全国一斉獅子舞演舞とは?
獅子舞の本来の目的である悪疫退散の祈願を何とかできないかと、次のように考えました。ご賛同くださるところがあるといいのですが。 pic.twitter.com/XYcEgYhLCf
— たかはしゆういち (@shishihaku) June 28, 2020
2020年7月12日正午、全国で一斉に獅子舞やしし踊りの演舞が行われました。昨今、新型コロナウイルスが流行していることから、「悪疫退散」を目的に行われたものです。この企画は埼玉県白岡市にある獅子舞博物館の館長・高橋裕一さんがSNSなどで全国的に呼びかけ実施されたもので、趣旨に賛同した日本全国の8つの団体が参加しました。この模様は各地の新聞やテレビでも大きく取り上げられたようです。今回は参加団体の1つである岩手県遠野市の長野獅子踊り保存会に密着して取材してきました。
岩手県遠野市長野獅子踊り保存会について
岩手県遠野市の中でも特に山深く自然豊かな場所、小友町で活動しているのが「長野獅子踊り保存会」です。約400年前に岩手県の一関の方からしし踊りが伝わったようで、遠野市の中でも最初期からしし踊りを継承しています。この地域のしし踊りは先祖を供養するという意味合いが強く、町内に供養塔もあるとのこと。年間約5箇所の奉納神事に加えて、彼岸の際には供養を願う祭りも行うようです。
力強いしし踊り、当日の様子をレポート!
さて、全国一斉獅子舞演舞の当日。朝の10時からカンナガラ(しし踊りの際につける白いタテガミ)を交換して本番に備えます。カンナガラは大工の人が使用するカンナで木を削った時、出てくるくずに似ていることからカンナガラと名付けられたようです。遠野のしし踊りはこのカンナガラが白いという特徴があります。
いよいよメンバーも揃い、12時すぎに踊りが開始されました。今回、初めてのしし踊り見学でしたが、近くで見るとシシの体が大きくかなり迫力があります。体を左右に振り回す様は、まるで神社の厄払いのようですね。今回は、通り踊り、柱掛かり、投げ草、という3つの演目を披露していました。上の写真は、まず最初の演目、通り踊りの様子です。
その次に披露されたのが柱掛かりという演目で、柱を舞台の中央に突き立てその周りをシシと種ふくべ(先導役)が回るというもの。シシと種ふくべとの激しい掛け合いが見どころです。
最後に披露されたのが、投げ草などを含めた”礼”という演目。シシが静かに幕を使って演技を行なった後に、踊りもクライマックスとなり幕を閉じました。今回は新型コロナウイルスの影響に配慮して事前告知はせず、メディア関係者以外はいない状態での実施でした。しかし盛り上がりがとても伝わってきましたし、今年としては数少ない貴重な踊りを見学することができました。
しし踊りでコロナ退散
今回、初めてのしし踊り見学でしたが、太鼓の音と激しいシシの動きを眺めていると、体の奥の方から元気が湧いてきます。まさに「コロナ退散」に向けて日本全国が元気になるような取り組みでした。同時に、厄を払うという本来のシシの役割を見つめなおせる良い機会だったと言えるでしょう。今回は参加団体の1つである長野しし踊りの見学を通して、間近に沸々とそれらを感じることができました。今年は新型コロナウイルスの影響で、多くの地域の獅子舞やしし踊りの祭りが中止になっています。しかし、こんな時だからこそ、シシをはじめとする伝統芸能の役割を今一度考えてみてはいかがでしょうか。
▼長野獅子踊り保存会についてはこちら。
獅子舞で悪疫・災害退散‼︎#全国一斉獅子舞演舞#長野獅子踊り #コロナ退散
本日正午より長野地区コミュニティセンターで演舞しました。
本県内では行山流都鳥鹿踊さんと同時刻演舞という形でした。
足元の悪い中来ていただきました方々ありがとうございます!願い通じる事を祈っております。 pic.twitter.com/4pslii5fGu
— 長野獅子踊り保存会【公式】 (@naganoshishi) July 12, 2020