富山・小矢部の春祭り
富山県の西部に位置し、源平合戦でも有名な倶利伽羅峠で石川県と県境を接する小矢部市。江戸時代には加賀藩領内における、北国街道の宿場町として栄えてきました。この小矢部市で毎年4月29日に開催されているお祭りがあります。「石動曳山祭」です！
小矢部市の中心地である石動（いするぎ）で開催される、石動曳山祭。愛宕神社の春季祭礼として行われているお祭りで、その歴史は江戸時代中期に遡ると言われています。当日は江戸時代の1752年から1857年にかけて建造された11本の豪華絢爛な花山車が巡行し、石動の街が大いに賑わう一日となります。
愛宕神社の拝殿。1862年（文久2年）の建造。
ここからは、4年ぶり通常開催を目指し行われた、2023年の石動曳山祭の様子をご紹介していきます！
花山車が繰り出す
石動の11町が保有する花山車。花山車と書いて”はなやま”と読ませるこちらですが、豪華絢爛な見た目で知られています。その姿は高岡の御車山（みくるまやま）を模して作られたとも言われ、当時の技をふんだんに使った意匠を見ることができます。
15時を前にして、愛宕神社の御旅所前に設置されたお祭り広場を目指し今年は10本の花山車が進んできました！
棒を押したり、綱を引っ張ったりと、法被を着た町の方々が花山車を運行させています。
お祭り広場へと続く、大通り（県道72号）へも花山車がやってきました。
越前町商店街の通りには露店も出ています。露店をかき分け進む花山車は絵になりますね！
御旅所前の交差点へと花山車が差し掛かってきました。こちらでは進行方向を変えようと、技が披露されるんです！
その技がこちら。車輪を持ち上げ、勢いよく花山車を回転させていきます！
大きな車輪を浮かせるのは大変そうです。これは見応えがありますね。
石動曳山祭が4年ぶりに開催！花山車がお囃子を響かせながら勢揃いしてきています！#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/EDzfXCHFAX
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) April 29, 2023
お祭り広場に勢揃い
続々と集まってきた10本の花山車。お祭り広場へと順番に入っていきます。
そして花山車が勢揃いしました。一列に並んだ姿は圧巻ですね！
愛宕神社御旅所前のお祭り広場へ花山車が勢揃い！花山車は全て江戸時代に作られたもので、木彫りの彫刻や祭神人形なだが見事ですね！#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/j6pg6e7ZIf
— 高橋佑馬｜お祭りライター (@yuma_walking) April 29, 2023
後ろから見た姿はこんな感じ。木彫りの彫刻の見事さが目の当たりに。
地元の方たちも見事な意匠を見て楽しんでいました。
花山車には祭神の人形が乗っているのも特徴的。こちらは紺屋町の恵比寿です！
柳町は壽老人。
北上野町は三国志から関羽が登場です！
また、花山車の一番上には”だし”と呼ばれる飾りがあるのも注目ポイント。上新田町には金色の千成ひょうたんが乗っていました！
あげ羽蝶が乗っている町も。下糸岡町の花山車です。
花山車が勢揃いしている横では、愛宕神社のお神輿が御旅所へ到着していました！白装束の担ぎ手が、御旅所の中へとお神輿を進めていきます。
お神輿が到着した後は、町ごとに御旅所で神事を執り行っていました。
とここで、雨がぱらぱらと降ってくる事態に。市の指定文化財になっている花山車は雨に弱いため、残念ながらここでお祭りが終了となりました。天候には逆らえず、やむを得ない判断ですね。
勢揃い後は街中での巡行や花山車への試乗体験、ライトアップ等も予定されていましたが、以降の行事は中止となっています。
予定されていた行事一覧。残念ながら花山車勢揃い以降は雨のため中止に。
ということで、本降りになる前に急いで花山車が各町へと帰っていきます。予定とは変わりましたが、帰りに合わせて街中を進む花山車を楽しむことができました。
小矢部市のゆるキャラ、メルギューくんとメルモモちゃんも出てきて、花山車の無事の帰還を応援しますよ！この二人はなんと、倶利伽羅峠の戦いで活躍した火牛の子孫なんだそうです。
次々に連なって帰っていく花山車の行列。
こんな狭い路地も巡行していきます。
ゆるやかなカーブでは、体重をかけて方向転換！
提灯に火が灯った姿は来年に持ち越しですね。
2本のすれ違いシーンもありました。
露店でグルメを楽しめる
花山車の巡行は終わってしまいましたが、露店を楽しむことはまだまだできます！越前町商店街の通りにはたくさんのお店が立ち並んでいました。
たくさんの露店の中でも特筆したいのが、こちらの”どんどんやき“！どんどんやきとは、小麦粉を主に作られるもんじゃ焼きやお好み焼きの親戚のような食べ物です。
戦前には都内のお祭りや縁日でも多く提供されていたようですが、現在は岩手県や山形県、そして仙台といった東北で根付いているんだとか。東北勢の他にどんどんやき文化が残っているのが富山県。ということでいただいてみました！
こちらが富山のどんどんやきです！やわらかいホットケーキのような生地にソースが塗られ、昆布と紅生姜が挟まれていました。富山では干しえびを具材に使うこともポピュラーなようです。おやつ感覚でサクッと食べられ、お祭りグルメには最適ですね！
石動駅へのアクセス
・富山駅より、あいの風とやま鉄道線で33分
・高岡駅より、あいの風とやま鉄道線で15分
・金沢駅より、IRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線直通で23分
毎年4月29日に開催されている、石動曳山祭。ぜひ豪華絢爛な花山車の魅力を体感しに来てみてください！