菊の香りただよう季節になりましたが、読者諸兄姉の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。11月の風物詩と言えば「酉の市」。「酉の市」という名前は聞いたことがあるけれど、どこで開催されているの?どんなお祭り?と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
神奈川県内で開催される神社は横浜の金刀比羅大鷲神社(こんぴらおおとりじんじゃ)が有名ですが、川崎の稲毛神社(川崎山王社)でも「酉の市」が開催されています。今回は多国籍・多民族・多文化融合の歓楽街、川崎に鎮座する稲毛神社の「一の酉」をレポート。「二の酉」に参拝される皆さまのご参考になれば幸いです。
今年の酉の市は11月9日(火)・21日(日)の2日
「酉の市」は江戸時代から続く年末の風物詩。毎年11月の「酉の日」に行われる開運招福・商売繁盛を願うお祭りとして、酉の寺(浅草の鷲在山長國寺)や各地の鷲神社、大鳥神社など鷲や鳥にちなむ寺社で開かれています。11月の初酉を「一の酉」、次を「二の酉」、3番目を「三の酉」と呼び、「三の酉」まである年は火事が多いと言われています。
では、どうして「三の酉」まである年は火事が多いと言われているのでしょうか。実は、はっきりした理由はないようです。しかし、東京消防庁の消防雑学事典によれば、
『明治元(1868)年には神仏判然令が布告され、それぞれの寺で大鷲明神は分離することになりましたが、下谷長国寺から独立した大鷲神社は、吉原遊廓のすぐそばであったことから大いににぎわい、11月の酉の大祭には吉原の縁起にちなんだオカメの熊手が売られるようになり、吉原の大門も四方を開けて手軽に入れるようになりました。』
と記されています。おとりさまの参詣の帰りに男性が吉原に寄ることが多かったことから、留守を預かる家人が「三の酉」まである年は「火事が多い」という俗信を作り、家に引き戻したと考えられます。
ちなみに本年、令和3年(2021年)は「二の酉」まで。「一の酉」は11月9日(火)に終了しましたが、「二の酉」はまだこれから。「酉の市」に興味をもたれましたら、11月21日(日)の「二の酉」に足を運んでみませんか。
東京消防庁(消防雑学事典):https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/libr/qa/qa_35.htm
稲毛神社と酉の市
稲毛神社の由緒
当神社の創建の年代は不詳ですが、武神・武甕槌神をまつり、天皇軍の戦勝を祈る社として建てられたと伝えられています。当初は御祭神の御名から「武甕槌宮」と称していましたが、平安時代末期になるとこの地を領有した河崎基家(秩父平氏)が山王権現を勧請。以後、「河崎山王社」「堀之内山王権現」「五社山王」「三社宮」などと呼ばれるようになりました。
慶応四年、関東へ下降された有栖川宮熾仁親王が当社で休憩した際、「御社名、新政府の神仏分離の方針に相応しからず」と述べられたことから、社名を旧地名の武蔵国稲毛庄にちなんで「川崎大神稲毛神社」と改称。明治中頃に「稲毛神社」の名が定着しました。
酉の市
「酉の市」(大鷲神社例祭)は稲毛神社の境内に鎮まる、日本武尊を祀る大鷲神社のお祭りです。社名の「おおとり」が「大取り」に通ずるところから、商売繁盛・家内安全に御利益があるとされています。「酉の市」の日には、神社境内におかめや縁起物を飾った熊手を売る露店が立ち並びます。本年は中止となりましたが、例年ではお昼に着物行列や菊花展も行われています。
境内の様子
熊手を販売する露店が数店舗でていました。
天候も悪く、平日のお昼前ですが、参拝に来る方も散見します。
天候が良ければ、賑わっていたことでしょう。ただ、夕方には天候も回復したので、夜は仕事帰りの人たちて活気づいていると考えられます。
熊手以外にも、「やきそば」や「たこやき」、「じゃがバター」を販売する露店もあります。
稲毛神社へのアクセス
稲毛神社は、JR線「川崎駅」もしくは京浜急行線「京急川崎駅」下車。市役所通りを徒歩で約10分。第一京浜沿いに鎮座しています。
稲毛神社
〒210-0004
神奈川県川崎市川崎区宮本町7-7
https://www.takemikatsuchi.net/index.html