横浜市の三渓園で例年9月中旬に開催される「観月会」
2021年の中秋の名月は9月21日です。夏の暑さが和らぎ空気が澄み渡る秋の夜空に浮かぶ月の姿には、季節の移ろいや和の情緒が感じられるものです。全国各地に月見のスポットがありますが、横浜市中区の三渓園では例年9月中旬に夜間開放され、「観月会」が開催されています。2021年の期間は9月18日~23日です。
「観月会」の期間中には夜間ライトアップされる古建築
三渓園は、生糸貿易を営んだ実業家の原三溪が1906年に横浜市南東の本牧に造園した日本庭園です。約17.5ヘクタールの敷地には、全国各地から17棟の伝統的な建造物が移築され、日本建築の歴史のエッセンスに触れることができます。
園内に移築された数々の和建築の中で三渓園のシンボルとなっているのは、小高い丘の上の旧燈明寺三重塔です。室町時代の1457年に京都の木津川市に建造されたもので、1914年に三渓園に移築されました。園内では最も古い建造物です。「観月会」の期間中にライトアップされた旧燈明寺三重塔は、丘の草木の上に幻想的に浮かび上がります。
旧燈明寺三重塔を見上げる丘の麓には、旧矢箆原家住宅が建っています。1976年にユネスコの世界遺産に登録された飛騨白川郷から、江戸時代の後期に建てられた入母屋合掌造りの民家が移築されました。飛騨の三長者の一人に数えられた矢箆原家の家には、式台玄関や書院造りの座敷を備えています。飛騨地方の民具に囲まれる囲炉裏は日中には火が焚かれ、「観月会」の期間には玄関に十五夜飾りで装飾されます。
旧燈明寺本堂で行われる和楽器演奏などのイベント
旧矢箆原家住宅の北には、旧燈明寺本堂が三重塔と同じく京都の木津川市から移築されています。本堂の前では観月会の期間中には毎夜、音楽のイベントが企画されています。2021年は琵琶、筝などの和楽器演奏をはじめ、リュートの演奏、日本舞踊、サックスとピアノの演奏などが行われ、中秋の名月の和かな光の下で、情緒豊かな時間を過ごすことができます。
中秋の名月が照らす日本の伝統建築
旧燈明寺本堂で奏でられる楽器の音色は園内に広がり、中秋の名月の鑑賞に風情を添えてくれます。古建築が点在する園内では、趣の異なる月見を楽しむことができます。
園内の茶屋などでは、期間限定メニューも登場します。雁ヶ音茶屋ではうさぎソフト、三渓園茶寮では満月膳、待春軒ではお月見そば/うどんなどを味わえば、中秋の月見の風情に浸ることができることでしょう。
2021年の中秋の名月は9月21日です。横浜市中区の三渓園では例年9月中旬に「観月会」が企画されており、2021年は9月18日~23日の期間で開催されています。旧燈明寺三重塔、本堂、旧矢箆原家住宅などの伝統的建築物がライトアップされ、中秋の名月に和の情緒を添えてくれます。旧燈明寺本堂では和楽器演奏などのイベントが行われ、豊かな風情で月見を楽しむことができます。