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2022年は寅年!なんと獅子舞にも虎バージョンの「虎舞」がある!?

更新日:2021/12/29 いなむ
2022年は寅年!なんと獅子舞にも虎バージョンの「虎舞」がある!?

新年あけましておめでとうございます!獅子舞マニアのいなむです。
お正月といえば、獅子舞。室町時代に伊勢で飢饉や疫病除けに舞ったことがお正月に行うことの発祥といわれ、今では全国の神社や商業施設、自宅玄関先などで元気に舞っては、厄除けのため頭を噛んでくれるのがお正月の風物詩となっています。

ところで、今年2022年の干支は「寅」。実は獅子舞にも虎バージョンの「虎舞」があるのです!
冒頭の写真がまさにその一例ですが、見た目は虎だけど、どこか獅子舞に似ているなぁ…と思われた方も少なくないでしょう。今回は獅子舞マニアの視点から、虎舞とは何か?ということや虎舞の魅力をたっぷりお伝えします。

虎舞とは?

まず、誰もが思い浮かべる虎舞って何?というところから始めましょう。
虎舞は、虎が獲物を捕らえる様子を模した民俗芸能で、何頭もの虎が乱舞したり、笹をくわえて歯を研いだりと、迫力ある演技が見所です。「虎の梯子乗り」など、比較的アクロバティックな芸を行うところもあり、観客に見せるという意識が強いようにも感じられます。

百聞は一見にしかず!冒頭の写真は岩手県山田町の「境田虎舞」が、令和3年岩手県津軽石郷土芸能祭で行った演舞のひとコマでしたが、別の場所での演舞の動画がありますので、こちらをご覧ください。

▼岩手県山田町境田虎舞の演舞(出典:Japanese folk performing arts 東北文映研ライブラリー映像館)

虎舞の目的と由来は?

虎舞が伝わる具体的な地域は後述しますが、多くが海沿いです。これは、海難をもたらすなど漁師にとって大変重要な「風」を虎の威を借りて鎮め、航海の安全、大漁満作、家内安全、五穀豊穣などを祈願する意味が込められているからです。

また、中国由来のことわざで「虎は1日に千里行って千里帰ってくる」というものがあり、船出する漁師が港に無事に帰ってこられますようにという願いも込められています。

日本で虎舞が見られるようになったのは、江戸時代の中期ごろ。日本書紀によれば、獅子舞は飛鳥時代の612年に大陸から伝来しているので、獅子舞をはじめとする諸々の民俗芸能に比べると、虎舞は比較的新しい芸能だといえます。

虎舞のご先祖は獅子舞?共通点と違う所は?

見た目が似ているだけあって、やはり虎舞のご先祖は獅子舞です。獅子舞が一部の地域で変化して虎舞になっていきました。
大陸から伝わった仮面を使う無言劇のことを伎楽(ぎがく)といいますが、獅子舞のなかでも伎楽にルーツをもつものが変化したのが虎舞で、2人で1頭の虎を演じるのが特徴です。実際の虎も、足が4本ありますよね。虎舞では虎のリアルな姿を忠実に再現している場合もあり、近くで見ていると本当に迫力があります。

獅子舞と虎舞の共通点は、どちらも強い生き物の力を借りる、あるいはその生き物によって厄を払うという考え方が根付いているところです。違う点は、獅子舞はライオンが空想上の生き物に変換されて「獅子」になっているので、本物のライオンらしい姿の獅子舞はありません。それに対して、虎舞は虎が写実的に表現され「虎そっくり!」と思うことも多いでしょう。

虎舞は日本全国にいくつあるの?

佐藤敏彦『全国虎舞考』(平成4年3月, 富士印刷所)によれば、日本の11県27市町村で49団体の伝承が確認されており、最も数が多いのは岩手県となっています(虎舞の実施数は年々減少傾向にあり、令和3年12月時点の正確な実施数は不明です)。人口減少などによる担い手不足もあって、さらに減少している地域も多いことが推測されます。

虎舞の多くは五穀豊穣とともに大漁祈願や航海の安全の願いが込められているので、海沿いの地域に多く見られるのが特徴です。以下の地域で虎舞の伝承が確認されていますが、海無し県の山梨にも伝承されているというのは興味深いですね。

・青森県 3団体
・岩手県 31団体
・宮城県 3団体
・神奈川県 1団体
・静岡県 1団体
・山梨県 1団体
・富山県 1団体
・香川県 2団体
・愛媛県 1団体
・熊本県 3団体
・鹿児島県 2団体

虎舞が見られるお祭りを一挙に紹介!

それでは、南三陸の地域を中心に、筆者が訪れたことのあるいくつかの虎舞団体とその記事をご紹介します。虎舞の演舞の仕方も道具のデザインも様々で、地域性が見て取れます。

◎最大で7頭の虎が登場!岩手県山田町・境田虎舞

まずは、岩手県山田町の境田虎舞です。境田虎舞は大きな舞台を構え、最大で7頭の虎が登場する大迫力の演舞を行います。毎年9月に行われる八幡宮祭典と大杉神社祭典で披露され、町内外のイベント等にも出演中。若手の活気ある担い手が揃っています。

境田虎舞の詳しい紹介記事はこちら!

◎赤い虎頭もある!岩手県大船渡市・門中組虎舞

次にご紹介するのは、岩手県大船渡市の門中組虎舞です。門中組虎舞は赤い虎頭を被っているので、一見、獅子にも見えますが、胴体はしっかり虎柄となっています。この団体には専用の伝承館があり、祭り道具の保管や展示の仕方がとても素晴らしいです。

担い手は地域内外から積極的に募集されています。登場するお祭りは熊野神社の式年大祭ということで4年に1回、10月に開催されるほか、お正月の演舞や各種イベントに出演中です。

門中組虎舞の詳しい紹介記事はこちら!

◎東日本大震災から復活!岩手県釜石市・鵜住居虎舞

最後にご紹介するのが、岩手県釜石市の鵜住居虎舞です。鵜住居虎舞は、2011年の東日本大震災の影響で、虎舞の道具が全部流されてしまいました。家が流された人は地域外に移住し、虎舞を継続するのには多くの困難を経験したのです。

しかし、地域外からも通う人がいたり、補助金や寄付など資金面での支えもあったりと徐々に立て直し、今では数多くのメンバーによって継承されています。同時に、小学校で虎舞を教えるなど積極な活動も展開中です。旧暦の8月15日に行われる鵜住神社の例大祭で披露されるほか、各種イベントにも出演されているので、ぜひ足を運んでみてください。

鵜住居虎舞の詳しい紹介記事はこちら!

このように、虎舞には様々な種類があり、大漁祈願や五穀豊穣などの願いが込められています。また、地域の交流を盛り上げていくような役割もあります。

ここでは紹介しきれませんでしたが、日本全国虎舞フェスティバルをはじめ、虎舞を日本の各地で見られる機会はたくさんあります。寅年にこそ、虎舞のことをぜひ知っていただくきっかけになれば嬉しいです。

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この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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