御朱印のアート化が止まりません!
朱色の印章に、寺社名や参拝日などが墨書きされる御朱印。それがいつの間にか、カラフルなイラストやハンコが加わり、さらには見事な筆致で描かれた絵画のような、「アート御朱印」とも呼ばれるものが続々と登場しています。
そんな中でも、絵とはまた違ったアート性に目を奪われるのが「切り絵」の御朱印です。2年ほど前に登場してから徐々に数が増え、今、Instagramには映える「切り絵御朱印」があふれており、空前のブームがやってきたといえるでしょう。
そこで今回は、もはやアートといえるような美しい切り絵御朱印をいただける寺社を15社ご紹介します。
※できる限り新しい情報を参考にご紹介していますが、数量限定の御朱印もあるため、詳細は頒布する寺社からの情報でご確認ください。
美しい「切り絵御朱印」と授与している寺社15選
曼荼羅浄土の切り絵はまさに細密画の世界 - 大聖院
広島県の世界遺産の島、宮島にある大本山大聖院で、7月から限定切り絵御朱印の頒布が始まりました。
切り絵のモチーフになっているのは、大聖院にある、チベット密教の僧侶らによって制作された極彩色の砂曼荼羅(まんだら)。細緻な美しさが、ひと目見るだけで悪行を清め、世界の浄化を促すといわれています。
それを精巧な技術で再現した切り絵も、一瞬にして引き込まれ心が洗われるような美しさです。
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繊細な線で涼しげに海と夏を表現 - 三津嚴島神社
愛媛県松山市の三津嚴島神社は、美しい花手水やかわいい「鯛風鈴」などがインスタグラムにたくさん上がっている注目の神社です。
7月と8月に限定の切り絵御朱印がいただけますが、7月は鯛風鈴と神紋の「三盛亀甲花菱」をメインモチーフに、背景に青海波をあしらったデザインです。
8月は背景に花火があしらわれ、にぎやかな夏を感じるピンク色の切り絵御朱印が登場する予定です。
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お寺のシンボルを精密な技術で御朱印に - 仁和寺
京都市にある仁和寺では、2種類の限定切り絵御朱印を頒布し話題になっています。
一つ目は重要文化財の五重塔と、境内を彩る青もみじが組み合わされ、金色の箔押しを豪華にあしらったもの。二つ目は黄金色の紙に国宝・阿弥陀如来と揮毫し、レースのように繊細な蓮の花の切り抜きで縁取ったもの。どちらも季節感にあふれたアーティスティックな御朱印です。
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4社を巡ると1枚の美しい絵が完成 - 水堂須佐男神社
兵庫県尼崎市にある水堂須佐男神社。県内で同じご祭神の神社を巡る「兵庫スサノヲ四社詣」で御朱印を集めると、1枚の絵が完成する切り絵御朱印を8月末までの限定で頒布しています。
かわいらしいスサノオノミコトと妻のクシナダヒメ、2人が結婚するときに詠まれた歌が描かれた背景に切り絵が見事に組み合わされ、神話の世界を美しく彩っています。
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由緒ある縁起物を模して切り抜く - 普門寺
愛知県豊橋市にある普門寺では、高野山で縁起物として飾られる「宝来」を模して作る切り絵の朱印紙がいただけます。
先代住職の手による不動明王や聖観世音菩薩の切り絵は、見ていると心安らぐような落ち着いていて上品なデザインです。
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躍動感あるイノシシがかわいい - 和氣神社
岡山県和氣町にある和氣神社は、ご祭神の和気清麻呂公を助けたとして、狛犬ならぬ狛猪がいることで有名です。また、季節ごとに桜、藤、紅葉などが見事で、全国から訪れる人たちの目を楽しませています。
そんな和氣神社の切り絵御朱印は、見開き全面に季節の花をあしらって、躍動感のあるイノシシのシルエットをワンポイントに添えたかわいらしいデザインです。
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騎乗馬頭観音の荘厳な姿が際立つ - 龍泉寺
三河善光寺は、愛知県岡崎市にあるお寺です。馬頭観音は通常、頭上に冠のように馬頭を戴きますが、三河善光寺では観音様が馬に乗るとても珍しい姿をしています。
夏限定の切り絵御朱印は、7月11日から頒布が始まりました。威厳が漂う黄金色の騎乗馬頭観音の背景に青海波をあしらった切り絵と、花火の絵が組み合わされた夏らしいデザインです。
騎乗馬頭観音様には12年に一度の御開帳の時にしか会えませんが、こうやって御朱印でいつでも会えるのはとても嬉しいことですね。
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季節感あふれる繊細で可憐な切り絵 - 龍泉寺
現在の切り絵御朱印ブームに火をつけたのが、埼玉県熊谷市にある埼玉厄除け開運大師・龍泉寺です。春夏秋冬をテーマにした限定の切り絵御朱印は、繊細かつ可憐な模様が美しく圧倒的な人気を誇っています。
デザインは3か月ごとに切り替わりますが、2021年8月末頃までは夜空に上がる花火を切り絵で表現した涼しげな「東洋の花火」と、きれいな蓮の花を重ね切り絵で描いた「純真華」が数量限定で頒布されています。
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ステンドグラスのような雰囲気に心魅かれる - 感通寺
東京都新宿区にある感通寺は、日蓮宗のお寺です。日蓮宗寺院では御朱印とは別に、南無妙法蓮華経と揮毫した「御首題」をいただける場合があり、感通寺では紫陽花の切り絵御首題を7月末までの限定で授与しています。
この御首題は、本当の真心が込もった燈火だけが風に消えなかった「貧女の一灯」という仏教説話をモチーフにしています。貧女の美しい心をそのまま伝えてくれるかのような美しい切り絵です。
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家康公が浮かび立つ華麗な切り絵 - 菅生神社
愛知県岡崎市にある菅生神社は、徳川家康が25歳の時に厄除け・開運祈願をし、篤く崇敬した神社として知られています。
菅生神社の限定御朱印には馬上の家康公のシルエットがよく描かれます。この切り絵御朱印も、石柱建立記念として4月から7月末までの限定頒布ですが、颯爽とした家康公が花々の中に立体的に浮かび立つ華麗な一枚となっています。
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涼しげな風鈴とカラフルな花が映える - 伊和志津神社
兵庫県宝塚市にある伊和志津神社は、須佐男命をご祭神とし「兵庫スサノヲ四社詣」のうちの1社です。伊和志津神社単独では、8月末まで夏詣の期間限定の切り絵御朱印を頒布しています。
風鈴の縁取りと「夏詣」の文字、印章を囲む青海波などの模様、縁取りの花々などが細やかに切り抜かれ、涼しさと華やかさが同居したインスタ映えする御朱印です。
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切り絵を色地に重ねると姫の姿が - 玉津島神社
和歌山市にある玉津島神社は、古来より和歌の神様「衣通姫尊(そとおりひめのみこと)」を祀る神社として天皇や貴族、歌人たちに崇拝されてきました。
4月から授与している切り絵御朱印は、衣を通しても光り輝くほど麗しかったといわれる衣通姫尊がモチーフ。黒い輪郭線だけの円形の切り絵を、御朱印の色地部分に重ねると完成する変わり切り絵です。
万葉の雅な遊びをしているかのような、とても趣きのある御朱印ですね。
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寺紋と宝石の複雑な模様を繊細に表現 - 宝積寺
静岡市の宝積寺では、寺紋である「久我龍胆紋」を月ごとに違う色の紙で切り抜いた御朱印がいただけます。
他にも切り絵の御朱印を頒布していますが、特にダイヤモンドの御朱印では、複雑な宝石のデザインが見事に表現されており、ダイヤのような光沢を放っているかのようです。
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下地の色によって印象がガラリと変化 - 観音寺
奈良県香芝市の観音寺では、お寺のご本尊である十一面千手観音様の切り絵御朱印がいただけます。
陰影がくっきりした黒い切り絵は、リアルで迫力満点。下地として添える紙は色を選ばせていただけるようで、何色にするかによって印象がガラリと変わるのも魅力的です。
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カラフルなほっこりお地蔵さんが可愛い- 報徳寺
群馬県桐生市にある報徳寺は、室町時代の宝徳年間(1450年頃)に創建された禅寺です。関東では貴重な「床もみじ」や枯山水が美しく、知る人ぞ知るお寺となっています。
御朱印も月替わりや限定など種類が豊富で人気です。切り絵御朱印は境内のあちこちにたたずんで、ほっこりさせてくれるお地蔵さんがモチーフ。オレンジ、パープル、緑の通年授与の3種類と、毎月変わる花シリーズの御朱印1種類がありとてもカラフルです。
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まとめ
今回は、アート級に美しい15の切り絵の御朱印をご紹介しました。
どの切り絵御朱印も、見ただけで参拝した寺社が思い浮かんできそうなくらい特徴的です。
御朱印は参拝した証であり、その寺社の神様やご本尊とご縁ができたことの記録ですから、御朱印集めは、いわばそのご縁を思い出すためのアルバム作りといえるかもしれません。
個性的な切り絵御朱印は、そんなアルバムを彩る格別に美しい一ページになってくれることでしょう。