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例年5月下旬から6月下旬に開催される潮来市最大のイベント「水郷潮来あやめまつり」
人生には数々の節目があるものです。生活を共にして家族を築く結婚は最大のイベントと言えるでしょう。婚約してから新たな生活をスタートさせるまでには様々なしきたりがあります。地域によっては独特の習慣が根づいているようです。茨城県潮来市は、利根川の下流域から霞ヶ浦一帯に広がる低湿地地帯の水郷となっています。市内には水路が巡らされ、新婦は「嫁入り舟」に乗って、新郎のところに行く風習がありました。潮来の人々の生活を支えた水運は、1950年代頃から道路の整備が進むにつれて陸運に変化し、「嫁入り舟」の姿は消えつつあります。今では例年5月下旬から6月下旬に開催される潮来市最大のイベント「水郷潮来あやめまつり」でしか見られなくなってしまいました。2021年は5月21日~ 6月20日の期間で、「水郷潮来あやめまつり」が実施されていますが、新型コロナウイルス感染防止のため「嫁入り舟」の運行は中止となりました。
利根川に注ぎ込む前川沿いを整備した「水郷潮来あやめ園」
「水郷潮来あやめまつり」の会場は、潮来市の市街地を流れ利根川に注ぎ込む前川沿いを整備した「水郷潮来あやめ園」です。公共交通機関を利用して訪れる場合は、JR鹿島線の潮来駅が最寄り駅となります。駅からは西方に200メートル足らずです。「水郷潮来あやめまつり」の開催期間中には、構内の壁をポスターが隙間なく掲示されます。改札口からプラットホームに向かう階段も、あやめの花が彩っているかのようです。駅舎の中には「潮来花嫁さん」のフォトパネルが設置されています。
「水郷潮来あやめまつり」の開催期間中には、「水郷潮来あやめ園」の周囲を幟が取り囲みます。入口では浴衣姿の女性が笑顔で出迎えてくれます。入口広場には「潮来花嫁さん」の記念碑が設けられ、潮来市の伝統文化を伝えています。
約500種、約100万株のあやめが彩る「水郷潮来あやめ園」
「水郷潮来あやめ園」は前川の東岸の河川敷300メートル足らずの敷地に広がっています。中央の橋からは南北に延々と繋がるあやめの花を眺めることができます。1952年から開催が始まった「水郷潮来あやめまつり」は2021年で第70回を数えます。5月30日前後に3分咲きとなり、6月10日前後が見頃時期となることでしょう。
利根川の河原を南端とする約1.3ヘクタールの園内には、約500種、約100万株のあやめが植栽されています。
中央の橋の下には、潮来笠の歌碑と潮来の伊太郎の像が設置されています。花村菊江の「潮来花嫁さん」に加えて、橋幸夫が「潮来笠」で潮来を歌ったのです。記念碑ばかりでなく、園内では浴衣姿のスタッフが記念撮影に応じてくれます。
手漕ぎの「ろ舟」に乗って前川を遊覧しながら鑑賞する初夏の花
潮来笠の歌碑と潮来の伊太郎の像に接して、「ろ舟」の乗場が設けられています。2021年は「嫁入り舟」の運行は中止となりましたが、「ろ舟」の遊覧は例年通り行われています。手漕ぎの「ろ舟」に乗って前川を遊覧しながら、あやめの花を眺めれば豊かな風情を感じることができるでしょう。
「ろ舟」に乗って前川を北に向かうと西岸に津軽河岸跡が残されています。展示館の中には「潮来花嫁さん」の花嫁衣装が展示されています。和式の花嫁衣裳には、洋式のウエディングドレスにはない情緒が漂います。挙式を控えた女性ならば、袖を通したくなるに違いありません。
「潮来花嫁さん」や「潮来笠」などの歌謡曲で歌われる茨城県潮来市を流れる前川沿いには、「水郷潮来あやめ園」が整備されています。園内は例年5月下旬から6月下旬には初夏の彩りで包まれ「水郷潮来あやめまつり」が開催されています。あやめ園に沿って流れる前川を手漕ぎの「ろ舟」に乗って遊覧すれば、豊かな風情を感じることができるでしょう。