毎年6月の岩手の風物詩といえば、チャグチャグ馬コ!農耕馬に日頃の感謝を込め、華やかな馬具で着飾った約100頭の馬とともに行進するお祭りです。
おめかしした馬コの姿や上に乗る子どものかわいらしさに加え、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた馬コの鈴の音や馬蹄の心地よい音も大きな魅力。今年2023年は6月10日(土)に行われます。
ここからは昨年2022年、コロナ禍を経て3年ぶりに開催された現地のレポートとチャグチャグ馬コのお祭りの歴史、盛岡B級グルメ情報をお届けします。今年の開催情報もあわせてお伝えしますので、ぜひお出かけの参考にしてください。
目次
久しぶりの「チャグチャグ馬コ」に笑顔も弾む
6月11日の土曜日、晴れ渡る空のもと、久しぶりに美しい装具を纏った馬コ達が、滝沢市の鬼越蒼前(おにこしそうぜん)神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの14キロをゆっくりと行進しました。
「チャグチャグ」と馬コが歩くたびに聞こえる鈴の音と馬コの美しい装具、そして馬コに乗る小さな子供たちの笑顔に、沿道の人々から大きな拍手が送られていました。
3年ぶりとあって馬コに乗る子供たちも例年より嬉しそう。手を振る姿に沿道から大きく手を振り返す観客の姿もありました。
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町全体がお祭り気分に
今年の「チャグチャグ馬コ」について盛岡の谷藤市長は「今年度こそ失われたにぎわいを取り戻し、世界的に類を見ない貴重な伝統行事の保存継承に努めたい」と話しています。
チャグチャグ馬コは、見る、聞く、香りそして街の雰囲気を感じる祭りです。参加する人、沿道で観覧する人それぞれが3年ぶりの祭りを堪能しているようでした。
コロナ対策もしっかりと
今回はコロナ対策として、馬コの休憩地点を変更。いつもは5団体ほどが行う踊りなどの演目を今年は2団体で計15分としました。
また、観覧時の飲食自粛や大声を出さないことも求め、隣の人との距離の確保のためプラカードを持ったスタッフを増員し、注意を呼びかけるなどの対応も取っていました。もちろん観覧する際は、マスク着用です。
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チャグチャグ馬コの歴史
岩手県は遠く奈良時代から南部駒という優良な軍馬の産地でした。
戦国時代が終わり江戸時代に入ると、人々は農耕馬として家族同様に馬への愛情を持って生活をするようになります。母屋と馬屋をL字型につなぎ、母屋の暖気を送って馬を冬の寒さから守る南部曲り家という家の造りは、当時の人々の思いを今に伝えています。
馬を大切にする気持ちから馬への信仰心が生まれたのでしょう、蒼前様と呼ばれる農業の神・馬の守り神の男子騎馬像が鬼越蒼前神社(旧・駒形神社)に祀られています。
やがて旧暦の端午の節句の日は農作業を休み、重労働で体を酷使している馬も休ませるようになりました。その日に無病息災祈願のため馬を連れて鬼越蒼前神社に詣でた蒼前詣がチャグチャグ馬コの起源と言われています。蒼前詣がいつから行われていたかは不明ですが、江戸時代初期と考えられています。
明治に入って行事は一時的に衰えたものの、明治20年代に復活しました。岩手県では日清戦争、日露戦争などにより軍馬の育成も行われたことからチャグチャグ馬コ行進も盛んになり、当時は1,000頭もの馬が参拝したのだそうです。
しかし、その後第二次世界大戦が始まると丈夫な馬は次々と戦地に送られ、行事は次第に廃れていきました。終戦後、しばらくして保存会が結成され復活し、開催日が旧暦から新暦の6月15日に変わったのは昭和33年(1958年)のこと。平成13年(2001年)からは6月の第2土曜日に行われるようになりました。
今年は、59頭の馬が参加しましたが、現在は馬主の高齢化が進み、参加する馬が減っているのが悩みだそう。滝沢市の福祉施設が農耕馬の牧場経営をしたり、餌代を援助するためのクラウドファンディングの取り組みも行っているそうです。
盛岡B級グルメも欠かせない
祭りに欠かせないのが、「うす焼き」です。
お店特有のダシを混ぜ込んだタネを薄く焼き、小海老を散りばめ、焼き海苔を乗せます。ひっくり返して出来上がり。
お好みで、ソースか醤油を塗ってもらって、食べ歩きがたまらない(今はコロナの影響でテイクアウトのみです)。
うす焼きのお店は、沢山ありますが、筆者は、毎年盛岡八幡宮の境内に出店している「ささきのうす焼き」がイチオシです。
初詣やお祭りの時には、長い長い行列が出来ていて、その人気に毎回驚かされます。
盛岡っ子は、お正月、花見、夏のお祭り「さんさ踊り」、秋の盛岡八幡宮例大祭など一年中何かのイベントで「うす焼き」を食べて祭り気分を盛り上げています。
来年は、ぜひあなたも盛岡におでってくなんせ
チャグチャグと涼やかな音と馬の蹄の音、そして美しい馬の装具や馬に乗る可愛い子供たちの笑顔。
ゆったりとした時間が流れる、小京都・盛岡の初夏の風物詩「チャグチャグ馬コ」が今年は開催され、やっと盛岡にも夏がやってくるなあと感じました。
車でお越し際は、東北自動車道盛岡ICより盛岡方面へ向かうと駅周辺でも観覧できます。
来年は、ぜひあなたも岩手盛岡におでってくなんせ。
2023年 チャグチャグ馬コ 開催情報
■日時:2023年6月10日(土) 9:30~13:50
■場所:岩手県滝沢市・鬼越蒼前神社~盛岡市・盛岡八幡宮までの約14㎞を行進
■行進ルートの主な地点と通過予定時間
9:30 鬼越蒼前神社 出発
10:05 滝沢市役所前
10:25 滝沢ニュータウン南側交差点
11:10着 11:40発 青山町盛岡ふれあい覆馬場プラザ前通り
12:20 館坂交差点
12:40着 13:00発 材木町商店街
13:10 盛岡駅
13:35 櫻山神社
13:50 盛岡八幡宮
■LIVE配信:6月10日(土)当日は、9:00から岩手ケーブルテレビジョンのYouTubeチャンネル「ICT市民チャンネル」で、祭りの様子がLIVE配信されます。
※そのほか、更新ルートのマップや交通規制と無料シャトルバスの運行など、詳しい情報は盛岡市の公式サイト、または、滝沢市の案内ページからご確認ください。