毎年5月5日、こどもの日。菖蒲湯に入る、という家庭も多くいらっしゃるかもしれません。しかし菖蒲湯、願掛けの意味だけではなくて、じつは健康にもいいということ、ご存知でしたか?しかも菖蒲は、菖蒲湯だけでなく、ほかにも色々楽しみ方があるそう……。今回はそんな、中国から伝わり日本固有の風習となった菖蒲湯について、調べていこうと思います。
厄払いから、肩こりまで。健康で文化的な菖蒲湯のアレコレ。
菖蒲湯のつくり方は意外とかんたん。5月5日ごろになるとスーパーや八百屋さんに並ぶ、菖蒲を10束ほどにまとめ、42~43℃ほどの熱めのお湯につけるだけで完成です。
【5/5はこどもの日】#青山フラワーマーケット では、端午の節句に欠かせない花菖蒲・葉菖蒲をご用意しました。
強い香気が特徴の葉菖蒲は邪気を払う厄払いとしても知られています。今夜は1年の健康を祈って、菖蒲湯に浸かってみませんか。 #立川駅 #エキュート立川 #端午の節句 #菖蒲 #菖蒲湯 pic.twitter.com/PyJCKKg4Cv— エキュート立川 (@ecute_tachikawa) May 4, 2019
少しすれば、菖蒲独特のさわやかな香りが立ち昇ってくることでしょう。菖蒲はこのさわやかな香りで邪気を払う、と信じられていました。そのため端午の節句には厄払いと、その後の健康を願って無病息災の祈りを込め、邪気を払う香りの菖蒲湯に浸かるのです。
また菖蒲湯の効能はそれだけではありません。菖蒲は古来、中国では薬草として扱われていました。とくに根の部分は乾燥させることで、リラックス効果・血行促進・肩こり・腰痛予防・冷え性・筋肉痛・リウマチに効果を発揮する生薬「菖蒲根」「白昌」となります。
菖蒲湯においてもこれらの効能を実感することができ、まずは菖蒲の根を乾燥させたものや、漢方屋さんで売っている「白昌」「菖蒲根」を準備。それらを布の袋や出汁のパックに入れ熱湯で10分ほど煮ます。その後、煮だしたお湯ごと浴槽に投入。よく混ぜます。煮だすことで、菖蒲の精油エキス・オイゲノールやアザロンが抽出され、上述の効果がしっかりと感じられる薬湯が完成します。またオイゲノール、アザロンは菖蒲の香り成分も担っているため、さわやかさもバッチリ。菖蒲根がどうしても手に入らない、という方は同様の手順を“根”ではなく“葉”で行うことで、通常より効能の高い菖蒲湯を楽しむことができますよ。
実は日本だけ?菖蒲湯の歴史
菖蒲をいれたお湯に浸かることで、無病息災や様々な効能を得る菖蒲湯。その起源は中国に由来します。中国ではもともと端午、つまり5月ごろ、菖蒲を玄関に飾ることで邪気を払う風習がありました。また同時期には、蘭を浮かべた蘭湯に入り身を清める“浴蘭節”も行われており、この二つの風習が日本に伝来。
当時の日本には蘭が少なかったため、石菖蒲と呼ばれる菖蒲の仲間で代用したことから菖蒲湯が始まりました。後年、石菖蒲より効能の高い現在の一般的な菖蒲・水菖蒲が園芸用として栽培され広まり、そちらが使われるようになった、といわれています。
菖蒲湯の風習は端午の節句同様、江戸時代に急速に浸透。葉の形が剣に似ていることからたくましい男の子に成長してほしい、という願いが込められるようになりました。武士が出陣前に菖蒲湯に浸かり、無事を祈願した、という説も存在します。
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ちなみに5月の頃に鮮やかな花を咲かせるアヤメは、同じ漢字で“菖蒲”と書きますが、こちらは端午の節句に使われる菖蒲とは別物。独特の香りはなく、最大の特徴はキレイな花を咲かせるか、ガマのような花を咲かせるかの違い。ガマのような花の方が端午の節句で使われる菖蒲です。また属する科も違い、アヤメはアヤメ科、菖蒲はサトイモ科に属しています。
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