6月13日に山王日枝神社で開幕する東京の盆踊りシーズン。かつては9月が踊り納めとされていたが、近年事情が変わってきた。盆踊りの中心地と呼べる中央区で、年の瀬市のハシリとして親しまれている大伝馬町の『べったら市』にあわせ、新たな盆踊り大会【べったら盆踊り大会】がはじまったのだ。
以降この盆踊りがオフィシャルな都内の踊り納めと認識され、多くの盆オドラーにとってはシーズンを締めくくる踊り場となっている。
見逃し厳禁の【べったら盆踊り大会】の魅力とは、果たして?
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東京で最後の盆踊り!肌寒さもなんのその
彼岸もとっくに過ぎた10月になって、まだ盆踊りを踊っている、といったら、東京以外の方は驚くかも知れない。しかし6月から5ヶ月目を数える10月20日、大伝馬町の大伝馬本町通りの路上では、その年最後の盆踊りとなる【べったら盆踊り大会】が開催されるのだ。
2012年に第一回目が開催された【べったら盆踊り大会】は、中央区の新たな行事として、地元の方はもちろん、盆オドラーにとって、欠かすことのできないイベントになっている。
秋風が吹く、時折寒さを感じる時期の盆踊りではあるが、盆オドラーは全く気に留めることなく、踊りに没頭するのだ。
べったら市の賑やかさの中、大伝馬町の路上が踊り場と化す!
『べったら市』とは、江戸っ子にとって親しみのある、大根の麹漬け『べったら漬け』販売を中心に行われる市である。酉の市や羽子板市に先駆けて行われ、年末商戦に向けた最初の市として広く知られている。
寶田(宝田)恵比寿神社を中心とした大伝馬町一帯にて、江戸時代中期から400年以上続く伝統行事として親しまれているのだ。
毎年10月20日は商売繁盛を願う『恵比寿講』という祭りがあり、この前日の19日に、神社門前に市が立ち、供え物の魚や野菜、神棚や仏具などが売られるようになったことが起源とされる。
現在べったら市は毎年10月19日と20日に開催される。およそ500軒もの露店が立ち並ぶ様は圧巻だ。
19日は神輿や山車の練り歩きが、20日には盆踊り【べったら盆踊り大会】が行われることは、もはや風物詩の一部となっている。
みんな知ってるあの曲から、歌手による生歌まで!盆踊りの思い出を悔いなく締めくくろう!
【べったら盆踊り大会】という名の通り、この踊り場でメインの曲といえば、《べったら音頭》である。
作曲した中川翼さんは、当時小学校5年生の時だったそうで、毎年会場にも顔を見せる。
この曲では手ぬぐいを右手に持ち、べったら漬けを振る所作がある、ユニークな音頭だ。
同じくこの場所でしか踊ることの叶わない《小伝馬町音頭》《日本橋音頭》も魅力で、《べったら音頭》を含む3曲が、一晩で何度も踊る定番曲となっている。
その他の曲は、中央区でおなじみのナンバーとなる。
ご当地曲の《これがお江戸の盆ダンス》を筆頭に、《東京音頭》《炭坑節》《大東京音頭》といったメジャー曲、中央区以外ではなかなか踊る機会の少ない《ベイサイド・ブギ》
《きよしの数え唄》《どだればち・サンバ》《2000年音頭》も楽しめる。
もちろん《ダンシング・ヒーロー》や《バハマ・ママ》といったダンサブルなナンバー、《チャンチキおけさ》《きよしのズンドコ節》《大江戸東京音頭》《銀座カンカン娘》なども外さない。
また、中央区に所縁のある歌手として、福田昭三さんや、トークも絶妙な、さこみちよさんも毎年登場し、生歌とともに踊ることができることも楽しみの一つだ。
盆オドラーにとって、その年のおさらいともいえる馴染みの曲を踊りながら、都内で最後の盆踊りは終了していくのだ。
【べったら盆踊り大会】に参加するなら、知っておきたいワンポイント情報
都内で最後の盆踊り、ということもあり、毎年鼻息の荒い盆オドラーで大変な賑わいとなる。途中からの参加の場合、踊りの輪に入ることが難しいほどだ。なるべく早い時間に現地入りし、踊る場所を確保しておきたい。
雨天の際には近隣の十思(じっし)スクエア2階で代替開催されるが、途中から雨が降り出した際には、盆踊りが中止となることもある。
10月ということもあり、日が暮れるのも早く、暗くなると途端に寒さに見舞われる。踊る際には暑さも感じるが、羽織るものを用意するなど、対策をして臨みたい。
現地では有料で半纏の貸し出しも行われる。寳田恵比寿神社の神紋『丸に蔓柏』のデザインと鮮やかな黄色に気分も上がるが、やはり数に限りがある。希望者は踊りがはじまる前、早めに対応しよう。
べったら市の賑わいの中、名物のべったら漬けや切り山椒をはじめ、多くの露店や飲食店も出店している。江戸時代から続く、年の瀬の市も満喫しよう。
べったら漬けは皮あり、皮なしの2種類があるものの、店によっては早い時間に売り切れとなる。また、通が好む菜っ葉漬けも数量限定で用意されている。やはり早めに手を打つことが望ましい。
年の瀬気分と盆踊り、相反する要素を、一粒で二度美味しく楽しめる【べったら盆踊り大会】。
ぜひ盆オドラーや地元の方と一緒に満喫しつつ、お江戸の盆踊りライフを締めくくろう。
盆ボヤージュ!