福島県郡山市で開催されている「郡山うねめまつり」は、1965(昭和40)年に安積郡9カ町村と旧郡山市が合併したことで「市民が一体となれるまつりをおこしたいという」という気運が醸成され始まった、郡山市を代表する市民まつりです。オマツリジャパンでは、2024年の60回開催を機に、さらに祭りを盛り上げようとする地域の方々のお手伝いをさせていただきました。
<この記事のポイント>
・歴史ある市民まつりが抱える課題を調査で洗い出し、改善策を提言した
・仮説としてあった祭りの課題が、調査をもとに証明された
・想定されていなかった詳細な課題、魅力ポイントも見えてきた
・オマツリジャパンの知見を生かした提言ができた
漠然とした課題感を、客観的調査で浮き彫りにする
「郡山うねめ祭り」は、2024年に第60回目を迎える歴史あるお祭りですが、近年は「祭りのマンネリ化」「流し踊り参加者の固定化」「高齢化」など複数の課題が持ち上がっていました。
2024年は、郡山うねめ祭りの60周年であると同時に、郡山市の市制施行100周年を迎える年。祭りを見直すのにいい機会ではないかという声が内部から上がり、郡山市の担当者さまからオマツリジャパンにコンサルティングのご相談がありました。
関係者の中で「市民の、祭りへの満足度が低下している」「祭りの参加者が減っている」といった課題感は漠然と共有されていましたが、それはあくまで感覚的なもので、実際の市民の声を反映したものではありませんでした。
本当に満足度は低下しているのか、満足度が低下しているとしたら何が原因なのか、うねめまつりをさらに盛り上げていくためには何を改善すればいいのか、オマツリジャパンでは、課題把握のための調査と、調査にもとづく改善策の提言を担い、その内容を最終的に「うねめまつりヒアリング報告書」として取りまとめました。
市民・祭り関係者へのアンケートに加え、ヒアリングでリアルな声も分析
アンケート調査は、市民に向けてだけでなく、祭りのメインコンテンツとなる流し踊りの参加者、また祭り当日の来訪者(市民)に向けても行われました。また祭りの全体像を把握するために、オマツリジャパンメンバーが実際に会場にも足を運び、祭りのリアルな空気感を感じるとともに、会場レイアウトやタイムスケジュールなど、運営面での問題はないかなど、現地でしかわかりえない課題の把握に務めました。
以上の調査の結果、流し踊りがワンパターンで工夫が足りない、前向きに参加する仕組みが欲しい、祭りの名称にもなっている「釆女伝説」のストーリーが悲劇的で盛り上がりづらい、コンテストの審査基準が明確に伝えられていないといった意見が、市民やイベント参加者のリアルな声としてあがってきました。また、ネガティブな声もある一方で、うねめまつりを地元の風物詩としてとらえている人が多いことや、地域を盛り上げようという思いで踊りに参加している人がいることなど、ポジティブな声も拾うことができました。
全国のお祭り事例を踏まえた、実践的な改善策を提言
提言の方向性は大まかに、祭りのストーリーを前向きにすること、流し踊りを楽しく参加しやすくすること、運営面での改善の3つとなりました。また、例えば流し踊りを現代風にアレンジするという改善案に関しても、急にすべて変えてしまうのではなく、古い要素の中に少しずつ新しさを加えた方が定着しやすいなど、全国各地の事例を踏まえた、オマツリジャパンらしいノウハウも折り込みました。
さらに、参加者・聴衆が一体となった盛り上がるフィナーレの提案は、実行委員会で予算化、具体的な運営方法を検討し、実現する流れとなっています。新要素が加わる2024年の「郡山うねめ祭り」の開催に期待が高まります。
全国の市民まつりには、郡山うねめまつりと同様に、マンネリ化、高齢化などの課題を抱える地域も多いかと思います。課題感を洗い出したい、市民のリアルな声を改善策に反映させたい、関係者を巻き込むための説得材料が欲しい、そうお考えの主催団体のみなさまは、まずは一度オマツリジャパンまでご相談いただければと思います。
(写真提供:郡山うねめ祭り実行委員会)