毎年、2月中旬に開催される只見ふるさとの雪まつりのレポートです。只見町は福島県の西南に位置し、新潟県と隣接した県内有数の豪雪地帯になります。只見駅前にあるイベント会場に到着すると、第47回 只見ふるさとの雪まつりと書かれた雪像で作られた入場門が待ち構えています。
※この記事は、2019年に公開されたものを再編集しています。2020年1月29日編集部更新
入場門を進むと総合案内所より雪むすめが出迎えてくれました。雪むすめとは雪まつりのPR活動をする2名の女性で、町内出身・在住・勤務の18才以上、独身である事が応募条件だそうです。任期は2ヶ月間で、選ばれた2名は当日は勿論の事、12月には東京の有楽町駅前にある東京国際フォーラムで開催されたふくしま大交流フェスタでもPR活動をしてきたそうです。(左)斎藤咲子さん、(右)佐藤絢佳さん
イベント会場に入ると、まず北海道札幌市の観光名所でもある「赤れんが庁舎」の大雪像が目に付きます。この大雪像は幅20m高さ13mもの大きさがあり、毎年テーマが決められて制作されているそうです。(昨年は戊辰150周年で会津若松市の「鶴ケ城」)
只見町は、かつて2011年7月の新潟・福島豪雨で被災した際に、北海道から職員派遣などの支援をして貰った事があり、今回は昨年9月の北海道胆振東部地震で被害を受けた地域に向けて復興の願いを込めた開催となった様です。
なお、支援の一環としてB級グルメを取り揃えたゆきんこ市では、北海道の物産コーナーを設け、売り上げを被災地に寄付する試みも行われていた様です。(完売したそうです!)
他には、雪国らしく巨大かまくらがいくつも建てられており、その中にはお酒も飲めるオシャレなかまくらバーも作られていました。折角なので注文してみたかったのですが車なので断念(泣)
また、地元の小・中学生による有名キャラクターや只見町に生息する野生動物などの雪像も作られていました。只見の自然環境は、日本ではたった9件しか登録されていない生態系と人間社会の共生を目的としたユネスコエコパークにも認定されている様です。
あとは会場内のあちこちに刺さっている「だんごさし」。この地域に残る風習でミズキの木に団子や餅を刺し、無病息災・家内安全・五穀豊穣を祈願する縁起物になります。雪景色で花のない季節に少しでも彩りを持たせる意味もあるそうです。
もしかしたら、祈願花火のスターマインで一青窈の「ハナミズキ」の曲が毎年使われるのは同じミズキ科の植物である理由が関係しているのかもしれません。
しばらく会場を散策していると花火を担当する赤城煙火店の花火師さんにお会いしたので、特別に打ち上げ現場を案内して頂きました。センター奥には10号玉と7号玉の大玉が設置され、手前の道には小さい号数の花火やスターマインが準備されています。
折角の機会なので雪の時期での苦労する点をいくつか伺ってみました。花火師さんの業務内容を知れば知る程、観覧するだけの自分にとっては本当に頭が下がる思いです。
・重い荷物を持って雪の中を進むので足が取られてしまって動きにくい
・雪の上は地盤が安定しないので固めて安定させる作業がある
・筒を安定させる為のバンドが雪が融ける事で緩んでしまい何度か確認が必要
・配線が雪の中に埋もれてしまうと、どこにあるのか分からない
・片付けの際に筒の状態を見ると氷で貼りついてしまっている
・何よりも花火が着火しにくい! ete…
再び会場に戻ると大雪像がライトアップされ、日中よりもかなり人が集まってきていました。イベントの進行も順調の様で副町長、自らが歌うカラオケ大会は結構盛り上がっていましたw
マジック漫才ショー
カラオケ大会
天領只見仙獄太鼓
19:30からは、いよいよ祈願花火大会。担当は喜多方市の赤城煙火店で、最大号数は10号玉(開花直径約330m)になります。この真冬の時期にも関わらず貴重な尺玉が見られるので毎年多くの花火ファンが訪れています。
花火の内容は個人や企業による協賛で、1発1発に願いを込めて打ち上げられます。子供たちの成長や健康、商売繁盛、世界平和などそれぞれです。休みの関係から土曜日の打ち上げ希望者が多い様で、翌日は若干少なめだそうです。
<番外> 自然首都・只見 ユネスコエコパーク歓迎花火
大小型煙火 音楽付 大スターマイン「ハナミズキ」
今回のまとめ
前夜祭から始まり、土・日と多くの人が訪れる只見ふるさとの雪まつり。なんと3日間で2万7000人もの来場があった様です。会場では寒さが厳しいので屋台のメニューは勿論の事、ストーブのある休憩室が用意されていたり、また総合案内所での親切な対応、駐車場からのスムーズな送迎バスなど細かな所まで行き届いていました。
福島県で最も歴史のある雪まつりなので、回数を重ねるごとに試行錯誤し、町全体でお祭りを作り上げてきた結果なのでしょう。県外だけでなく海外からも多くの人が訪れるのも納得です。
取材協力:(副町長)橋本晃一様、(雪むすめ)佐藤絢佳様、有限会社赤城煙火店様