春から新社会人となる皆さん、おめでとうございます。入社前の今はまだ、期待と不安が入り混じっていることでしょう。この記事では、さまざまな業界へ羽ばたく皆さんが、良き社会人デビューを飾れるよう、所属する業界内であつい信仰を集めている神社をご紹介します。
日本経済の根幹「メーカー」の神さま
日本ブランドの基盤としてメイドインジャパンを体現するメーカー業界。一口に製造業といっても、自動車から金属・鉄鋼や電子部品製造などさまざまな種類があります。ここでは建設業、自動車・輸送用機器、さらに食品・農林・水産業界を見ていきましょう。
建築も製鉄も!生國魂神社(大阪府)
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「いくたまさん」の愛称で府民に親しまれている生國魂神社。境内にはたくさんの末社がありますが、その一つ家造祖(やづくりみおや)神社は、手置帆負神(たおきほおいのかみ)、彦狭知神(ひこさちのかみ)を祀り、建築業の祖神として土木建設業界の信仰を集めています。同じく末社である鞴(ふいご)神社には、金物業界の守護神として、製鉄・製鋼などの業界を見守っています。
社はないが……自動車神社(東京都)
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世田谷区豪徳寺にある世田谷八幡宮の末社・自動車神社。かつて近隣に存在した陸軍自動車学校内にあった神社が、終戦によって学校廃止となった際、世田谷八幡宮にその御神体を奉遷したそうです。現在は自動車神社の社はありませんが、「自動車神社御守」などが頒布されています。
お菓子の神さま・菓祖神社(京都府)
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菓子メーカーの信仰を集めているのが、吉田神社末社の菓祖神社です。御祭神は田道間守命(たじまもりのみこと)と林浄因命(はやしじょういんのみこと)。田道間守は、紀元前、垂仁天皇の頃に不老不死をもたらす「非時香菓(ときじのかぐのみ)」を探し出した伝説があります。非時香菓は、後に「田道間花」と呼ばれるようになり、「たちばな=橘」の果実として伝わっています。
漬けもの神!萱津神社(愛知県)
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農耕神・鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)を祀り、日本で唯一の漬物の神社として有名です。毎年8月21日に開催される「香の物祭」では、自然の恵みに感謝する儀式を行います。
貿易立国の要「商社」の神さま
今この記事を読んでいる方のなかには、商社への入社が決まった方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、商社と強いつながりを持つ神社も全国に存在します。由来や豆知識と合わせてご紹介します。
三井グループの三囲神社(東京都)
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墨田区向島にある三囲(みめぐり)神社。偶然出土した神像の周りを白い狐が3回廻ったという由縁を持つ神社ですが、「囲」という漢字の中に「井」の字が含まれることから、「三囲はすなわち三井に通じ、三井を守る」として、伊勢・松坂の豪商・三井家が江戸に進出した際に守護社と定めました。旧池袋三越にあったライオン像がこちらに寄贈されています。
三菱グループの土佐稲荷神社(大阪府)
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江戸時代、大坂にあった土佐藩邸の大坂蔵屋敷に鎮座し、土佐藩邸の守り神となっていたのが土佐稲荷神社です。そして幕末、土佐藩邸の責任者を務めていたのが、三菱創業者である岩崎弥太郎。弥太郎は、自らの海運業・九十九商会(のちの三菱)で成功し、土佐藩の借金を肩代わり!抵当に取られていた土佐藩邸を取り戻した功で藩邸を払い下げられます。1873(明治6)年に三菱本社は東京に移りましたが、土佐稲荷神社をあつく信仰した弥太郎は、引き続き自らの会社でこの神社を守っていくこととしました。現在も、土佐稲荷神社は三菱グループの守り神として大切にされています。
倍返しだ!「金融」業界の神さま
金運に御利益があるとされる神社はたくさんありますが、ここではもう少し掘り下げて、金融業界に関係のある神社をご紹介します。証券会社や銀行などで働くことになった方は要チェックです。
取引所の歴史とともに……兜神社(東京都)
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東京証券取引所のほど近くにたたずむ神社。大きい神社ではないものの、証券界の守り神として長年、日本の商業を見守ってきました。元々は源義家を祀る神社でしたが、1874(明治7)年に新たに前述の三囲神社からご祭神を分霊してもらい、1878(明治11)年に東京株式取引所(東京証券取引所の前身)の設立に伴い、取引所が氏子代表となります。以来、兜神社は証券業界の信仰を集めています。
神社のクレカ!?鹿島神宮(茨城県)
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番外編にはなりますが、金融つながりでご紹介したいのが、茨城県の一宮・鹿島神宮。神社で初めてとなるクレジットカードを発行しました。その名も「鹿島神宮カード」!三越伊勢丹グループのエムアイカードと提携しているのでその特典も使える上、利用額に応じて「鹿島神宮ポイント」が貯まります。5000ポイントまで貯まると、鹿島神社に自動寄付される仕組みで、同神宮の祭祀「御船祭」の実施のためなどに使われます。また、寄付者には返礼品も送られます。
生活支える「サービス・インフラ」の神さま
鉄道・航空・運輸・物流、電力・ガス・エネルギー……人々の生活を支えるインフラにも、関連する神さまが存在します。
あの偉人が創建!飛行神社(京都府)
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ライト兄弟より先に飛行原理を発見した日本の偉人・二宮忠八により創建された神社です。饒速日命(にぎはやひのみこと)を祀った主神殿のほか、航空殉難者や航空技術の革新に功績のあった人を祀る第二殿には、忠八翁自身も祀られています。毎年8月12日には、航空殉難者の霊を慰める御霊祭が行われます。
線路を守るキツネ!?線守稲荷神社(神奈川県)
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鉄道神社と名のつく神社は全国に複数ありますが、神奈川県の足柄上郡にある線守稲荷神社には興味深い伝承があります。この村に鉄道が敷かれる際、長年ここに棲みついていたキツネの巣を壊すことになったそうです。しかし、線路が通った後、線路に大石が置かれていたり、勝手に停止を示す赤い照明が焚かれていたり、不気味な現象が頻発。「これはキツネによる悪戯だ」との声が出て、祠を作って慰めたところ、怪奇現象はぱったりと止んだそうです。鉄道が走る時代になっても、こんな不思議な話が生まれるところに、日本人の心性を感じます。
進めようDX!「ソフトウェア」の神さま
今世紀になって急速な進化を遂げているホットなIT業界。神社との関係はあまり浮かびませんよね。ところが日本全国を見渡してみると、ITと深いつながりを持つ神社がありました。IT企業に就職する方は必見です。
デジタルお守りも!電電宮(京都府)
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法輪寺の鎮守社の電電宮は、虚空蔵菩薩の権現である雷の神・電電明神を祀る神社です。昭和になって、電気電波産業の守り神として関係業界からあつい信仰を集めるようになりました。近年はIT企業の参拝者も増加中とのこと。同じく境内には電気・電波の先駆者を顕彰する電電塔もあり、そこにはエジソンや電磁波の研究者ヘルツの肖像が飾られています。また、電電宮のお守りはなんとマイクロSDカード。カードには、虚空蔵求聞持法の御本尊の画像データがおさめられています。