来たる3月16日(土)に開催される泉州音頭のイベントを記念して、実際に東京にやってきて生唄生演奏を披露する「泉州音頭 宝龍会」さんに(酒を飲みながら)インタビューを敢行! 大阪で「河内音頭」「江州音頭」と並んで知られる「泉州音頭」ですが、東京での知名度はまだいまいち……。
前編では、「泉州音頭とはなんぞや?」というお話を弘若さんに伺いましたが、後編では「なぜ彼らは東京上陸を目指すのか?」その想いを、宝龍会の皆さんに聞いてみました。
聞き手=小野和哉(2019泉州ナイト実行委員会)
<今回登場する宝龍会メンバー>
宝龍弘若:
宝龍会のTwitterアカウントの中の人
宝龍弘義:
通称、“根っからの商売人”
宝龍弘和:
料理が上手で、気配りもすごいスーパーホスト
東京での盛り上がりを地元に届けたい
小野:
正直、東京ではまだ「泉州音頭」がほとんど知られていない中で、今回のイベントはかなりアウェー感があると思うのですが、みなさんが東京にかける熱い想いの源はなんなのでしょうか。
弘丸:
それはね、東京の方でいますごく盆踊りが流行っていると思うんだけど、そのことは俺らにとっては刺激で。その盛り上がっている感じを逆輸入みたいにして、「どうも東京の方で盆踊り流行ってるみたいやで」って言うて、泉州にいる若い子らが影響されないかなあと思って。
小野:
確かに、伝統の文化って外から見たらすごく魅力的なのに、地元の人にとっては「当たり前」にあるものとして価値化されていないこともありそうですね。
弘丸:
なんだかんだで大阪の人は、東京をめちゃくちゃ意識してるしね(笑)。だから、俺がSNSの中で泉州音頭についてガンガン呟いて発信してたのを、東京の人たちがキャッチしてくれたのと同じで、それ(東京での盛り上がりを)を逆キャッチみたいなしてもらえないかなあと。実はあんたらの盆踊り、なかなか魅力的なことをやってるんやでって気づいて欲しい。
小野:
地元を盛り上げたいという想いなんですね。
東京にいる泉州出身者にこそ遊びに来て欲しい
弘丸:
もう一つ、今回のイベントで俺が呼び覚ましたいのは、東京何百万人もおる中の、泉州出身者。
弘和:
おるやろな。
弘丸:
何十年も前に東京にやってきた泉州出身者、そういう人らに来てもらいたいねん。
小野:
泉州出身者……。自分の周りでは、あまり聞いたことはないですね。
弘丸:
なんでかって言ったら、暗い歴史やから黙ってんねん(笑)。
小野:
暗くないでしょ!
弘義:
泉州出身者は東京行ったら、出身どこですかって言うたら「泉州」って言えへんと思う。
弘和:
そら、「大阪」って言うわ!
弘丸:
ディープサウス出身であることを公表してないねん。
弘和:
下手したら、泉州から来たって言うたらな、泉州って知らんって言われると思う。
弘義:
多分な、一番最初どこから来たのって聞かれたら「関西から」。関西のどこですか?と聞かれたら「大阪から」(笑)
弘和:
大阪市内にすら、貝塚(宝龍会メンバーの多くが住んでいる町)なんか知らんってやつはいっぱいおる。岸和田、泉佐野は知ってるねん。
弘義:
貝塚って貝がいっぱいあるところですか?って聞かれる(笑)
弘和:
あのな、言うで。小心者多い。井の中の蛙やねん。
弘義:
あのね、泉州の人間ってこっち(地元)におったらね、泉州を誇りに思うように言うてるねん。ところがな(東京とかで)聞くとな、違いますみたいな顔してんねん(笑)。でもな、心の底ではだんじり(祭り)とか好きなんやで。せやのに、よう言わん。
弘丸:
東京にいる泉州出身者は、「あれ(だんじりや盆踊り)良かったな」とか昔を思いながら。でも息子とか嫁はんに(泉州出身と)バレたらいかんって思てるねん。
小野:
バレたらダメなんだ(笑)
弘和:
泉州ってある意味、隔離された土地かもしれん。でもな、どこもそうやけどな。他所から来た人に優しいよ。
小野:
確かに、泉州音頭を踊りに来るたびに、みなさんにご馳走してもらったり、家に泊めていただいたり、めちゃくちゃお世話になってます……。何でそんなに優しくしていただけるのか、と毎回ビックリします。
弘丸:
あんなの(だんじりや盆踊り)嫌いやってん、って言うて出てるはず。嫌いになるのもわかるねん。せやけど、東京で何十年も暮らして、たまに家で焼酎飲んでな、よかったよなあ、あの泉州の祭り……って思てる時があると思う。人知れずやで?
小野:
いや、どういうシチュエーションですか。
しかし、なんでそこまでネガティブな感情を抱いてしまうんでしょうか……。
弘和:
俺な、日本の中で色々な土地があるけど、こんなに祭りとか、盆踊りとか好きな地域ってないと思う。ここに来たら、感じるやろ? 7月には太鼓台があり、7、8月は盆踊りだし、9、10月はだんじり祭あるし。ほんまに忙しいで。昔は、祭り漬けで仕事をしてない人もいたらしい……。まあ、濃い地域やわ。
弘丸:
こっち(泉州)で生きようとおもたら、それせなあかん。それが嫌いで(泉州を)出た人も多いと思う。だんじりとかこういう文化が好きで、こっちで思いっきりやってどっぷり浸かって、うまいことやってる人はともかく。でも、心底嫌いじゃないから。まだ20歳くらいの子はわからんけど、これが40~50になって来たら、(もし東京に来ないで泉州に残ってたら)いま俺太鼓を叩いたりしてるんやろうなあって、絶対思てるねん。そんな泉州人たちが昔を懐かしんで、遊びに来てくれたら嬉しいなあ。
弘和:
忙しいけど、なんやかんやいって年中祭りやもん、楽しいで。住めば都ちゃうか? 東京と違って、仕事がないのがアレやけどな。
泉州音頭が好きやっていう、ほんまそれだけの話
弘義:
でも、今回のイベントで、ひょっとしたら、すごいところに到達するかもわからへん。俺は、そこが目標やねん。
弘丸:
宝龍会は沸き立ってるで!
小野:
ただ、祭りをして、酒飲みたいだけじゃないんですね(笑)
弘丸:
それは90%くらいある(笑)。
でもな、そんないうてたらな。こんな活動できへんねん。だってこっち(泉州)でも、ずっと俺らはボランティアでやってるわけで。何でお前らそんなことするんやって言われたら、誰も分かれへんと思う。でも、これ(昔ながらの泉州音頭)はなくしたらあかんと思てるし、まあ自分も好きだし、やってるだけの話で。
小野:
赤字なんですか?
弘丸:
赤字、全部赤字。盆のヤグラだけやで、お金とってやってるのは。100%赤字、イベントは。こんな事してたらジリ貧になるから、考えていかなあかんのやけどね。入場料もらうとか、儲かってる企業にスポンサーになってもらうとかな。月旅行行くような儲かってる企業は少し出してくれたらよっぽど有意義なんやけどなあ。100万もいらんのやから。でも俺らは、大好きな泉州音頭が消えていきつつある雰囲気を感じたから、ここは必死な動きをしていかなあかんちゃう?っていうて。目先のお金を追ってどんどん消えていくよりも、こうやって赤字のことをやって、「ここに泉州音頭あり」って旗立てる方がええん違うかって俺は思って、それでこうやって東京の人たちと話しできるようになったわけやから。それはそれなりに価値があったかなと思う。
弘義:
いま80くらいの年より人がな、自分が二十歳ぐらいで聴いた音楽とか、観たことある映画に触れると、頭が活性化するねん。
弘丸:
なんか、匂いまで思い出すみたいな。
弘義:
一瞬、その時代に戻れるわけよ!
弘丸:
結局、子供の頃から聴いてきた泉州音頭が好きやっていう、ほんまそれだけの話なんやなあ。このままではなくなってまうでって、なんかしようよって。
小野:
いいですねえ……。みなさん、だいぶ酔っ払ってきたので(笑)、ここまでにしたいと思います。東京の盆踊り好きだけでなく、昔ながらの伝統文化に興味のある人、あるいは昔泉州に住んでいた方など、いろいろな人に遊びに来てほしいですね。
最高なお話をありがとうございました!
2019年3月16日(土)泉州ナイトが開催!
[日 時] 3月16日(土)18時~21時(開場17時30分)
[場 所] 地域プラザBIG SHIP多目的ホール(東京都墨田区本所1−13−4)
[出演] 泉州音頭 宝龍会(from Kishiwada OSAKA)
[入 場 料] 500円(さらにカンパも大歓迎!)
[共 催] 泉州音頭 宝龍会、2019泉州ナイト実行委員会(TOKYO)
公式サイト:http://www.sensyu-night.com/
Twitter:@sensyu_night
Facebook:https://www.facebook.com/events/493780697811531/