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滋賀・大津のからくり山がすごい!2023年「大津祭」の曳山巡行は7日から!

2023/10/3
2023/10/3
滋賀・大津のからくり山がすごい!2023年「大津祭」の曳山巡行は7日から!

2023年10月7日・8日の日程で、滋賀県大津市で「大津祭」が開催されます!

からくりの乗った風雅な曳山が勇壮に街を練り歩くこのまつり。この記事では、2022年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。

からくり人形と粽が舞い、粋な大津絵の着流しが行く!

湖国三大祭・国指定重要無形民俗文化財「大津祭」。
京都の祇園祭を彷彿とさせる曳山が13基、大津の町を彩ります。
スポーツの日の前日に行われる曳山巡行では、精巧なからくり人形が最大のみどころです。

京都駅からJRでたった二駅。しかも駅から徒歩圏内で一日中、見て回れる「大津祭」本祭をレポートいたします。

大津駅前で大津祭の地図を貰うべし!

まず最初は大津駅前の仮設テントで「大津祭見て歩きマップ」をゲット。
前夜の宵宮(よみや)でも大活躍の地図ですが、本祭(ほんまつり)では曳山巡行のルートと時間がわかるため重宝します。

からくりを演じる「所望」の実際の場所には御幣が飾られている

また地図の黄色の丸部分は超重要。この場所で、からくり「所望(しょうもん)」が行われます。見逃しても他の場所でも何度も行われるため、体力と時間に合わせて休憩しながら何度も見て回ることができます。地図は必ず手に入れておきましょう!

天孫神社での「くじ改め」

朝9時。天孫神社の裏門鳥居に全ての曳山が集合。
事前に行われた「くじ取り式」の順番に曳山が並びます。

おおお!さすが全部が並ぶと壮観!!
朝早くから沿道にはたくさんの見物客が並んでおり、お囃子の音が鳴り始めるとテンションがさらにあがっていくのを感じます。

ひとつだけ残念だったのは2022年は午後から雨が降る予報のためビニールシートがかかった状態だったこと。
豪華な懸装品が雨に濡れると大変ですから仕方ない…。
来たばかりなのに「また来年も撮影に来なくちゃ!」と気合いが入ります。

天孫神社の表門鳥居に曳山到着

9時半ごろになるといよいよ出発!
表門鳥居に曳山が到着すると「くじ改め」が行われます。
これは曳山巡行の順番をきちんと守っているかの確認です。くじ改めのあとは鳥居の前で最初のからくり「所望」が始まります。

天孫神社で行われる「くじ改め」

大津祭のからくり「所望」全公開

2022年の順番で各町の曳山のからくりをご紹介いたします。
詳しい曳山の情報は、美しい夜の姿「宵宮」の記事をご覧ください。

西行桜狸山(さいぎょうざくら たぬきやま)

曳山巡行では「くじ取らず」の先頭になる西行桜狸山です。
所望では花の中から桜の精が現れて、西行法師と問答します。屋根上の狸がカッパを着ているレアな画像です。(ここ何十年も曳山巡行で雨は降っていません。)

西宮蛭子山(にしのみやえびすやま)

俗称「鯛釣山」。えびすさんが鯛を釣り上げる所作が見られます。この曳山が作られた頃は、宇治橋姫山という名前でしたが、延宝年間以後、現在の「西宮蛭子山」に変えられたといわれています。

宇治橋姫は「丑の刻参り」の原形の鬼女。えびすさんの方が縁起が良いため変わったのかもしれません。

源氏山(げんじやま)

俗称「紫式部山」。紫式部が源氏物語の構想を練り、イメージが浮かんで消える様子です。石山をかたどった岩の中から、潮汲み馬、御所車、かさ持ち、木履(ぽっくり)持ちなどが出てきます。からくり時計で小さな人形が回っていくような印象です。

龍門滝山(りゅうもんたきやま)

写真右は曳山巡行の際の粽(ちまき)撒きで屋根に落ちた粽の回収の様子

俗称「鯉山」。「登竜門」という言葉の語源に由来する山です。龍門の滝を鯉が躍り上がるところが見られます。鯉のからくりは宝暦12年(1762)制作の日本最古のものです。

石橋山(しゃっきょうざん)

謡曲「石橋」より考案された山。天台山の岩石の中から唐獅子が出てきて、ぴょんぴょんと牡丹の花に向かって戯れ遊び、また岩の中に帰っていきます。

西王母山(せいおうぼざん)

仙女・西王母が不老不死を願う漢の武帝に三千年に一度、一個しか実らない桃を捧げ、皇帝の長寿と平和を祝いました。所望では桃が二つに割れ、その中から童子が生まれます。

この西王母山だけは普段でも原寸大の模型を「大津祭曳山展示館」で見ることができます。

殺生石山(せっしょうせきざん)

別名「玄翁山」。能楽「殺生石」より考案された山です。玄翁和尚の法力により石が二つに割れ、女官姿の玉藻前(たまものまえ)の顔が狐に変わるところが見られます。
小さな人形が奥にあるため、写真を撮影するのはとても難しかったです。

猩々山(しょうじょうやま)

能楽「猩々」​より​考案​された山。夢で見た通りお酒を売る高風。飲めども減らず、味の変わらない酒壺を猩々からもらったというお話です。

所望では高風がお酌をして猩々が大盃で酒を飲むところを現しています。最後に酔って顔が赤くなるところは動画(9分30秒あたり)をご覧ください。

神功皇后山(じんぐうこうごうやま)

神功皇后が戦に先立ち、肥前国松浦で鮎を釣り戦勝を占ったという伝説に由来しています。皇后が後ろを向き、岩に弓で字を書く所作をすると、次々と文字が現れてくるからくりです。夕方になると明かりが灯され、昼間よりも荘厳な感じがします。

湯立山(ゆたてやま)

別名「おちゃんぽ山」。祢宜(ねぎ)がお祓いをし、市殿(いちどの)が笹で湯を奉り、巫女が神楽を奏します。

昔からこの湯がかかると五穀豊穣、病気平穏、商売繁盛など縁起がよいといわれています。三体が同時に舞う華やかなからくりです。

孔明祈水山(こうめいきすいざん)

三国志好きに是非見てほしい孔明祈水山。蜀の諸葛孔明が、魏の曹操と戦うときに流れる水を見て「敵の大軍を押し流してください」と水神に祈り、大勝をした故事に由来します。

孔明が扇を開くと、水が湧き上がってきて流れ落ちる仕掛けになっています。

月宮殿山(げっきゅうでんざん)

謡曲「鶴亀」(喜多流では月宮殿)に由来。唐の皇帝が不老門に立ち、春を祝う会を催し、世を寿いだというお話しを表した山です。

頭上に鶴と亀の冠をつけた男女の舞人が皇帝の前で向かい合ったりしながら扇を開き舞います。雅な宮廷の宴を見ているような気持ちになります。

※残念ながら「郭巨山」はお休みでした

巡行の昼休憩は曳山をじっくり見るチャンス

お昼12時から約2時間は休憩時間。中央大通りに曳山が展示されます。
ゆっくりと豪華な天井画やゴブラン織の見送り幕などの懸装品を眺めることができます。

また、囃子方は午前中、神事があるため正装の紋付を着ていましたが、午後からは華やかで粋な着流しに着替えます。

例えば西宮蛭子山なら蛭子様。殺生石山は九尾の狐など、この着流しの絵を見るのも楽しい。

着流しの絵を見ていると「大津絵」も描かれていました。大津絵は江戸時代、東海道を行く旅人に大津宿のお土産や護符として大流行した仏画です。

例えば「鬼の寒念仏」は一番有名な絵。僧衣をまとう鬼は偽善者の姿を表しています。鬼のままで衣装や小道具だけを僧侶にしても無駄だということを表しており、夜泣きを止め、悪魔を払うご利益があるといわれています。

地元の文化や芸術も肌で感じられるお祭りっていいですね。
以前、有名な大津絵の画題を、元唄(大津絵節)と三味線伴奏にあわせて面をつけ変えて舞う「大津絵踊り」をレポートしたのですが、また見たくなりました。

13時半すぎには御神輿が登場!
威勢のよい掛け声をあげながら神輿が通り過ぎて行きました。15時半ごろまで大津の町を練り歩きます。

粽(ちまき)撒きが今も行われているというのも大津祭の目玉のひとつ。特にからくりが行われる家の窓には威勢よく投げ込まれます。私はそのおこぼれをもらったりで粽を3つ、手拭いを1ついただきました。

ちなみにこの粽は、玄関先などに吊るしておく食べられない厄除けのための粽です。京都の祇園祭にも欠かせないものですが、鉾の上からは撒かずに会所で販売しています。厄除け粽の詳しい解説はこちらをご覧ください。

初めての大津祭。一日中、満喫しました!
巡行路には商店街が2つあり、食事や休憩、トイレにも困りません。来年はあなたも是非お越しください!

※大津祭の日程はスポーツの日の前日(日曜日)に本祭開催のため、毎年、多少日程が変動します。事前に下記の参考サイトなどでご確認ください。

<参考サイト>
◎大津祭曳山連盟公式サイト
◎天孫神社公式サイト
◎天孫神社「2022年の神輿渡御の巡行路」
◎ちま吉WEB(大津祭曳山連盟公式キャラクターのサイト)

天孫神社では大津祭限定の御朱印もいただけます。

2023年の開催情報!

日時:10月7日(土)<宵宮>夕刻~21時頃
8日(日)<本祭>9時~17時30分頃

場所:JR 大津駅と京阪浜大津駅周辺、天孫神社(大津市京町3丁目3-36)

主な日程:

宵宮曳き 本祭前日(土曜日)
午前中〜 曳山飾り付け、

午後〜 宵宮曳き

8日(日)<本祭>

9時〜 曳山出発(天孫神社前)

夕刻 寺町通りで解散。

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