一般的に鬼は乱暴で恐ろしい存在と思われていますが、その一方で病魔を追い払う力があると考えられることもあるのはご存知でしょうか?この記事では、鬼が出てきて無病息災のご利益がある全国のお祭りを5つご紹介します。「苦しい時の神頼み」ならぬ「苦しい時の鬼頼み」で、健康な毎日を過ごしましょう!
目次
【愛知県】参加者が小麦粉まみれに?!「豊橋の鬼祭り」
愛知県豊橋市の安久美神戸神明社(あくみかんべしんめいしゃ)では、毎年2月10日・11日に「豊橋鬼祭」が行われます。
このお祭りでは赤鬼と天狗が戦う形で多くの神事が執り行われますが、最も有名なものが最後の「赤鬼と天狗のからかい」です。天狗に敗れた赤鬼が、白い粉とタンキリ飴を撒きつつ境内から逃走する神事で、粉を浴びて飴を食べると厄除けになり夏病みを防ぐと伝えられています。粉は小麦粉で表現されており、参加者は小麦粉で白くなりながら飴を食べて健康を祈ります。
豊橋鬼祭り!リアル鬼ごっこの最後に待ち受ける結末とは?! 頂上決戦をハントせよ!
【愛知県】冷えた大地に生命を呼び起こす!「奥三河の花祭り」
愛知県東栄町周辺では、11月から3月にかけて各地で「花祭」が行われます。鎌倉時代から続くこのお祭りは、11か所の会場で計40種類以上のさまざまな舞が行われます。
一番の見どころが「鬼の舞」です。五穀豊穣や無病息災をもたらすとされる鬼と一緒に、人々が囃子声を上げながら体を動かします。続いて行われる「湯ばやし」は釜に入った湯を四方に振りかける舞で、湯を浴びると一年健康で過ごせるとされます。真冬の奥三河では、舞や湯で心身ともに温まって病気を防止しています。
過疎の街に受け継がれる民俗芸能「花祭り」、東京の子供たちと歩んで
【広島県】クールでカッコいい鬼が暴れまくる!「呉の秋祭り」
広島県呉市では、9月から11月にかけて市内各地の神社で秋祭りが行われます。呉の秋祭りは「やぶ」と呼ばれる鬼が特徴的です。
お祭りが近づくと街中で子供を追いかけて、お祭り当日には、神社に俵神輿を奉納する氏子を囲み、俵の米質を竹棒で確認します。やぶを振り切ろうとする氏子との間で激しいもみ合いになることも少なくありません。
子供からは怖がられるやぶですが、大人になると迫力満点でカッコよく感じられる存在です。神社ごとにやぶの面や人数、服装が違うため、さまざまなやぶを見に行く楽しみもあります。
【北海道】閻魔様のお通りだ!「登別地獄まつり」
北海道登別市の温泉街では、毎年8月に「登別地獄まつり」が行われます。お盆の時期は地獄も休んで閻魔大王が鬼たちと共に登別温泉に行くという伝説をもとにしており、鬼や閻魔をかたどった大きな神輿や山車が街中を練り歩きます。
他にも、鬼の面をつけた市民と観光客が、地獄囃子に乗って踊ったり花火大会が開かれたりと、夏の終わりの登別をたっぷりと楽しめるお祭りです。
【鹿児島県】暴れ鬼を捕まえろ!「奇習鬼追い」
鹿児島県曽於市の深川熊野神社では、1月に「鬼追い」という独特なお祭りが行われます。ここでの鬼は恐ろしい悪鬼ではなく、さまざまな幸せをもたらす善鬼です。
鬼と介添役が御幣(ごへい)や鬼の手などを持ち境内を走り回ります。御幣をちぎって持ち帰ればその年を健康に過ごせると伝えられますが、鬼は御幣を取られないよう、鬼の手で叩いてきます。力強い実況を聞きながら、鬼と御幣を取るか叩かれるかの駆け引きを楽しめて、冬の夜でも熱くなれます。
まとめ
鬼が登場する全国各地のお祭りをご紹介しました。鬼は昔から物語などでよく出てくる存在であり、全国で多くの人から恐れられると同時に崇められてきました。鬼の力強さが健康的に感じられて、病魔を追い払ってくれる守り神だと考えられるようになったのかもしれませんね。