奇祭は日本文化のダイバシティ。どうも、奇祭ハンターのまっくです。お祭りと言えば、花火大会に縁日屋台という想い出の方が多いかもしれません。しかし、中には「捕まったらヤベーアイツが出る」祭りというのが、幼少期の原体験(トラウマ)となっている地域もあるようです。
そこで今回は西日本を中心に秋祭りに多い、そんなちょっとホラーな捕まるとシバかれる系の奇祭をまとめてみました。さぁ、それでは行ってみよう!
➀おんだ祭【奈良】
三河の「てんてこ祭」、尾張の「田県祭」、大和江包の「網かけ祭」とともに西日本における四大性神事の中でも最も露骨(ストレ-ト)な「おんだ祭り」。なまめかしいお多福と、チョンマゲをつけた天狗が登場し、夫婦が交わる様子を実演する「種つけ」を披露する。この性なる神事の前に、天狗と翁の面を被った若者が、竹筒の先を割った「ササラ」を持って悪魔祓いのために暴れ回る。
【おんだ祭(奈良県)】
五穀豊穣と子孫繁栄を願って行われる奇祭。
天狗や翁が参加者のケツをシバくところから始まり、ラストには結納の儀→ホワァ〜オ♡なお芝居まで…
天狗のケツシバきは本気のフルスイングなので覚悟しておいてネ!
毎年2月第一日曜日 飛鳥坐神社にて開催。 pic.twitter.com/bU45IsGP3F— エサ🗾珍スポマニア (@meat_stew) February 3, 2020
■日時:毎年2月第一日曜
■場所:飛鳥坐神社
■交通:近鉄奈良駅→近鉄大和西大寺駅→近鉄橿原神宮前駅→飛鳥大仏前バス停下車
➁こっぱげ面【福岡】
正式名称は星野村祇園祭。祭りの由来は、農作物の害虫被害や梅雨時期の水害を消滅させるために始まったのだとか。鬼面をつけた「こっぱげ面」が青竹を振りかざしながら村内を所構わずに暴れ回り、子どもたちを恐れさせる。
7月11日に長尾の天照大神社にて、7月15日に的別当の素盞嗚神社、7月14・15日に三坂の祇園神社の三カ所で開催。
鬼に尻たたかれ「こっぱげそう」 八女市で奇祭https://t.co/TrGqpIQqnQ
鬼に扮(ふん)した男衆が青竹で住民らの尻をたたいて回る奇祭「こっぱげ面」だ。村内3神社の祇園祭として200年以上続き、たたかれると無病息災などの御利益があるとされる。— 一日一妖(九十九屋ORさかなや) (@3tabu) July 11, 2019
■日時:毎年7月11日、14日、15日の三日間
■場所:天照大神社(福岡県八女市星野村)
■交通:JR羽犬塚駅より八女市乗換えで約90分
これより以下はすべて秋祭りとなるゾ。
➂有松山車まつり【愛知】
毎年10月第1日曜日に開催される有松天満社の秋季大祭。名古屋市が指定する有形民俗文化財の山車3輌(布袋車、唐子車、神功皇后車)が、旧東海道を華麗に練り歩く。豪華絢爛な山車の方向転換や、山車の上で展開させるからくり人形の演技は必見。山車の先導役として酒の神様である「猩々」(と天狗)が登場し、子供をみつけると手に持った団扇で頭を優しくポンポン撫で、無病息災を願いながら練り歩く。かつての猩々は、猩々同士で喧嘩を始めるぐらい荒々しかったようで、当時の想い出については下記の動画を見ていただきたい。
@yokoitshi
名和のあたりから有松・鳴海・星崎・笠寺・呼続・白豪寺……かつての鳴海台地の辺縁に沿ったところには猩々の祭りがありますが、名古屋市民でも他地域の人はまず知りませんね。干拓以前から続く古層の文化であり、名古屋城などよりはるかに意味のあるものです。正しい歴史の掘り起こしを❗️ pic.twitter.com/2Icuxgk6NT— どすえそーだ (@ShowBanShinra) April 13, 2021
■日時:毎年10月第1日曜
■場所:有松・東海道一円
■交通:名古屋駅から名鉄名古屋本線で約10分、名鉄有松駅下車
➃天狗まつり【大阪】
西小路八幡太神社にぎわい祭りとも言われる。午前中は3組の天狗や獅子舞が子供神輿とともに全家を回って邪気抜いを行い、夕方からは、子供から大人まで誰でも天狗や獅子舞が頭を叩く。彼らがもつじゃりで叩かれると元気な子供に育つと言われているという。
また同じく箕面地区では、毎年10月15・16日に聖天宮秋季大祭の天狗まつりも開催される。こちらでも邪気払いのために天狗が子どもたちを叩いてまわり、夜には天狗と獅子舞が太鼓の音とかけ声に合わせて踊る。なお、聖天宮西江寺の天狗は役行者が変化したものなのだとか。
運動会後は西小路天狗祭りへ!子どもたちはひたすら天狗に追いかけられしばかれていました!笑。泣き出す子どもたちもたくさん。トラウマにならないか少し心配ですが、叩かれると頭が良くなる縁起物ですので、今日だけは怖い大人を許してね^_^; pic.twitter.com/Lmvoa6fZ85
— 原田りょう (@haradaryo_net) October 3, 2015
■日時:毎年10月第一土曜
■場所:八幡太神社(西小路八幡)
■交通:阪急箕面駅下車、徒歩15分。
➄べちゃ祭【岡山】
塩生神社の秋季大祭。天狗の面をつけた神様「べちゃ」が、手に持った笹で子供たちを全力で叩く奇祭。「べちゃ」から逃げる際の秘訣は➀体力をつけておくこと、ミミズばれを防ぐため②長袖・長ズボンで肌を守ること、追いかけてもらうため勇気を出して③からかうことなのだそう。なお、からかう言葉は「鼻が高いと言うが、その程度じゃ鼻べちゃじゃぁ~! べ~ちゃ~、べ~ちゃ~、べ~ちゃべちゃ!」が良いとされているという。
また同じく岡山県の阿智神社では、秋季大祭の日程中、「じじ」と「ばば」の面を被った素隠居が元町通り付近を歩き回っており、彼らにうちわで叩かれると頭が良くなるのだとか。
#ベチャ祭り#南青年団 pic.twitter.com/zmiYurCjZ4
— sana (@kodakumi7245) October 15, 2016
■日時:毎年10月第三土曜・日曜
■場所:塩生神社
■交通:児島駅から徒歩55分(直線距離で4764m)
https://becha489.info/
2022年度の開催は?
10月15日(土)~16日(日)に開催予定でしたが、公式には中止となりました。
ただし、各地区の各青年団の判断で、各地区内のみだけで一部開催となるようなので、公式サイト等をご確認ください。
塩生疫神社秋季大祭『べちゃ祭』は、
公式中止が決定しましたが、各団(上下青年団・南青年団・奥田淵青年団)の
地区内巡回が決定いたしました🎋べちゃも出るよ👺
▼詳細は↓ pic.twitter.com/DN836TY9qT
— べちゃ祭 (@becha_info) October 2, 2022
➅小屋浦のマッカ【広島】
小屋浦新宮社の秋季例大祭で、毎年10月第3日曜に開催。100年以上の歴史があり、小屋浦の守り神で赤鬼の姿をした「マッカ」に扮した者が人を叩く奇祭。なお小屋浦では「マッカ」だが、呉では「やぶ」と呼ばれ、こちらの鬼たちも広島各地の秋祭りで広く活躍する。
広島県安芸郡坂町小屋浦
西日本豪雨で16人が犠牲になった坂町小屋浦地区で無病息災を願う秋祭りが開かれている。
去年は祭りの規模を縮小したが今年は神輿を担ぐなど全ての行事が行われる予定。小屋浦サテライト長はマッカさんに「やさしく…やさしく…。」とお願いした。 pic.twitter.com/6XXi72sjtL— ryo®︎ (@charrrn88) October 20, 2019
■日時:毎年10月第3日曜(土曜は宵祭り)
■場所:小屋浦新宮社
■交通:広島からJR呉線で約30分、小屋浦駅で下車、神社まで徒歩7分
2022年度の開催は?
10月15日(土)に開催が決定しました、
【お待たせ致しました】
開催致します! pic.twitter.com/p99FkDrbz7— マッカ 小屋浦 青年団 (@5kOr2zvQpJjIuUv) September 19, 2022
➆ガッチ祭り【島根】
毎年10月23日に行われる松江市島根町野波の祭りで、正式名称は祇園社神幸祭。6時間も続くリアル鬼ごっこ。鳥居を出るやいなやガッチが「ホエー!」と大きな奇声をあげて襲いかかり、「スッボ」と呼ばれる藁の棒で尻や腿を叩かれる。またガッチが被る数ある面の中でも般若のような容貌の「鼻ぺちゃ面」が最恐で最も足が速く、恐れられているのだとか。
島根の奇祭、ガッチ祭り。神様が里帰りする際に通る道を、ガッチと呼ばれる鬼どもが、スッポと呼ばれる藁の棒で清めて廻る祇園社神幸祭である。奇声を上げ、人にも襲いかかってくるゾ。異能の鬼じゃな。毎年10月23日に開催。 pic.twitter.com/VHTGoFJvjJ
— 奇祭ハンター まっく (@Mac40626899) November 2, 2022
■日時:毎年10月23日
■場所:日御碕神社(野井)周辺
■交通:JR出雲市駅より日御碕バス停終点下車、徒歩1分
2022年度の開催は?
松江観光協会に確認したところ、2022年は例年通り10月23日(日)に通常開催されるようです。
いかがでしたか? 岡山より東の天狗文化圏では天狗が大暴れ。広島より西の鬼文化圏では「マッカ」「やぶ」「ガッチ」「こっぱげ面」など様々な名称で呼ばれる鬼が大暴れというのも興味深い分布です。来訪神の次に文化遺産に登録されるのは彼らかも?! それでは、今日も行ってらっしゃい。