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スペイン国内の数多くの都市で開催されるフラメンコ・フェスティバル
2021年の夏には世界のスポーツの祭典のため、各国からトップアスリートが東京に集結します。歴史や文化、生活習慣の異なる国々から大勢の人々が来日する機会に、海外に目を向けると視野を広げることにつながることでしょう。7月23日の開会以来、様々な種目の熱戦が繰り広げられ8月7日にサッカーの決勝戦が行われます。対戦相手はスペインとブラジルです。試合開始のホイッスルが吹かれると両国の人々はテレビなどのディスプレイの前で熱狂することでしょう。
サッカーは手を使うことなく、足でボールを運ぶ競技です。ピッチを走る選手たちの鮮やかなドリブルに思わず見入ってしまうものです。スペインではスポーツだけではなくダンスでも巧みな足技を見ることができます。フラメンコでは底に釘が打たれた靴をはき、靴音でサパテアードのリズムを刻みます。スペイン国内では、数多くの都市でフラメンコ・フェスティバルが開催され、人々の大きな楽しみとなっています。
フレメンコとスペイングルメが楽しめるタブラオ
フラメンコ・フェスティバルは期間限定ですが、板張りのステージが設けられたタブラオに行けば、フラメンコを鑑賞しながらスペインのグルメを味わうことができます。
サッカー選手もフラメンコ・ダンサーも巧みな足技を繰り出すには、エネルギーが必要です。スペインのグルメは、畜産物、海の幸、野菜に恵まれバラエティー豊富です。
手軽で重宝なピンチョス、ピスト、トルティージャ
スペインの料理で最も手軽なのは小皿料理のピンチョスです。小さくてシンプルな食材を楊枝でパンに刺して食べるのがスタンダードです。どのような食材でもピンチョスの材料となりますが、決め手は一口で食べることができることです。
ピストは野菜のトマト煮込みで単品メニューとなることもあれば、ピンチョスをはじめトルティージャ、ソーセージ、腸詰などに添えることもできる重宝な料理です。
オムレツは日本では子ども達に人気メニューですが、スペインではトルティージャと呼ばれています。卵に混ぜて焼く具材はバラエティーに富みますが、ハムやジャガイモを入れることが多いようです。
高級ブランドのイベリコ豚
トルティージャに入れるハムは、スペインではとても貴重な食材です。商店街にはハムの専門店も多く、店内に入ると天井から豚の太い足が何本も吊り下げられています。
スペインではイベリア半島の中央部から南部、西部に、黒い脚と爪をもつ豚が生育しています。この豚はイベリコ豚として世界的なブランドとなっています。中でもドングリを食べて育ったイベリコ豚はベジョータと呼ばれ、この豚の後足を熟成すると最高級ハムのハモン・セラーノとなります。
豚の足はハムに加工されますが、イベリア半島中央部のセゴビアでは、仔豚を丸焼きにするコチニージョ・アサードがご当地グルメとして伝わります。生後45日以内の仔豚を釜戸の中でじっくりと焼くのです。母乳しか口にしたことのない仔豚の肉はとても柔らかく、切り分けるときにはナイフのような鋭利な刃物は使わず、陶器のお皿を使うようです。
恵み豊富な地中海の海の幸
セゴビアは内陸部にあるため新鮮な海の幸には恵まれませんが、地中海に面するバルセロナでは海の幸が極めて豊富です。海岸に沿って数多くのシーフード・レストランが軒を連ねているので思う存分、地中海グルメを味わうことができます。ガンバ・アル・アヒージョは、エビをニンニク入りのオリーブオイルで煮込みます。パエリア・アロス・ネグロは、イカ墨のパエリアです。
スペインのバラエティー豊富な料理の味わいを引き立ててくれるのはワインでしょう。スペインのブドウの栽培面積は世界で最も広いのです。フランス国境近くを流れるエブロ川の上流のリオハでは紀元前からブドウの栽培が行われています。濃いルビー色で芳潤な香りのリオハのワインは赤の王様と呼ばれています。
スペインはサッカーの強豪国として、国際大会では必ず上位に入ります。グランドを走るイレブンのエネルギー源は、バラエティー豊富な食事にあるかもしれません。イベリコ豚などの肉料理ばかりでなく、地中海の海の幸にも恵まれます。