例年7月14日に神奈川県の戸塚で行われる「お札まき」。コロナ禍で縮小開催を経て、いよいよ2023年7月14日(金)に開催されます。
この記事では、2019年の奇祭ハンターMacさんのレポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。
(2023年7月6日編集部更新)
ヒーローはここにいる! 江戸時代のハーメルンの笛吹き男?!
どうも。奇祭ハンターのMacです。
今回紹介するのは、毎年7月14日に神奈川の戸塚で行われる奇祭「お札まき」。
ざっくり聞いたところによると、この奇祭は、和装美人が輪になって歌いながら、お札を巻くお祭りだという……。
お札はともかく、「和装美人」に期待がはずみますね。
早速行ってみましょう!
お祭りはどうやら神奈川県・戸塚の八坂神社で行われている模様。
歌やお囃子が聞こえてくるほうに行ってみましょう。どれどれ。
お、やってる。やってる。
なるほどね。お祭り用に白く塗って化粧もバッチリ……。
ん? 何か変だぞ!(カメラさん寄って!)。
!!
和装美人って、「男」やないかい!!
(ちなみに、この島田髷のカツラを被った方がリーダー)。
そうです。「お札巻き」とは、女装した男性約15名が厄除けのお札を巻くお祭りだったのです。何でも「お札巻き」は昔は江戸や大阪でも盛んに行われていた(マジで?!)が、今ではこの戸塚の地を除いてほかにないのだとか。
江戸時代にコレラが蔓延した際、厄除けの神様である牛頭天王(八坂神社の祭神)に祈ったのが発症なのだとか。歌の歌詞に「天王様は、ケンカが嫌い~」などと出てきたのですが、この天王って牛頭天王のことだったんですね。
ちなみに、なぜ男性が女装するのかは、牛頭天王に捧げた江戸時代の演芸(歌舞伎同様、当時は女性の演芸は禁止されていた)の流れを汲むから(?)なのか……、はっきりした理由はわかりませんでした。
いよいよお札がまかれる!
歌が終わって「さぁ、いよいよお札をまくか」と思ったら、これがなかなかまかない。「ファイナルアンサー?」ばりに引っ張った後、ようやく団扇で仰いでお札を宙にまきました。ヒラヒラと宙を舞うお札。
一回にまくお札は20枚だそうですが、風に舞うおみくじサイズの小さなお札をこの軍勢の中から奪取するのは、なかなか至難の業。ぶっちゃけ空中キャッチをねらうより、地面に落ちたやつを拾ったほうが簡単かもしれません。
八坂神社の境内からスタートした一行は、いよいよ町中にくり出しました。アイドルの追っかけばりに見物客も後をついて廻ります。レアなお札目当てで、子どもたちもゾロゾロと。ピーヒャラお囃子に導かれ、派手な衣装の男の後を子どもたちがついていく様は、まるでハーメルンの笛吹き男のよう。町中にはお祭りらしく、縁日もたくさん出ています。
一方、その頃、お札まきの一行が去った境内では、孤独な「のど自慢大会」が開かれていました。か、観客ひとりだけ?!(いや、それだけお札まきが人気ということか)
町中でもお札をまきます。20か所ほどまいた後、最後にまた八坂神社の境内に戻るようです。
赤、オレンジ、ピンク、黄色、緑、水色とカラフルなお札には「正一位八坂神社御守護」と書かれています。
一方、その頃、お札まきの一行が去った境内では、孤独な「のど自慢大会」が……(以下同文)。孤高の戦い、ライバルは「昨日の自分」だね!
道中、どうやら化粧の下は甘いマスクにちがいない、さわやかなお兄さんと写真を撮る奇祭ハンター(筆者)。
どさくさに紛れ、インタビューを試みました。
「女装が好きなんですか?」(のっけから何て質問だ!)
「い、いやぁ、そういうわけじゃないんだけど……」(苦笑)
「じゃあ、どうして?」
「地元のために、お祭りを楽しみにしてくれるみんなのために、誰かがやらないといけないことだからね」
お兄さんは少し照れたように、そう答えました。
女装したお兄さんはまるで人知れず戦うヒーローのようでした。
それから毎年7月14日。お札まきが行われるこの時期、
日々の雑務に押しつぶされそうになったり、
面倒くさいこと全部投げて逃げ出したくなると、
お兄さんの言葉がふと頭をよぎるのです。
「誰かがやらないといけないことだからね」
2023年の開催情報!
日時:2023年7月14日(金)
場所:八坂神社(神奈川県横浜市戸塚区戸塚町)
交通:戸塚駅から徒歩約10分