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梅雨の時期に「堀切菖蒲園」を彩る花菖蒲
梅の実が青から黄に変色する梅雨の時期に、水辺を彩るのが花菖蒲です。どことなく儚げに見えなくもありませんが、湿った空気の中に、和の情緒を感じとることができます。東京都葛飾区の「堀切菖蒲園」は、例年5月下旬から中旬には、園内に花菖蒲の花が咲き乱れ、「葛飾菖蒲まつり」が開催されます。2020年は5月26日から6月21日が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染防止のため中止となりました。例年のように、パレード、縁日、歌謡ショー、バザーなどを楽しむことはできませんが、マスクを着用してソーシャル・ディスタンスをキープしながら、季節感を感じることができます。
江戸時代には「江戸百景」に数えられた堀切に整備された「堀切菖蒲園」
堀切の花菖蒲は、江戸時代には「江戸百景」に数えられ、安藤広重をはじめ歌川豊国、清親などの絵師が錦絵に描いています。湿潤な土壌を活かし戦前の堀切には、いくつもの菖蒲園がありましたが、「堀切菖蒲園」が1959年に、京成電鉄「堀切菖蒲園」駅から徒歩約10分の荒川河川敷に都立の菖蒲園として開園しました。
「堀切菖蒲園」の北側の入口から園内に入ると東正面に中央広場があり、その周囲を「花菖蒲園場」が取り囲んでいます。
約200種、約6000株の花菖蒲が絶妙のバランスで彩る「花菖蒲園場」
「堀切菖蒲園」には約200種、約6000株の花菖蒲が栽培されています。広々とした「花菖蒲園場」は、色彩や形の異なる花菖蒲がバランスよく彩られます。まるで万華鏡の中に入りこんだかのようです。
「花菖蒲園場」を縫うように水路が廻らされ、園内の花菖蒲を潤しています。
水路に沿う園路を歩くと、花園の中に迷い込んだようにも感じられます。
水路の上に架けられた小さな橋も、景観にアクセントをつけてくれます。
「花菖蒲園場」の東部には、屋根つきの休憩所が設けられているので、休みながら花菖蒲の花を鑑賞することができます。
睡蓮池の周囲で大切に栽培される「菖翁花」
「花菖蒲園場」では溢れんばかりの花菖蒲を楽しむことができるのですが、見落としたくないのは休憩所の東の睡蓮池の周囲です。池を囲むように花菖蒲の品種の中でも、特別に位置づけられる「菖翁花」が大切に栽培されているのです。「菖翁花」は、江戸時代後期の天保から弘化、嘉永の約60年の期間に、「菖翁」と賞される松平左金吾定朝が作出した品種です。
「堀切菖蒲園」の「菖翁花」10選
「堀切菖蒲園」で栽培され続ける「菖翁花」の中から、10品種をご紹介します。
「堀切菖蒲園」は、例年5月下旬から中旬には花菖蒲の花に包まれ、「葛飾菖蒲まつり」が開催されています。堀切の花菖蒲は、江戸時代には「江戸百景」に数えられていました。「堀切菖蒲園」に広がる「花菖蒲園場」からは花菖蒲の豊かな彩りが溢れ出さんばかりですが、園内では、花菖蒲の品種改良の歴史を物語る「菖翁花」が大切に栽培されています。