\9月6日は飴の日!/
「飴の日」は、長野県松本市の老舗飴屋3店(山屋御飴所・新橋屋飴店・飯田屋製菓)による「松本飴プロジェクト」の発案で、一般社団法人 日本記念日協会に認定され記念日となりました。
日にちの由来は日本書紀の神武天皇記に飴を作ったという記述があり、その日が9月6日と推察されることからきているのだそうです。
老舗の飴屋さんが作るご当地飴は全国各地にが存在しますが、この記事では中部地方の各県ごとに代表的なものを厳選。同時に、愛知で行われている飴にまつわる奇祭についても併せて紹介しましょう!
目次
糸魚川市民にも全国のファンにも愛される「マキノ式飴」
大粒でカラフルな飴が一粒ずつオブラートに包まれ、まるで宝石のようだと賞される「マキノ式飴」。新潟県糸魚川市の「牧野製飴店」が昔ながらの製法で丁寧に手作りするこの飴は、市民に古くから愛されている故郷の味です。
フレーバーは黒糖、イチゴ、落花生など定番8種類のほか、梅やハッカ、ミルク味のさらし飴など季節限定のものも。
全国にも多くのファンを持ち、特に週末に多く訪れる家族連れには、誰にでも食べやすい大きさの「小粒飴」が人気です。
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薬の町・富山の商人が全国に広めた「佐々成政のど飴」
伝統的な飴に使われる麦芽の水飴は、薬の町、富山では丸薬の材料として使われた歴史があります。
戦国時代、織田信長の重臣であり越中富山の城主として民衆に尽くした佐々成政。江戸時代に入り、その家臣の子孫たちは売薬商人として全国へ出かけ、薬と一緒にのど飴も届けたのだとか。
「佐々成政のど飴」は柔らかい麦芽水飴に甘草やシャゼンソウ、カリンや生姜など、のどに効果がある生薬をブレンド。素朴で懐かしい甘さととともに優しくのどを癒やしてくれる飴として親しまれています。
島川製飴さんの飴をお客さんからいただいた!BEATRAMフェスの時MCで話したの覚えててくださったみたい。大学生の頃にゼミで富山に行った時お世話になったのだ。ずっと食べたかったから嬉しい。美味しい。 pic.twitter.com/1CQsnwULXl
— 関取 花 (@dosukoi87) March 2, 2014
金沢で江戸時代から愛される栄養食品「じろあめ」
加賀地方の方言で、柔らかいを意味する「じろい」「じるい」が名前の由来といわれる「じろあめ」。
うるち米と大麦、白山の伏流水を使い、人工保存料や甘味料は使わずに作られる水飴は、優しい甘さが特徴で、すっきりとした後味に仕上がっています。
じろあめを製造する老舗「俵屋」の支店は金沢市内にいくつかありますが、本店では、じろあめをすくって壺に入れる「飴詰め体験」を楽しめます。
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砂糖不使用で体とのどにやさしい「若狭飴」
福井県小浜市の若狭飴本舗大入号が製造・販売する「若狭飴」は、県内の人はもちろん、県外からもリピーターが多い飴として知られています。
「体への優しさ」と「健康へのこだわり」をコンセプトにした飴は砂糖不使用。素材の味を活かしながらオリゴ糖を使って柔らかな甘さに仕上げているのが特徴です。
フレーバーも非常に豊富で、一番人気のレンコンをはじめ、キンカン・甘酒・しょうが・梅・若狭湾の塩などの和風から、マンゴー・アサイーといった洋風まで20種もの飴が揃っています。イチゴとトマトをミックスした、福井出身の高橋愛さんによるプロデュース「AIキャンディ」も人気です。
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「松本あめ市」限定!新年の縁起物「福あめ」
「飴の日」を発案した老舗3店がある長野県松本市は、日本有数の飴の街です。
市内には他にも多くの飴店があり、毎年正月明けの土日には「松本あめ市」が開かれます。日本各地からも集結した飴の即売会はもちろん、上杉・武田軍に分かれて綱引きをする「塩取合戦」や、お神輿の巡行、太鼓の演奏など様々な催しで賑わいます。
そんなあめ市の期間中だけ、市内の飴店が製造・販売するのが「福あめ」です。新しい年の実りと健康をもたらす縁起物として登場し、モチーフも福助やおかめのほか、塩を入れる袋が膨らんだ様子を模した福良、塩が届いた日の喜びを表現する寿入れなど、縁起の良いものが選ばれます。
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あの信玄餅のきな粉と黒蜜を手軽に味わえる「桔梗信玄飴」
山梨を代表する銘菓「信玄餅」で有名な桔梗屋から、信玄餅の飴も販売されているのをご存じでしょうか。
「桔梗信玄飴」は、信玄餅のきな粉と黒蜜だけをたっぷり使って作られたきな粉飴。餅と食感が違うだけで、どこか懐かしい味わいは同じです。
しかも、ひと口サイズで小袋に個包装されているので、いつでもどこでも手軽に、あの信玄餅の美味しさを楽しめます。
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郡上八幡の名物飴は2種類のニッキ味「肉桂玉」「黒肉桂」
日本三大盆踊りの一つ「郡上おどり」で知られ、奥美濃の小京都とも呼ばれる郡上八幡市。この地で明治20年創業の「桜間見屋」で作られている飴が、郡上名物の「肉桂玉」と「黒肉桂」です。
肉桂玉は、上質の中ざら糖を使用し、手作業でじっくりと作られるニッキ味の飴。ニッキの辛さと香りが口の中で豊かに広がります。黒肉桂は先代のご主人が考案。上質な黒砂糖を使用し、ニッキとの香り豊かなハーモニーが魅力です。
鮮やかな赤い缶入りの肉桂玉と黒肉桂は、どちらも人気の郡上土産になっています。
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夜泣石の伝説に出てくる飴が食べられる!「子育飴」
京都の幽霊子育飴のように、亡くなった母親から生まれた赤ちゃんと飴を題材にして、子への母の愛情を伝える民話は日本各地に残っています。
静岡県掛川市で遠州七不思議の1つに数えられている「小夜の中山 夜泣石」の伝説もその1つ。殺された母親の魂が石にのり移って泣き、それに気づいた久延寺に赤ちゃんは引き取られ、飴で育てられたというものです。
この伝説に基づいて麦芽糖水飴で作られた「子育飴」を、現地付近のドライブイン・小泉屋で味わえます。水飴のまま食べられるほか、溶かした子育飴を混ぜたソフトクリームもあります。もちろんお土産として買って帰ることも可能です。
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犬山城主が考案して家臣にふるまった「げんこつ飴」
愛知県犬山市のご当地飴といえば「げんこつ飴」。江戸時代初期、犬山城主の成瀬正成が滋養効果のある陣中食を考案している際に生まれ、家臣にふるまったといわれています。
げんこつ飴を製造・販売しているお店は現在、犬山市内に数軒ありますが、いずれも素材の水飴ときな粉には無添加や体に優しいものを使うなどこだわりがあり、昔ながらの製法を大切に丁寧に作っています。
400年以上の長きにわたって城下の人々によって受け継がれてきたげんこつ飴は、今でも市民から愛されています。
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鬼が飴と白い粉を撒き散らす奇祭!「豊橋鬼祭」
「げんこつ飴」が名物の犬山市と同じ愛知県の豊橋市では、飴にまつわる奇祭「豊橋鬼祭」が行われます。
豊橋鬼祭は、毎年2月に安久美神戸神明社の例祭として開催される、豊橋市に春を呼ぶお祭りです。
祭りの最大の呼び物であり、奇祭と呼ばれる由縁ともなっている「赤鬼と天狗のからかい」では、敗れた赤鬼が「タンキリ飴」と白い粉を撒き散らしながら飛び去ります。
この粉を浴び、飴を食べると厄除になって、夏病にかからないと古来から言い伝えられています。
まとめ
この記事では、中部地方のご当地飴と飴にまつわる奇祭「豊橋鬼祭」をご紹介しました。
特に老舗が作る伝統的な飴には、美味しいだけでなく、その土地の歴史や文化が背景にあったり、年中行事やお祭りと密接な関係があったりしてとても面白いですね。
興味を持たれた方は、ぜひお住いの地域のご当地飴についても探ってみてはいかがでしょう。