(きこえますか…きこえますか…Macよ……。今、私はあなたの脳に直接語りかけています…。まだ終わりではありませぬ…まだ去ってはなりませぬ…奇祭ハンターであるあなたには……最後まで見届ける…義務があります……)
どうも。奇祭ハンターのMacです。
今回は、ひな祭り発祥の地とされる淡嶋神社のひな流しをご紹介。
99%の真実と1%の妄想を交えてレポートします。早速行ってみましょう!
淡嶋神社までの道のり
バスタ新宿から深夜バスで10時間。
背中がバキバキになりつつ、和歌山駅に着きました。
そこから和歌山市駅で南海加太線に乗り換え……。
名物の「めでたい」電車に乗って、終点の加太(かだ)駅に着きました。
漁港を構える加太は鯛を始めとする海産物で有名な土地です。
駅から淡嶋神社までは歩いて15分ほど。
道中には思わずブラリと立ち寄りたくなるこんなお店「オシバ商店」も。
……。いや、Wi-Hiじゃなくて、Wi-Fiな。商売っ気が……ない(道理で)。
淡嶋神社に到着。出店も出ています。ひな流しを目当てに多くの観光客の姿も。
境内への道中には、地元で採れた新鮮な海産物が味わえるお店もあります。
ビビッドな赤が印象的なお社が見えてきました。ん?何か妙だぞ?!
社の中には全国から送られてきた数多くのひな人形が!
歴史ある淡嶋神社には、紀州徳川家から奉納されたものを始め、
数多くの歴史ある人形が残っているのだとか。
地元の幼稚園児たちによるお唄の合唱も行われました(11時20分頃)。「今日は楽しい~♪」。
(※動画も撮ったが、音源は載せられない。大人の事情さ。ジャスラックを敵に回すわけにはいかないからな)
淡嶋神社のひな流しとは?
(……おっと、唄ばっか聞いてないで、こっちにも注目してくれよ……)
キン……。何だ、突然、頭痛がする。脳髄に直接響くような……。
そ、それに気のせいか。今、どこからか声がしたような。
(……ああ、オイラ、今、アンタの心に直接語りかけているんだ…ようく…周囲を観察してみな……)
確かに境内の周囲を見回すと、飾られているのはひな人形だけではありません。
着物姿の日本人形に侍の陶器、狸の置物、天狗のお面などなど……。
どうやら、すべての人形がここ淡島神社に奉納可能(ただし、マネキンなどの商業用の人形は不可)なようです。
(ったりめぇだ、こん畜生。そんなことも知らずに参拝に来たのかよ!)
も、申し訳ない。そ、その通りだが、何かそのドヤ顔がムカつく。
(しょうがねぇから、オイラが解説してやるよ。
この加太市の淡嶋神社ってぇのはな、人形供養で有名な神社なんだ。
何てったって、全国に1000社もある「淡嶋系統」の総本社だからな。
全国で行われているひな流しも全部、最終的にはこの淡嶋神社に流れ着くって言われているぐらいなんだぜ)
そいつは、すごい。だからか……。そういや、駅前に1300年前のひな人形が置かれていたな……。
(左様。お主、良いところに目をつけたな。実はこの淡嶋神社こそ、ひな祭り発祥の地と言われておる!)
わ、突然、別の声が入ってきた(脳内が混線するから、やめて!)。
え? ひな祭り発祥の地って。ファーストガンダム的な?
(ガハハ。そうそう。ここの祭神は小彦名命[スクナヒコナノミコト]って言ってな、「医薬の神様」・「温泉の神様」・「女性のための神様」なのよ。あの一寸法師のモデルとも言われてるんだぜ、ガハハ)
またキャラが変わった……。ほう。何だかヒーリング感満載な神様だぜ。
(実はのう。男びな女びなの始まりは、淡島神社のご祭神である少彦名命と神功皇后の 男女一対のご神像だとされているのじゃ。
ひな祭りの名前ものう、スクナヒコナ祭が簡略化されたものだと言われておる)
スクナヒコナマツリ……ヒコナマツリ……ヒナマツリ!!!
おお。本当だ!
木村拓哉をキムタクと呼ぶ的なやつだ!
(ちょ、ちょ、待てよ!)パクパクパクパク……。
いやお前、さっきの店で売られていた鯛だろ!
どさくさに紛れてお前まで入ってくんな。謝れ、キムタクに謝れ!
そんな茶番をしているうちに、どうやら神事が始まりそうです。
いよいよひな流しが始まる!
女性だけが担げるという、ひな人形を詰めた白木の小船の登場を期待しながら待ちます。境内へと続く参道がカーブしている地点があり、どうやらそこが写真スポットのようなのでそこに陣取ります。待つこと40分。
神主さん、巫女さん、船をかつぐ女性たちの順についに現れました(12時30分頃)。
神主さん、めちゃめちゃ若!
巫女さんはかわいらしい。
女性だけで担いだ船が境内を出たら、歩いて100メートルほど先にある小さな波止場でいよいよ人形たちを流します。
祝詞を読み上げた後、紙吹雪をまきました(13時10分頃)。
陰陽師感がハンパない。
毎年3月3日のひな祭りの日に行われる和歌山県、淡嶋神社の「ひな流し」。ひな流しは今のひな飾りの源流じゃな。動画は人形たちを海に流して供養する直前、神主が祝詞を唱えた後、紙吹雪を撒くところじゃ。紙吹雪を撒くことで、神の国への道を開くと言われておる。#ひな流し #好きな祭りの話をしよう pic.twitter.com/QbiJNsESQo
— 奇祭ハンター まっく (@Mac40626899) April 14, 2020
ちなみに、紙吹雪をまくのは「神の国へと続く道」を作るためだそうです。つまり写真は「神の国への道」が開いた瞬間!
また、途中で地元の園児たち(女の子たち)が桟橋まで降りて近くでひな流しをお手伝いするというホッコリする催しも挟まれました。
「女の子だけ、ずるい~~!」(非難の声を上げる男子たち)
「今日はひな祭りだからね~」(先生)
(若きオスたちよ。世の中には「女性限定イベント」ってやつが星の数ほどあってだな……。今のうちに洗礼を受けておくがよい)
お祓いした人形を積んだ3隻の小舟を海に流して……。
人形を乗せた白木の小舟が神の国へと旅立っていきました(13時20分頃)。
「あの人形とよく遊んだな~」など、人々の様々な想いをのせて舟は去っていきます。
神事としてはここまで。現場からは以上です。
■日時:3月3日(毎年)
■場所:淡嶋神社
■交通:加太・南海電車「加太駅」 下車徒歩15分
http://www.kada.jp/awashima/
……。
……。
……。
……と、思いきや……。
サヨナラノハジマリ
キン……。まただ。また、頭痛がする。
(きこえますか…きこえますか…Macよ……。今、私はあなたの脳に直接語りかけています…。まだ終わりではありませぬ…まだ去ってはなりませぬ…奇祭ハンターであるあなたには……最後まで見届ける…義務があります……)
こ、この声は?! アンタ、一体誰だ?
(……私です)
!? こ、これはさっきいた境内……。ば、馬鹿な。俺は今、浜辺を出てきたところだというのに……。
(あなたの視界をハックして、こちらの映像を流させていただきました)
!! く、俺の電脳防壁を突破して直接……。
アンタそのうち「ネットは広大だわ」とか言い出すよ。
ゴーストのささやきに導かれ、義体……じゃなかった、人形に指示されて浜辺に戻ってみると、漁船が帰ってきていました。ん?
何と先ほど流したはずの白木の舟が戻ってきていました。
嫌な予感がする。あのおじさんが派手にぶっかけているのは、水……なわけないよな。
ボワァァァァァァ。ああ、やっぱりこうなった(13時40分頃)。
本能寺の変かよ! お、お焚き上げというやつなのか。
(…Macよ。ここまで見届けてくれたことに感謝します……。本来、このお焚き上げまでは神事に含まれておりませぬ……。ひな流しを見てそのまま帰る人が大多数です……。しかし、昔ならともかく、今時は海に流しっぱなしだと環境に悪いし、猟師の網に引っかかってしまいますからね……。こうしてひな流しの後、ひっそりとお焚き上げされる……ことになっているのです)
……。こ、これでよ、良かったのかよ。
(…良かったのです。淡嶋神社に集まってくる人形は、手放すことへの後ろめたさや愛着ゆえに託された人形たち……。粗雑にゴミとして打ち捨てられるのではなく、こうして最後まで……人形扱いされ、供養されたのですから……。ですから、Mac、今回のことはきちんと最後まで記事にするのですよ……)
ああ……。わかった。
(…Mac。……頼みましたよ……)
こ、これは、断るのは不可能な感じのやつだ。
……。
……。
……。
こうして今回の俺のファンタジック&ハードボイルドな奇祭旅は終わった。
全国から愛着のある人形が集まってくる淡嶋神社で、
その人形たちの供養として行われる「ひな流し」。
当地に赴けば、アンタにも人形たちの声が聴こえる……かもしれない。
結局いつも信じるか信じないかはアンタ次第だ。
だが、これだけは言っておく。
加太の海産物は絶対味わったほうがいい!(旨いから!)。
今度こそ、現場からは以上だ。
■日時:3月3日(毎年)
■場所:淡嶋神社
■交通:加太・南海電車「加太駅」 下車徒歩15分
http://www.kada.jp/awashima/