毎年8月の第一土曜日に、宮崎県日向市で「日向ひょっとこ夏祭り」が行われます!
2000人もの踊り手が赤い衣装に身を包み、一様に「ひょっとこ」のお面を被って大群舞を繰り広げるユーモラスなこのお祭り。この記事では、奇祭ハンターMacさんの2018年の現地レポートをお届けします。
ガッツだぜ!ロック過ぎるにも程がある!
阿波踊りやよさこい踊りだけが「日本の踊り」じゃない!
どうも。奇祭ハンターのMacです。
まずは四の五の言わずこちらの動画を見ていただこう。
おわかりいただけただろうか?
赤い装束に全員仮面という斬新なビジュアル(赤は三倍!)。
単純なリズムにも関わらず、キレッキレッの手つき・腰つき。
今回はその「胸騒ぎの腰つき」が「最高にロック!」という評判に魅かれて全国から2000人の踊り手と6万人の観客が集結する宮崎県・日向市の「ひょっとこ踊り」をご紹介します。
ひょっとこ踊りとは?
●ひょっとこ踊りの物語
日向のひょっとこ踊りは現在、毎年8月初旬に開かれる「日向ひょっとこ夏祭り」で披露されています。
気になるその由来は……?
昔、「ひょう助」と「おかめ」という夫婦が住んでいましたが子供に恵まれず、毎朝お稲荷様に祈願していました。
ある朝、空腹だった神主がお供え物を食べてしまい、それを見たお稲荷様が怒ってきつねの姿で現れましたが、
おかめの美貌に目を奪われ、おかめの気を惹こうと踊り始めます。
その踊りにおかめがつられて踊りだし、 心配で見ていたひょう助と村の若者たちもつられて一緒に動き出しました。
止められないこの気持ち。カモン カモン カモン カモン ベイベー。
「おかめ」は村一番の美女という設定です。今だと、仮に深キョンだと思って想像してください。
また、日向ひょっとこ踊りの振り付けは、明治時代の眼科医・橘公行医師が伝授したとされています。
そのルーツは江戸時代の里神楽にあるそうですが、詳しくはわかっていません。
また、「日向ひょっとこ夏祭り」は伝統継承や観光振興をめざして1984年から始まりました(ここテストに出ます)。
●ひょっとこ踊りの登場人物
それでは「ひょっとこ踊り」に登場する3人の登場人物を紹介しましょう。
キツネ(お稲荷様)
祝い事が好きな神。キツネの姿で現れ、おかめ(深キョン)に一目惚れして踊り出したのですが……。行列では先導役で、ちゃんと獣らしく拳(前足)は閉じたまま。先導役なのは、おかめの美しさに魅かれながらも人生の道を間違わないように導くという意味があるそうです。
中でもこの演者さんは動きがキレッキレで動画の最後で観客からメダルをもらっています
(観客は感動した演者に踊り子メダルを与えることができるシステムです)。
おかめ
色白でややぽっちゃりな才色兼備な村一番の美人(サークルの姫)にして、ひょう助の妻(深キョン)。キツネにつられて動き出す恋するフォーチュンな御仁。中身は女性とは限らず、普通におっさん(!)だったりもします。
三人の中で踊りはおとなしめですが、後ろの帯のデザインが華やかです。
そしてさあ、いよいよ大トリのひょっとこ。
シュバッ!
シュババッ!!
シュバババッ!!!(どーーーん!)
ひょう助(+その他大勢のひょっとこたち)
村一番の美人、おかめ(深キョン)を射止めた旦那(と深キョンの追っかけたち)。
キツネに誘惑されて踊り出した妻を心配し、追いかけるがついつい踊り出してしまう。
妊活中だったせいか、踊りにさりげなく「胸騒ぎの腰つき」をトライトライトライしてくるロックな御仁。ガッツだぜ!
ちなみにひょっとこの語源は火男(ひおとこ)とも言われ、火男は神々による政事(まつりごと)の場に最初にかけつけて神聖な火をおこし、ムーヴメントを成す「火付け役の神」にしてトリックスターです(ますますロックだぜ!)。
踊り子の中身はおじさんが多いですが、女性や子どものひょっとこも結構いるのが面白いところです。
ジェンダー、ジェネレーション・フリーで老若男女が関係なく楽しめる、そんな自由さもまた「ひょっとこ踊り」の魅力ですね。
下の動画は個人戦・決勝でのチビッコひょっとこの熱演です。
本当にアピールがすばらしい(笑)
ひょっとこ踊りの踊り方
それでは、ひょっとこ踊りの踊り方について、動画付きで紹介しましょう。
女性の踊り手と保存会の名人による模範演技です。
①足運び
足を交互に出し、テンテコテンのリズムに合わせて上下させます。
ここまでは簡単ですね。
②足+手・顔・腰
足と一緒に手・顔・腰も同時に動かしましょう。
手は、伸ばす手と曲げる手を入れ替えながら進んでいきます。
首をクイッと回したら、片方の手をビシッと伸ばしましょう。
同時に腰もセクシーにクイッと入れていきます(ロック!)。
え? もっと詳しく知りたい? きつねやおかめの踊り方はどうしたって?
そんな方はもう「教則DVD」をガツンと購入しちゃってください。ほんの4400円です。
「踊り方はもうバッチリだけど、衣装が必要だよ~」という方、
そんな方はセットでそろえちゃってください。
赤い着物、帯、ふんどし、豆絞りの4点セットでたったの6000円です(※お面は別売)。
どーん!!!
ハロウィンも忘年会の一発芸もこれ一着のシンプルコーデでOK!
ガイアが俺にもっと輝けと囁いている。
前夜祭・本祭をレポート
さあ、前置きが長くなりましたが、オマツリ前夜祭(金曜)・本祭(土曜)の模様をサラッと紹介していきますね。
●前夜祭(8月第一金曜)
本祭のパレード(団体戦)とはちがい、前夜祭は個人戦。
ステージ上できつね・おかめ・ひょっとこの各部門に分かれ、それぞれの技量を競います。18~21時。
このように線に沿って移動して、左から右にはけていく感じ。
テープでちゃんと導線が引かれているのがわかりますね。
次第に夜はふけ……。
見事、それぞれの部門の優勝者(+2位、3位)が発表されました。
優勝者には特製のひょっとこ面が贈られました。
●本祭(8月第一土曜)
昼間のステージでは「ひょっとこ踊り」講座も行なわれました。
18時~のパレードにはまだ時間があるので、グッズも見てみましょう。
きつね・おかめ・ひょっとこをあしらったグッズが充実。
筆者はクリアファイルと祭りTシャツを購入。
なんとワンピースとのコラボ商品も!
「おれはヒョコヒョコの実のひょっとこ人間だ!」とか本当に出てきそう。
!!!
怖! 進撃の巨人か!
もう今年のハロウィン、これで良くない?
ひょっとこのお面は30種類以上とも言われ、バリエーション豊富。
手製の木彫りで裏面のガードもしっかりした作り(約6000円)。
そうこうするうちに、北は北海道から南は九州まで全国から2000人が続々と集結し、駅前広場が異様な熱気と赤一色に染まってきました(ひょっとこだらけの刀鍛冶の里かよ! 鋼鐵塚さんんを探せ!)。
18時~いよいよパレード(団体戦)がスタート。
市内の各所を廻り、6箇所でひょっとこ踊りを披露します。
観戦には桟敷席(2500円、焼酎付)の確保もおすすめですよ。
ひょっとこ踊りの熱い熱気に包まれ、宮崎の夜は続きます。
パレードのほんの一部の動画です。
おまけ。前夜祭の個人戦での優勝者と保存会のみなさんによる演舞(生演奏付き)。2:50秒あたりが非常に「ロック」です。
いかがでしたか? 今回のひょっとこ踊り。
テンテコテン、テンテコテン、テンテコテンテンテン。
きっと一度ハマると病みつきになるミュージックが脳内でヘビーローテーションしていることでしょう。
今回のオミヤゲジャパン
おぐら発祥の「チキン南蛮」
日向市駅から電車で20分北の「延岡」は「チキン南蛮」発祥の地として知られています。
霧島ファクトリーガーデンのクラフトビール(とチキン南蛮)
知ってるかい? 「霧島酒蔵」って宮崎の会社だったんだぜ。
■霧島ファクトリーガーデン
内容:本格焼酎やビールの醸造施設とともにレストランも併設。工場見学も可能。
交通:宮崎空港から電車で1時間、都城駅からタクシーで10分