毎年11月のお祭りといえば、関東ではおなじみの「酉の市」。縁起物の熊手を求める人や、屋台グルメを楽しみにやってきた多くの人たちで賑わいを見せる秋の年中行事です。2023年は、一の酉が11月11日(土)、二の酉は11月23日(木・祝)に開催されます。
この記事では、酉の市の発祥地の1つとされている浅草の長國寺の2023年開催情報と、2021年の酉の市の様子をお届けします。ぜひ酉の市にいく際の参考になさってください。
(この記事は2021年に公開されたものを一部修正し、再編集しています。2023年11月8日 編集部更新)
2023年「浅草・長國寺」酉の市の開催は?
【開催日時】
<一の酉>11月11日(土)
<二の酉>11月23日(木・祝)
※開催時間(各日とも) 午前0時から午後24時まで
※特別祈願受付および酉の市御祭儀などの時間については公式サイトをご確認ください。
詳しくは長國寺 酉の市 公式サイトをご確認ください。
別名「酉の寺」。長國寺の酉の市とは?
関東で唯一、お寺で酉の市を開催していることでも知られる鷲在山長國寺。1630年の開山以来、毎年酉の市を開いているため、江戸時代の昔から別名「酉の寺」として親しまれてきました。
浅草の酉の市はこの長國寺と、道1本を隔てて隣接する鷲神社との共催です。元々は同じ境内にあったという両者。酉の市の始まりにはいくつかの説がありますが、それぞれ仏教説、神道説を唱えていて、長國寺は以下のような仏教説を酉の市の起源として紹介しています。
鎌倉時代の文永2年に、宗祖・日蓮大聖人が現在の千葉県茂原市である上総国鷲巣(かずさのくにわしのす)にある小早川家に滞在している間、国家平安を祈願していたそうです。
その時突然、金星が動き出して不思議な力をもって現れたのが鷲妙見大菩薩(わしみょうけんだいぼさつ)といわれています。鷲妙見大菩薩は、七曜の冠を被り宝剣をかざして鷲の背に立つ姿から「鷲大明神(おおとりだいみょうじん)」や「おとりさま」と呼ばれてきました。
鷲妙見大菩薩が現れた11月の酉の日をご開帳日と定めて以来、開運招福の守り本尊として広く尊び崇められています。
酉の市の限定御朱印には鷲妙見大菩薩の朱印が押され、その上に「鷲妙見」の文字が墨書きされます。また、お賽銭箱の上の大きな提灯にも「鷲妙見尊」と書かれているのはそのためなんですね。
ここからは2021年の酉の市の様子をレポート!
境内の熊手の出店と混雑は?
長國寺の入り口は鷲神社から50mくらい離れたところにあります。基本的に順路は国際通りからの一方通行のようですのでご注意ください。
入るときに検温をし、パスすれば3㎝四方くらいの白いシールを、服の上から腕の部分に貼ってもらえます。手の消毒を忘れずに入場しましょう。
長國寺の山門には「鷲在山」の文字、右を見上げると大きな熊手が掛かっていて、ワクワクします!
中に入ると、さっそく熊手の露店が奥までぎっしりと立ち並んでいます。到着したのが21:00過ぎと遅かったためか、混雑はそれほどでもありません。
入場も、進んでいくのもとてもスムーズでした。他の場所の酉の市の情報も総合すると、平日開催の場合、混んでいるのはおそらく19:00前後ではないかと思われます。
そして熊手、熊手、熊手!特に、大きな熊手には目を奪われますね!
皆さん、とても真剣な眼差しで熊手を選んでいるのが印象的です。
「面亀」さんの前にひときわ大きな人だかりができているので、見に行ってみるとテレビ局関連の会社の熊手が多い様子。こんな風に熊手の行先の社名を見るのも楽しみの一つですね。
ちなみに府中の大國魂神社からの酉の市レポートによると、こちらの面亀さんでは、何と価格が2,021万円の「宇宙を翔ける熊手」なるものを販売するのだとか。宇宙空間に熊手を打ち上げ、その熊手は地球の周りをまわりながら1年間福をかき集め続けるらしいのです!
一の酉ではその「宇宙熊手」は見かけませんでしたが、二の酉では店頭に登場するかもしれないので注目ですよ。
長國寺はそれほど広くなく、山門から40mも進むと突き当りがもう本堂です。混んでいないうちに先にお参りを済ませるのがおすすめ。
大きな提灯には酉の市のご本尊「鷲妙見尊」の文字が。
そして、後ろに並んでいた人たちが「ちょっと何あれ!すごーーい!!」と言っていたのがこちらの鈴!
いくら何でもたわわ過ぎるのでは…?と思いながらも、めっちゃ張り切って鳴らしました(笑)
お参りして振り返ると、人並みが急に増えていました。遅い時間でも時折、かなり混雑する瞬間もあるようです。
酉の市の限定御朱印は?
本堂でお参りしてそのまま左手方向に進むと、御朱印の授与所があります。
酉の市のときの特設授与所のようで、御朱印は書き置きのみとなっています。
中央の薄紫色の和紙にご本尊の「鷲妙見」と揮毫されたものが、酉の市の時だけ頒布される限定御朱印になります(納経料は500円)。背景には鷲妙見大菩薩の姿の判が押され、右下に「一の酉」と書き入れてくださいます。二の酉に行ったときは「二の酉」と入れてくださるそうです。
右は愛称である「酉の寺」の御朱印、左は日蓮宗の寺院では一般的な「南無妙法蓮華経」が墨書きされる御首題です(納経料は各300円)。この2種類は通常版ですが、やはり右下に「一の酉」と入れてくださるので、この日限定ともいえるでしょう。
さて、御朱印を拝受してそのまま進み、右へ折れると甘酒を売っています。
境内で売っている飲食物はこれくらいで、あとは10mほど行くと出口になります。
出口の向こうには道路があり、鷲神社の裏手を通ってまっすぐに続いています。
本堂でお参りした後、御朱印授与所とは反対の右手の方向に進むと、数店の熊手の露店があり、細い道をはさんでお隣の鷲神社への入り口となっています。
鷲神社のほうが熊手のお店の数や種類も多いので、せっかくですから鷲神社にも行って両方の酉の市を楽しむのがおすすめです!
グルメ屋台の出店はある?
酉の市といえば、熊手と並んで最大のお目当てはお祭りグルメ!コロナ禍ではグルメ屋台の出店を中止する場所も多いのですが、ご安心を。浅草は長國寺~鷲神社の裏手を走る道路をびっしりと屋台が埋め尽くしていました!
酉の市名物、切山椒のお店はもちろん、はしまき、べったら漬けのお店、おでん・魚介焼き・串焼きのお店、鶏卵にこだわった京都のベビーカステラのお店、大たこ焼きなどなど。
「切山椒」は、甘さの中に山椒をほのかに効かせた短冊形のお菓子で、縁起物グルメとして名高い餅菓子です。山椒の木は、古くから生薬に使われ、実から木の皮に至るまで捨てるところがない縁起が良い木とされてきました。
切山椒を食べると1年間風邪を引かないと言われ、無病息災を叶えるお菓子として江戸時代より親しまれてきました。これぞ浅草酉の市の名物ですね。
しかしながら、到着したのが遅く21:30近くになっていたため、ほぼ何も残っていないお店がほとんど…(涙)道の半分はすでに撤収を始めているといった状態でした。
せめて20:30くらいまでには、グルメは堪能してしまったほうがよさそうです!!
ただ、屋台ではなくてビールやサワー、升酒などのドリンク類を売っているお店にはまだまだ人が並んでいましたよ。
交通アクセスは?
専用の駐車場がなく、当日は車線規制や人出の多さなどで渋滞するため、公共交通機関で行くのが吉です!なかでも一番近くて分かりやすい日比谷線・入谷駅から行くのがおすすめ。
入谷駅の3番出口を出たら広い道路(昭和通り)沿いに直進します。
最初の信号を右斜め前方向に曲がって、ひたすら真っすぐ進むと、遠く道の突きあたりに鷲神社の提灯が並んでいるのが見えてくるはず。
鷲神社の入り口が見えたら、目の前の横断歩道を渡りましょう。
信号を渡ったら、鷲神社と逆の左方向へ歩き、50mほど行ったところに長國寺の入り口の山門があります。入谷駅からは徒歩7~8分で到着です。
特に夜は冷え込むこともあるので寒さ対策も万全にして、ぜひ楽しんでください!!
2023年は、それぞれ土曜日・祝日の開催となるため混雑が予想されます。午前中など早めの時間から行くのがおすすめです。そのあとはランチがてら浅草を散策してみてはいかがでしょうか。