkL
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 6, 2022
御神楽のようなシーンも!
金物の町と言うことで、和太鼓に鉄を打つ行為も加えられていました!
さすが金物の町、三条!和太鼓の演奏にも鉄を叩く行為が取り入れられています!#三条凧合戦 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/eRqhel8ntN
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 6, 2022
いざ、凧合戦!
オープニングイベントが終わると、さあ凧合戦がはじまります!一斉にたくさんの凧が青空へと飛び立ちました!
それぞれのチームが、役者の絵やスポンサーの名前の書かれた凧を揚げていきます!
ふわふわと優雅に浮かぶ凧ですが、ここから激しくなっていきますよ!
三条凧合戦が開催されています!青空に大きな凧がたくさん上がる光景は圧巻!ちなみに三条では凧のことを“イカ”と呼びます。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/xtRlcm6FO9
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 5, 2022
ここで凧合戦の概要を説明します。今年は1つの合戦が30分間で行われ、相手の凧落とすと一点、紐を切ると3点、鮮やかに空中で切って飛ばすと5点(かなりの高難易度)と言う加点形式で競われていました!紅白に分かれていますが、各チームが一番の得点になろうと、激しく競い合います!
どのように相手の凧を落とすかと言うと、このように紐を絡ませ合うことで行います。この絡みがないといけないようです。
ピタッと近づけて、紐を狙います!
地面すれすれでも激しい攻防!落ちるかと思ったら、また浮かび上がったり。技の見せ所です!
落ちてしまったり、紐が切れてしまった凧も、再び紐を付け直して揚げられていました。
こんな見事なイラストが描かれた凧もありますよ!
たくさんの凧が揚がるので、空の混戦模様がすごいです!
空を見上げながら、「絡めろ、絡めろ!」なんて声も響き渡ります!
たくさんあるチーム、そして揚げ手の皆さんですが、やはり名人と呼ばれる方もいるようです。どんどん点数を重ねていく方の姿もありました!
「戦おうじゃないか!」と言って、合戦を申し込む場面も。
見事な紐捌きで、幾つもの名勝負が生まれていました!
高さの上下、横から攻めるなどと腕の見せ所です!
こんながんじがらめに合ってしまう場面も!
一度凧合戦を体験してしまうと、もっと強く、もっと上手くなりたいと抜け出せなくなるなんて話もありました。見るだけでなく、やる魅力も三条凧合戦にはありそうですね!
大きな凧の紐を絡め合って、相手の凧を落とすか紐を切ると勝ちと言う三条凧合戦。ふわふわ浮いている時は穏やかなものですが、一旦紐が絡み始めると激しいです!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/Ybip29Itdu
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) June 5, 2022
大人が合戦を行なっている後ろでは、子どもたちもたくさんの凧揚げを!
未来の名人が、この中から生まれるのかも知れませんね!
マルシェやキッチンカーも登場
お祭り会場では、グルメ屋台や雑貨などを売るマルシェも出ていました。凧を見ながらお祭りグルメを楽しむのも良いかも知れません!
キッチンカーも出ており、本格的なグルメの提供も!
毎年旧暦の端午の節句周辺の土日(5月下旬から6月上旬)に開催されている、三条凧合戦。地元の歴史の中から生まれたユニークなお祭りです。ぜひ、この光景を味わいに来てみてください!
アクセス
【徒歩の場合】JR燕三条駅より徒歩約25分、タクシーで約5分。
【お車の場合】関越道三条燕ICより約6分。無料駐車場あり。