今では全国的に有名になり、各地で大会が行われるようになった「よさこい」ですが、実はワタクシ一度も生でよさこいを観た事がなく、たまたま目にした華やかなポスターの「渋谷よさこい」の文字を見て、行き当たりばったりで出掛けてみました。百聞は一見に如かず、初心者目線でのよさこいをレポートします!
「第9回渋谷よさこい」開催概要
日時:2018年11月11日(日)11:00~16:00(小雨決行)
会場:小田急江ノ島線高座渋谷駅周辺
目次
参加チーム23団体、地元チームをはじめ県外から貸し切りバスでの参加も!
第9回渋谷よさこいには、地元の幼稚園、中学校、企業などのチームの他、横浜、東京、遠くは浜松から!地域年齢共に幅広い層の参加がありました。
会場は高座渋谷駅を中心に、東ステージ、東ストリート、西ステージ、西ストリートの四か所。各駅停車の小さな駅前が踊りと音楽、沢山の笑顔で埋め尽くされました。
こちらは「渋谷よさこい」の看板娘達(?)のチーム「夢恋連」。ズラリと女性ばかりの大所帯!総勢60名くらいでしょうか?
メンバーのほとんどが大和市内の方で、この大会の為に結成されたとのこと。衣装もポーズもキマってますね!
今回初参加の「響天動地」
浜松から大型バスを一台貸し切りで来たそうです。気合入ってます!
ゴスロリスタイルの衣装で登場の「美na舞ty」(ビナマイティー)
近隣の海老名市で活動するこのチーム。旗のインパクトが圧倒的でした!
「けんこう体操カモの会」シニアですが、心は青春!
「I♡大和」の文字が目に留まって撮らせてもらいました!地元愛に溢れていますね~!
大和支店と二俣川支店の社員で構成されている「チーム大東建託」は仕事の合間にみんなで集まって練習できたのはなんと3回のみ!
「渋谷よさこい」ちょっと紛らわしい大会名の由来
ところで「渋谷よさこい」と名乗りながら、会場は神奈川県大和市、小田急江ノ島線「高座渋谷駅」周辺と書かれてる・・・。
「渋谷」って東京じゃぁないの?パクリ?
東京の渋谷からクレームくるんじゃないか???
などと思いつつ、きっと先にやった者勝ちなのだろうと無理やり解釈して高座渋谷駅へと行ってみたのでした。
確かに渋谷なのですが、ここは小田急江ノ島線の各駅停車駅。
ホームに直結したローカルなスタイルの改札口を出ると、もうそこは会場でした。
駅徒歩0分!東口ロータリーの東ステージ。
開会式では、実行委員長の開会の言葉に続き、大和市長からのご祝辞がありました。
その市長からのお言葉の第一声が・・・
「渋谷と言うと何を思い浮かべるでしょうか?」
!!!
そうそう、やっぱりハチ公とか109とかですよねー
と思いながら聞いていると、続いて渋谷の地名についてのお話がありました。
「渋谷と言えば、日本ではここが発祥の地と言っていいと思います!」
言い切る!かっこいい!
実は渋谷重国が治めた「渋谷」という名の本家は実はここ高座渋谷の地で、東京の渋谷は渋谷一族の分家さんということだそうです。
そんな歴史的な町で何かお祭りを、と考えたところ、大和市内には既に有名な「阿波踊り」があり、それならばここは「よさこい」が良いのではないか?との思いつき・・・。
そう、「阿波踊り」と「よさこい」の関係をよくご存じの方はピンときたかも知れませんが、四国には徳島県の有名な「阿波踊り」があるのに対し、お隣の高知県でも何か踊りを、と半ば対抗するかのように始まったのが「よさこい祭り」で、その例に倣って高座渋谷で始まった新しい企画が「渋谷よさこい」となったそうな!
ちなみに大和の阿波踊りは2018年に第42回を数え、大和駅周辺で大々的に行われるこの辺りでは有名な大会です。
「渋谷」の地名がパクリでは無く、早い者勝ちでもなく、正々堂々と「渋谷」を名乗れる歴史的な地であった事にホッとしつつ、実は「渋谷よさこい」を始めた経緯が四国の真似だったというオチでした・・・。
開会式の最後に登場したのは、高座渋谷「手作り甲冑隊」の御一行様。
遠目に見る分には手作りと思えないクオリティーでした!
「えい!えい!おー!」
何と戦うのかは不明でしたが、開会式の締めに気合を入れて、よさこいがスタートしたのでした!
関東学院大学“誇咲”メンバーに聞いてみた、昨今の大学よさこい事情
今回の大会で唯一の大学チーム、関東学院大学の「誇咲」(ほこさき)。大学生らしく勢いのあるチームで、本場の高知他、各地に遠征して幅広く活動しているそうです。今回の渋谷よさこいでは西ステージでのトリを務めました。
現在40代半ばの筆者が大学生だったのは今から約20年前、よさこいはまだほどんど知られていませんでした。今回初めてよさこい観覧をした筆者にとって、大学によさこいサークルがあり、幅広く活動していることはちょっと驚きでした。そこで会場移動の道すがらお邪魔してあれこれ聞いてみました。
この日の演舞は3年生が引退した後でしたが、1~2年生だけでもおよそ60人程の所属があるという。踊りの上手い下手はわからない筆者ですが、そのキレッキレな動きを見て、きっとダンスの経験者が集まっているのだろうと思いきや、メンバーの殆どが大学に入ってからよさこいに興味を持って始めたとのこと。特に将来ダンスやパフォーマンスの世界に進みたいわけではなく、純粋に「大学生活を仲間と一緒により楽しく過ごしたくてやっています」との言葉がとても印象的でした。
演舞前に円陣を組む誇咲のメンバー達。黒づくめの衣装が目を惹きます。
黒い衣装から極彩色への早替えシーン。
「仲間と楽しみたい」の言葉通り、心から楽しんでいる笑顔で目一杯盛り上がりました!
よさこいで一つ目を惹くのが、高知の大漁旗に端を発するこのよさこい旗。持つだけでも大変そうなのにそれを振り回すのは至難の業のように思いますが、体重移動などをうまく使い、てこの原理のように旗を持ち上げるのだそうです。「コツがつかめれば女子でもできるんですよ!」と語るのは手伝いで来ていたOGの元旗振りさん。
それにしてもデカい!
今や殆どの大学にこのようなサークルがあるという。そして大学チーム限定のよさこい大会や、大学間の垣根を越え、大学生だけで結成されているチームもあるそうです。ちょっとジェネレーションギャップを感じてしまった筆者です。
最後は西ステージをいっぱいに使ったフラフ競演と総踊りでフィナーレ
渋谷よさこいの最後は全参加チームが西口ロータリーに集結!
全チームの旗振りによるフラフ競演。
そして西ステージに全員入っての総踊り!
司会者の「来年もこの渋谷よさこいで会いましょう~」の声に手を挙げる参加者たち。
初めて生でよさこいを観た筆者が考える、よさこいの今後
「よさこいってあまり日本らしくないよね?」
そんな声をよく耳にします。実は筆者もそんなイメージを持っていた一人で、今まであまり足が向きませんでした。
そもそも元祖となる高知の「よさこい祭り」が始まったのは戦後の事、そしてブームの火付け役となった札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」が学生を中心に開催され、日本各地に広まり、現在のスタイルが定着したのは平成に入ってからの事です。
そのスタイルとは列をなして揃って踊るという盆踊りの基本を踏襲しつつ、振り付けには自由なダンスを取り入れ、音楽にはご当地の曲を使用すると言うもの。
これって、他の地域や外国の文化風習を柔軟に取り入れ、独自のものを作り上げてしまう我々日本人の文化と実はそっくりです。
そう考えれば「よさこい」は現代の日本の文化が多分に反映された踊りで、日本らしさに欠けるどころか、日本らしさがぎっしり詰まった踊りなのかも知れません。
「よさこい」の歴史はまだ産声を上げたばかり。これが一時のブームに終わらず今後も発展して行けば、いつか伝統文化の一つとなることでしょう。古くからの伝統を守り継承していく事も大事である一方、未来へ向けて新たな伝統を作っていく事ができるのは、今を生きる我々にしかできない事。
そんなことを考えると何だかワクワクしてきました!
「渋谷よさこい」は、自治会や商工会など、地元の方々の手弁当で運営されている小さな町の大会ですが、東西二か所の駅前ロータリーと、まっすぐ伸びる広い道路を使い、運営サポートも充実しており、よさこいの演舞をする環境は十分に揃っています。しかし残念なことに今回は参加チームが23団体と前回に比べて減ってしまっているそうです。
来年は第10回の記念大会を迎えます!この記事を読んでくれたよさこいチームの方や、よさこいに興味を持っている皆さん、来年は是非「本家渋谷の地」で踊ってみませんか?