富山・高岡の祭り
富山県北西部の都市、高岡市。前田利家の長男で、加賀藩初代藩主の前田利長により高岡城下町として開かれた土地です。この高岡で毎年5月1日に開催されているお祭りがあります。「高岡御車山祭(みくるまやままつり)」です!
高岡御車山祭は、高岡關野(せきの)神社の春季例大祭として開催されているお祭り。關野(関野)は高岡と名が付く前の当地域の名称で、こちらは高岡開祖の前田利長も祀られている神社です。
それでは、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」33件の中の1つにも選ばれ、4年ぶり通常開催となった今年の高岡御車山祭の様子を見ていきましょう!
7基の山車が出発
高岡御車山祭の見どころは、なんといっても豪華絢爛な7基の山車。土蔵造りの町並みをはじめとした伝統的建造物が立ち並ぶ高岡の町を、約9mもの高さがある山車が次々に進む姿は見る者を惹きつけます。11時頃に山車の集合地点の坂下町へとやってくると、7基が勢揃いをはじめていました!
御車山とも呼ばれる山車ですが、こちらがお祭りに合わせ出るようになった由来には豊臣秀吉が関係しているんだとか。
豊臣秀吉が後陽成天皇と正親町上皇を聚楽第へ1588年(天正16年)に招いた際に使用した御所車を前田利家が譲り受け、それを引き継いだ長男の前田利長が高岡の開町に合わせ町民に与えたのがそのはじまりと言われています。
御所車に鉾を立て、さらに金や漆を塗り、見事な彫刻の装飾を加えることで生まれた現在の御車山の姿。目の前に現れるだけで場が華やかになる御車山からは、高岡の開町以来の繁栄ぶりが感じられますね!
11時20分からの勢揃い出発に向け、続々と山車が坂下町を目指しやってきています。
朝一番から、交差点を曲がるためにこんな大技も!
肩を山車前方の棒に入れ、車輪を浮き上がらせて一気に回転させていきます。この後も度々登場するこの技ですが、成功すると沿道からは歓声が上がっていました!車輪の大きさは約1.6mと子どもより高さがあるもので、迫力がありますよね。
高山御車山祭、御車山の奉曳が行われています!御車山の方向転換の際に、棒に肩を入れ車輪を浮かせる様子は大迫力。わっしょい、わっしょいの掛け声も良いですね!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/312Ty2bkcc
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 1, 2023
さあ、7基の山車が揃い出発です!
まず向かうのは高岡大仏の方面。高岡大仏は奈良、鎌倉と並ぶ日本三大仏の一つとされ、高岡のシンボルの一つとなっています。
続いては路面電車も通る大通りを進み、片原町交差点を目指す山車の行列。この山車行列が巡ることを高岡では奉曳(ぶえい)と呼び、その先頭を行くのは獅子舞です!
獅子舞を務めるのは、山車を持たない坂下町。源太夫獅子(げんだいじし)と呼ばれる獅子頭を持ち、山車が通る前を露払いして進んでいきます。
獅子舞の後ろから続くのは、通町の山車です!山車の上には七福神の布袋さんが乗り、前方では唐子人形が鉄棒をするからくりを見せながら向かってきますよ。
奉曳行列の2番目をゆく坂下町の御車山には、からくりがあるんです!唐子人形がくるくるとでんぐり返しを行い沿道を湧かせます!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/RrQnuf07yV
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 1, 2023
この通りは商店街のアーケードが連なり、沿道には山車を見ようと多くの方が集まっていました!
高岡關野神社に向かう
12時を迎えた片原町交差点に勢揃いする7つの山車。たくさんの方々に見守られる中、御車山勢揃式が執り行われます。
7基が横一列に並ぶ姿は圧巻!このタイミングでしか見られない貴重な光景ですよ。
勢揃式を終え、お祭りの中心地である高岡關野神社へと向かう山車の一行。露店が並ぶ参道の通りを進むと、目の前には鳥居が見えてきました!
その鳥居の前で出迎えるのが、神職の方々。
こちらではお祓いや祝詞奏上等の神事が行われました。
7基の山車が次々に鳥居の前へ進み、神事を受けていきます。
高岡の開祖、前田利長公を祀る高岡關野神社へは、次々に各町の御車山が挨拶にやってきています。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/1Ujgm7Fw0d
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 1, 2023
神事を終えたら、勢いよくUターン!こちらでも山車が回転する様子を見ることができます。
ここで立ち並ぶ山車に合わせ、山車のアイテムについてご紹介。目を引く山車の一番上に乗る飾りは鉾留(ほこどめ)と呼ばれ、動植物や武具等、各町で特徴がある形状が見どころです。
こちらは貴船町の鉾留”胡蝶”。1764年(明和元年)の製造と伝わり、町名の書かれた幟の上にも蝶が対のようにいるのがポイントです。
お次は小馬出町の太鼓に鶏。1753年(宝暦3年)の制作と伝わり、太鼓には前田家の家紋の加賀梅鉢が刻まれています。
そして釣鐘まであるんです。一番街通の山車の鉾留で、釣鐘には天女が描かれ、頭頂部には龍までいるんですよ!
続いてはからくりをご紹介。すでに紹介した通町の鉄棒をする唐子人形をはじめ、他には木舟町の太鼓を叩く唐子人形と小馬出町の太鼓を叩く猿の3種が存在します。
猿が太鼓を叩く様子はこんな感じ。左右の手に持ったバチで交互に叩いており、沿道からの注目を集めていました。
小馬出町のからくりは太鼓を叩く猿です!土蔵造りの建物が連なる、山町筋を進んでいきます。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/iDR9qGyplO
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 1, 2023
土蔵造りの建物との共演
高岡の魅力の一つに上げられるのが、歴史的建造物の連なる土蔵造りの町並み。山車を保有する町が集まった山町筋がその中心地になります。山町筋は国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されており、この通りではタイムスリップしたかのような光景の中を進む山車を楽しむことができますよ!
黒く塗られた土蔵造りの建物の横を、色鮮やかな山車が通ります。
こちらでは白壁の土蔵も。
大きな土蔵と山車の共演。絵になりますね!
山町筋を連なって進む7基の山車。たくさんの見物客が押し寄せ盛り上がります!道中鉄棒も披露しながら運行しますよ。
赤レンガの銀行もありました。こちらは1914年(大正3年)に建てられた、旧富山銀行本店の建物です。山車との色の対比が美しいですね!
猿も太鼓を叩きながら前へと進みます。
時折足を止めて、獅子舞を披露する場面も!
この後も土蔵造りの町並みの中を順次山車が運行されていきました。
そして日も暮れかかった18時頃、高岡の町を練り歩いてきた山車は曳納となります。再び高岡關野神社へ挨拶にやってきました。
一同勢揃いで一例。今年のお祭りの無事の終了を伝えているのでしょうか。
挨拶を終えた山車は各町へと帰っていきます。4年ぶりの高岡御車山祭、華やかに開催されフィナーレを迎えました!
宵祭もおすすめ
高岡御車山祭当日の前日は宵祭が開催。山車のライトアップやお囃子の披露等が行われ、前夜から楽しむことができるんですよ!
今年は宵祭に合わせ3基の山車が展示されていました。こちらは御馬出町の山車で、お供物が置かれている様子が見られるのも宵祭ならでは。
こんな間近で山車を見ることもできちゃうんです!見事な装飾をくまなく見学できますよ。
山車の前で、お囃子の試楽が行われる場面もありました。
ゆったりとしたリズムが夜の高岡をお祭りの雰囲気にいざないます。
高岡御車山祭宵祭が本日開催。ライトアップされた御馬出町の御車山の前で試楽が行われました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/CFq77U6jIs
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 30, 2023
お祭りや山車について知ることができる施設、高岡御車山会館の前でもお囃子の披露が!
この中では守山町の山車が展示されていました。翌朝には会館を飛び出して、高岡の町を練り歩くのですからすごいですよね。
前夜から高岡御車山祭を味わうことができる宵祭。ぜひご注目ください!
高岡へのアクセス
・富山駅からあいの風とやま鉄道線で高岡駅まで18分
・金沢駅からIRいしかわ鉄道線、あいの風とやま鉄道線直通で高岡駅まで38分
・東京駅からJR北陸新幹線はくたかで新高岡駅まで約2時間40分