「Worlds We Share」と盆踊り
世界中の70億人に知ってもらいたいということで、コロナが落ち着いたらやはり海外進出なども考えていらっしゃいますか?
(美成さん)そうですね、海外進出はすごくしてみたいと思っています。一過性のイベントにするのではなく、日本の文化、素晴らしさを伝え日本に来ていただけるような見せ方をするのが大事と思っています。
文化継承につながる可能性があるのであれば、どんどん色々な地域に行って想いを伝え、文化を体験していただきたいなと思います。
ありがとうございます。今回の閉会式は、ひとつのきっかけになりそうですね。
各国の選手達も東京音頭の振りをされている映像が流れてきたときは私もとても感慨深く、感動しました。閉会式のコンセプトは「Worlds We Share」でしたが、美成さんは、どのようにこのコンセプトを解釈し、踊りに表現されたのでしょうか?
(美成さん)やはり唄と踊りは世界共通であると思います、その日本版というのはまさしく「盆踊り」だと思っています。日本の文化を「シェア」する場面では盆踊りは最適なツールだと思います。特に「東京音頭」は唄も軽快で馴染みやすい。閉会式では、踊りを一方的に見せるというよりは、「みんながまとまる」というイメージを持ち、我々がリードはするものの、選手たちとともに世界中の方々に発信し、東京音頭の素晴らしさを知ってもらえたらいいなと考えていました。それぞれ違う環境下でも楽しめる、民族的な唄や踊りが日本にあることを知ってもらいたかったです。
一方では追悼というメッセージもあるのですが、それでも少しでもハッピーな気持ちになり前を向けるようになればなと思っていました。こういう状況下だからこそ、唄や踊りを通して想いを分かち合えればと意識しながら臨みました。
盆踊り自体、それぞれの楽しみ方や踊り方をしている方々が、集まって輪になって踊るものですよね。 まさに「1人ひとりの持つ異なる世界を共有しあって生きている」という表現とピッタリだったと思います。
ところで、閉会式にご出演以降何か反響はありましたか?
(美成さん)はい、事前に周りには知らせていなかったのでテレビを観た方はとても驚かれていました。また、今まで盆踊りということ自体が一般的にはすごくかっこいいものとは思ってもらえなかったんですけれど、今回の東京音頭を観てすごくほっとしたとか、元気が出たとか、嬉しいとか、ありがとうとか、知り合いからも400件くらい連絡がきたり(笑)、そういった言葉をニュースでみたりすると本当にやってよかったなという気持ちがとても大きいです。更に磨きをかけて、東京音頭を広めていきたいですし、全国的にお祭りが中止されている中で、来年以降になるかもしれませんが、今回のことが少しでもきっかけになればとは考えています。
私の周りでも「東京音頭」は日本らしさを感じられよかったという声や、海外に住んでいる日本人の方からの評判も聞かれました。もちろん「日本」=「盆踊り」ではないですが、日本の文化、日本の良さを今後沢山の人に知ってもらえるきっかけになったのではないでしょうか?
2021年の中野駅前大盆踊り大会は10月に開催予定です。日本の文化について今一度想いを巡らせながら、是非チェックしてみてはいかがでしょうか?
中野駅前大盆踊り大会実行委員長【鳳蝶美成】
日本民踊鳳蝶流 家元師範
公益財団法人 日本民謡協会 教授
中野区民謡連盟 常任理事
東北復興大祭典なかの 理事
一般社団法人 日本盆踊り協会 顧問
日本民踊・新舞踊協会 指導員
2021.2022年度 公益財団法人 日本民謡協会 公認アンバサダー
2021年8月8日オリンピックの閉会式で東京音頭を踊る。
6歳より母である石川流教授(当時)千桧香に民踊、舞踊を習う。
高校より演劇をはじめ、日本各地の民舞・盆踊りを指導する日本民踊『鳳蝶流』設立。
CM、TV出演・振付・指導と多方面に活躍。日本大学芸術学部卒。
「2020の夏は盆踊りでおもてなし!」 加熱と進化を続ける盆踊りの仕掛け人 鳳蝶美成氏・矢島友幸氏インタビュー(前編)
「盆踊りで世代を超えた人と人のつながりを生み出したい」 加熱と進化を続ける盆踊りの仕掛け人 鳳蝶美成氏・矢島友幸氏インタビュー(後編)
取材:さっちん(オマツリジャパン)
文:さっちん・はっしー(橋本淳央)
写真:オマツリジャパン編集部、大ちゃん/佐藤智彦、タカハシコウキ 及び 鳳蝶美成氏提供