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2023南京町春節祭
过年好(グォニェンハオ 旧正月おめでとう)!
毎年、旧暦元日を含む数日間開催される南京町の「春節祭」。今年2023年は1月22日と、27〜29日の日程で開催されました。
南京町春節祭は、1987年から始まり、今年で35回目の開催です。1997年に神戸市の地域無形民俗文化財にも指定され、神戸の冬を彩るおなじみのお祭りになっています。
コロナの影響で、南京町では一時期9割ものお店が閉まる憂き目に遭いました。そこから、3年ぶりに奇跡の復活を遂げた市民待望のお祭りを中国在留経験のある佐々木がレポートいたします。
一瞬で顔の面が変わる中国の伝統芸能「変臉(へんれん)」
南京町広場では魔を祓い、幸運を呼ぶ爆竹の音で春節祭が開幕します。
この大きな「バチバチ!」という破裂音を聞くと、夜中に町中が煙だらけになる中国の春節を思い出します。
広場のステージでは、さまざまなイベント・ショーが披露されます。
最初にステージを飾る「変臉(へんれん)」は中国四川省の伝統的演劇。
この不思議な魅力の伝統芸の真髄は「中国の国家機密」とも言われています。
一瞬で顔が変わる「変臉」。
西遊記の孫悟空だったのに、あっという間に女性に変身!
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お客さんの目の前まで来て、パッと顔を変えてくれたりもします。
連写しても、動画を撮っても、お面が変わっている瞬間が全くわかりません。
す、凄い…!!
一度見てみたいと熱望していた変臉をガッツリ見ることが出来ました。
三国志の英雄たちや楊貴妃が練り歩く!「中国史人游行」
続いて京劇「覇王別姫」でも有名な、秦末期の武将・項羽とその愛人・虞姫など中国の歴史上の人物に変身した人たちが広場に次々に登場!
おぉ〜。綺麗!!
日本で言うと歌舞伎の隈取のように、中国の京劇はメイクや色を見ると、どんな役柄かわかります。例えばヒゲは年齢を表しており、黒い色は若い人、壮年なら深緑、老人は白です。化粧の色は、赤は忠義者、青は悪人など個性を表しています。衣装は歴史上の人物の時代と実際には異なることもあり、舞台での華やかさを重視しています。
ステージで各人物の紹介が終わると、英雄たちの行列が元町商店街や三宮センター街などを華々しく練り歩きます。
邪気を払い福を呼ぶ「中国獅子舞」
中国において、獅子は龍の住む宮殿を守る霊獣で、「駆邪(邪を祓う)と招福」の象徴です。お祝いごとには欠かせません。
中国獅子舞は「北方獅子舞(北獅・ペイスー)」と「南方獅子舞(南獅・ナンスー)」の2種類があり、南京町では南獅が舞います。
南獅はカンフーの練習種目の一つにもなっていて、見栄の切り方や足運びなどがアクロバティックな点が特徴です。
シンバル、太鼓、銅鑼による中国独特の音楽に合わせ、頭役と足役の2人1組で演じられる獅子の息のあった技が繰り広げられます。お若い方の迫力のある演技というのにもまた驚きました。
以前、子供達による「伝統文化の夢舞台」で獅子舞を見せていただいたのをきっかけに、今回の春節祭に来ました。
確かにこんなにカッコよくて可愛い獅子舞を見て育ったら、やってみたくなりますね。
獅子舞をやりたい!という気持ちがあれば、どなたでも参加できるそうですよ。
今度は獅子が私の方に寄ってきました。
おお〜!!!
がぶっ。
獅子に噛まれた…!
獅子に頭を噛んでもらうというのは魔を祓う意味があります。
ありがたや〜。
今回、初めて獅子舞の中の写真が撮れました。
このあともきっと良い写真が撮れますね!!
今度は獅子たちはお店の方へ移動していきます。
これは「採青(ツァイチン)」といい、店の軒先に獅子の好物の青菜や祝儀袋の紅包(ホンバオ)をつり下げ、獅子がくわえ取る伝統行事です。神戸華僑総会舞獅隊が南京町と元町を巡ります。
お店の前で技を披露すると店員さんがご祝儀袋をちらつかせます。
このご祝儀をもらおうとする獅子と店員さんのやりとりがおもしろい!
獅子は次々にお店を移動していきます。このとき途中で獅子の前後役入れ替わりが行われますが、とってもスムーズでそういうところを見るのも面白い。獅子が2階のお店に突撃していく一方、楽器隊は1階で演奏し続け、見事なチームワークを繰り広げているところにも練習量を感じます。
はずれなし!大人気の「ポチ袋くじ」
続いての南京町春節祭の名物は旅行券やホテル宿泊券などが当たる「ポチ袋くじ」。
「この番号は宿泊券ですね!」と解説しながら、目の前で箱にクジが入れられていきます。
クジの入った箱は警備員さんが大切にクジ売り場まで運びます。
見てください。この行列!ピークには1時間待ちになるほどの人気。
1枚200円で1000円分買う方が多いようです。
というわけで私も5枚買ってみました!
もし外れても、くじの袋には神戸市内で使える割引QRコードなどがついています。
5枚買ったくじの結果は・・・。
1枚当たり!小物入れとお茶セットが当たりました。
やはり5枚くらい買うのがいいのかもしれません。
すぐそばでは占いや伝統工芸の切り絵細工「剪紙(せんし)」の実演販売もしています。
2023年にちなんで2023円の福袋や、春節限定のお土産を用意しているお店もあります。
女子高生たちによる華麗な「龍舞」
神港橘高等学校龍獅団による華やかな「龍舞」。女子高生のチームです。
青空の元、龍が空を駆け巡りました。
一般的な龍舞では绣球(シュウチュウ)という魂の球を追いかけて技を披露しますが、このチームでは绣球を使いません。長崎の龍踊(じゃおどり)などともまた一味違う舞です。
コロナでなかなか練習も出来ず大変な時期もあったそうです。
美味しい食事がいっぱい!南京町のグルメ
手軽にワンコイン料理が食べられるのも南京町の魅力。ちまきや肉まん、小籠包と点心が店先にずらりと並びます。色々食べてみましたが、中でも食べ応えもあるのは東坡肉(ドンポーロウ)、お肉たっぷりの肉まんです。
もうひとつ、写真映えを狙って点心セットも買ってみました。
本来は緑色は一つで、星型の黄色い点心がついてくるはずでしたがこの日は売り切れ。
それでも可愛くて美味しい!!!寒い中で温かい点心に大満足です。
せっかくなのでお店もひとつご紹介。
南京町から元町商店街に出てすぐのところにある「中華蘭州牛肉拉麺」は麺を伸ばすところを写真や動画に撮るのもOKなお店です。
また、このお店では「採青」の獅子を屋内で見ることもできました。
ここでは他のお店と違い、ラーメンが獅子に献上されます。
獅子が必死に食べています。店員さんから「がんばれー!!!」と声がかかる。
3分でスープまで食べ切り、空のお椀をみんなに見せてくれました。
中国の芸術サーカス「雑技」
広場でのイベントはまだまだ続きます。中国と言ったら、やはり雑技は外せません。
技が決まったら「好(ハオ)!」と言うと演者はとても喜びます。
ぜひ拍手や声をかけてみてください。
その後は南京町の歌姫、范丹陽(ファン・タンヤン)さんによる歌。1995年の阪神淡路大震災を神戸で被災したことがきっかけで、南京町春節祭の舞台で歌い続けています。復興の祈りを込めて舞台に臨んでいるそうです。
中国の演歌という感じの曲が楽しめます。
中国の広場でもよく見る太極拳。剣や扇の舞が披露されました。
他には二胡による音楽演奏と、夜まで様々なプログラムが披露されます。
祭壇参拝
商売繁盛の神様としても信仰される「関聖帝君」。
春節祭期間中のみ特別に広場でもお祀りしており、お守りやおみくじもあります。
お参りの仕方は西遊記メンバーが丁寧に教えてくれ、記念写真も一緒に撮れます。
南京町の春節祭、いかがでしたでしょうか。
中国のお正月の雰囲気を満喫して、美味しい食事も楽しめますよ。
私は次回、夜の獅子舞や中秋節を見にいってみたいと思います。
みなさんも素敵な一年になりますように。