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「秩父夜祭」冬の夜に輝く秩父人の思い|観光経済新聞

更新日:2021/7/26 Narai
「秩父夜祭」冬の夜に輝く秩父人の思い|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

冬の夜に輝く秩父人の思い

埼玉県の秩父地域は祭りが盛んであることをご存じだろうか。その数は年間で400にも上るといわれている。その代表的な祭りが毎年12月2、3日に行われる「秩父夜祭」だ。美しく壮麗な山車と、冬の夜空に上がる盛大な花火で広く知られている。

この祭りは武甲山との関わりが深い。秩父神社では、武甲山からの恵みの水を迎え入れる春祭り「御田植祭」があり、その水がもたらした秋の実りに感謝し、武甲山へ返礼するのが冬の例大祭「秩父夜祭」だ。また、武甲山にすむ男神(龍神)と、秩父神社の女神(妙見様)が年に一度の逢瀬を楽しむ一夜とのロマンチックな言い伝えがある。

3日大祭の日の夕方、秩父神社から神幸行列を先頭に、6基の山車が武甲山の方角にある御旅所、通称「お山」へと向かう。そのお山の手前には難所「団子坂」があり、勇壮な屋台囃子(ばやし)の太鼓をとどろかせながら、10トンを超える山車が、大勢の曳き子の手で引き上げられる。

山車の先頭に乗る「囃子手」は一生に一度きりとされる選ばれし大役だ。「ほーりゃい!」という独特な掛け声は団子坂で一層の力がこもり、晴れ舞台のこの瞬間に涙をこぼす囃子手も多い。そして山車の団子坂引き上げと同時に夜空の花火も高揚し、祭りはクライマックスを迎える。

全ての山車がお山にそろうのは午後10時ごろ。無事、武甲山にごあいさつを終えた氏子たちの顔に安堵の表情が浮かぶ。祭りは夜通し続き、屋台囃子が鳴りやむのは翌日の明け方だ。

秩父では12月2、3日は休みとなる学校や会社が多く、この地を離れた者も祭りを理由に帰省するそうだ。まさに「祭日」だ。このような故郷があるのはうらやましい。

四方を山に囲まれ、かつては「埼玉のチベット」などとやゆされた秩父だが、西武秩父線の開通や道路整備が進んだことによりアクセスしやすい土地となった。コロナ禍が収束した暁(あかつき)には訪れたい祭りの一つとして心にとどめていただきたい。

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