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上下に2つの拝殿をもつ国内初の重層社殿
国土の狭い日本では住宅を含め平屋建ての建築は珍しくなっています。千葉市中央区の千葉神社には開創990年にあたる1990年、「平成の大造営」によって上下に2つの拝殿をもつ国内初の重層社殿が誕生しました。神社の境内には、摂社として学問の神、菅原道真を祭神とする千葉天神が社殿を構え、例年1月下旬から2月上旬にかけて「うそ替え神事」が行われています。2021年には1月25日~2月3日の期間で実施されました。
重層社殿の東に隣接する授与所で受け取れる新年の木彫りの鷽鳥
「うそ替え神事」は、古くから天神信仰にのみに伝わり、木彫りの鷽鳥を毎年交換することで、「今までの悪しきをウソとなし、すべてを吉に鳥かえる」とするものです。「うそ替え神事」の期間中は、重層社殿の東に隣接する授与所で、新しい木彫りの鷽鳥を受け取ることができます。ただ木彫りの鷽鳥の専用窓口は設けられないため、お守りや木札などを求める人々と同じ列に並ぶ必要があります。
神社建築としては類例を見ない楼門と社殿の複合建造物の尊星殿
開創990年に重層社殿の建立が行われた千葉神社には、開創1000年にあたる2000年に、尊星殿が竣工されました。神社建築としては類例を見ない楼門と社殿の複合建造物です。千葉神社は平安時代の末期より関東地方南部を広く治めた千葉氏の守護神である北辰妙見尊星王を主祭神として、1000年に開山されたと伝わります。尊星殿は中央に「福徳殿」、東に「日天楼」、西に「月天楼」、上階に「開運殿」の4つの部分に分けられました。各々の場所で北辰妙見尊星王が掌握する日、月、星のパワーを個別に授かれるようになっているのです。
特徴的な建造物が新たに造営される境内に残る江戸時代の刻印
千葉神社では特徴的な建造物が新たに造営されていますが、1000年を超える歴史を刻んでいます。手水舎の上屋は明治時代に建立されたものですが、手水石には「宝暦五乙亥歳建立」の記述があります。手水石の水は、江戸時代の中期1755年から参詣者の手を清めていたのでしょう。手水舎の西には境内に湧く御神水の「延寿の井」を水源とする妙見池が、穏やかな水面を湛えています。池の周囲には14もの末社がずらりと並んでいます。
千葉市中央区の千葉神社の中央には、上下に2つの拝殿をもつ特徴的な重層社殿が建立されています。神社の境内には、菅原道真を祭神とする千葉天神が摂社として社殿を構えています。例年新しい年を迎えた1月下旬から2月上旬の数日間には「うそ替え神事」が行われています。