2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
300年続く粋なご近所トラブル
今回は毎年6月上旬に行われる新潟県の奇祭、白根大凧(だこ)合戦を紹介しよう。端午の節句に男子の成長を祝って五月人形を飾る風習は一般的に知られているが、実は地域によっては大凧をあげる地域もある。しかし大規模な凧合戦を行うとなるとさらに絞られ、白根大凧合戦は何と日本三大大凧合戦の一つに数えられるのだ(ちなみに後の二つは静岡の浜松まつり凧合戦と、愛媛のいかさぎ大凧合戦)。
祭りの由来は、古の神事や伝承に基づいているものが多い。しかし、この白根大凧合戦が変わっているのは300年前のご近所トラブルが発端となっている点だ。「殿様から頂戴した凧をあげていたところ川の対岸の家屋に落としてしまい、それに怒った住人がさらに大きな凧を作ってわざと落として仕返しをした」というのだ(ただし諸説あり)。以来、川を挟んで東と西に分かれ、祭りという名の「ケンカ」を続けているわけだ。もめ事を祭りに昇華してしまう江戸文化の何と粋なことよ。現代ではまずあり得ない。
祭りで使う凧は2種類。高さ3メートル(畳5畳分)で六角形の形をした巻凧と、高さ7メートル(畳24畳分)で長方形の形をした大凧で、大凧の方は凧合戦に使われる凧として世界最大級となる。同種の凧が東と西に分かれて戦う。まず東軍が凧をあげて川の中央上空に陣取り、続く西軍の凧が回転しながら東軍の凧の糸に絡みつく。凧はバランスを失って両者とも川へドボン。実はここからが本番だ。絡み合った凧をめぐって対岸から互いに糸を引き合い、切れた方が負けとなる。そう。最後は綱引きで決着なのである。
会場から少し離れた凧見橋から両軍の戦いを見ることもできるが、やはりできるなら観覧席を取って近場から見るのがお勧めだ。また綱引きに関しては飛び入り参加も可能なようだ。新潟駅からのアクセスは車か、路線バスに乗る必要がある。ぜひ一度行ってみては。