2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
一夜氏子になりませんか
近年、都会には田舎(故郷)を持たない人が増えた。そこで、今回は「故郷に帰る」ことを体感し、古(いにしえ)からのパワーをもらう旅を紹介する。
宮崎県高千穂町は、九州山地の中央、熊本、大分との境に位置する。そこには、村を挙げて中世から維持してきた「高千穂の夜神楽(よかぐら)」(重要無形民俗文化財)がある。集落にとって魂のよりどころで、毎年11月から翌年2月にかけて行われる。2019年は、18の集落で行われた。
会ったことがなく、遠くなった親戚、祖父母の友達がいると思って、高千穂に行こう。午後到着でOK。奉納する焼酎2本を手に、神楽宿(民家、公民館)に向かう。神楽宿では、神様たちと村人が一緒に宴を持つための準備に大わらわ。家の中には、伝統にのっとった立派な「舞処」が作られている。真冬だというのに、ドアも窓も開け放ち、来る者を広く受け入れる。神社での神事が終わり、魂を入れ、神格を持つ神楽面を付けた神々が、神輿(みこし)と共に集落を舞い歩き、神楽は午後6時ごろ本番に突入する。
神楽は、神話、神道、仏教、陰陽五行、修験などの影響を受け、集落ごとに飾り付けや三十三番ある番付(演目)、舞いやテンポが少々異なる。
一般的に五穀豊穣、無病息災を願って舞うといわれているが、集落の生きざま、地域性も見えてくる。眠くなる時間帯には、腹を抱えて笑う舞いや子孫繁栄に直結する舞いが続き、高千穂ならではの天照大神のこもる岩戸を開けるクライマックスへと続く。
舞納めは、翌日午前9時ごろ。そして神々を送る。真冬の吹きさらしは寒く、防寒服と宿泊先を確保しての睡眠は必須だ。
クライマックスの神楽だけがお目当てなら、高千穂神社境内の神楽殿で毎晩午後8時より1時間、三十三番の神楽の中から代表的な四番「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を「高千穂神楽」として公開している(有料)。詳細は、高千穂町観光協会ホームページへ。