東京の浅草寺で行われる「白鷺の舞(しらさぎのまい)」をご存じでしょうか?その起源は、千年以上前の京都の祇園祭の鷺舞にあるという歴史ある神事です。
一時途絶えてしまっていた時期もある鷺舞は、時を超えて復興し伝承されている古典芸能神事。東京浅草では白鷺の舞として年に3回奉納されます。毎年4月の第2日曜日、5月の三社祭、11月3日に披露され、直近では、2023年4月9日(日曜日)に行われます。
ここからは、2019年の現地レポートと2023年の開催情報をお届けします。
そもそも「鷺舞」「白鷺の舞」って?
鷺舞は京都の八坂神社の祇園祭のものが起源で、千年以上前から悪疫退散のために奉納伝承され、非常に盛んであったといわれています。室町時代に長州の守護・大内氏によって山口に伝わり、さらに天文11年(1542 年)に島根県津和野の城主・吉見氏が津和野へ伝えました。
現在、毎年7月20日と27日に津和野町の弥栄(やさか)神社で行われる鷺舞が、国の重要無形民俗文化財に指定され、2022年にはユネスコ無形文化遺産に登録された「風流踊(ふりゅうおどり)」の1件にもなっていて、全国で最もその名が知られています。
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鷺舞は一時、途絶えてしまった時期もあったそうですが、津和野の弥栄神社では京都に人を派遣して八坂神社から伝授され、正保元年(1644年)から復興奉納。本家の京都では戦後に津和野から逆移入するかたちで昭和31年(1956年)の祇園祭から奉納されています。
東京では、昭和43年(1968年)11月に明治100年(東京100年)を記念して、浅草観光連盟によって始められました。慶安5年(1652年)の「浅草寺慶安縁起絵巻」の祭礼行列の中にある鷺舞の姿を、京都祇園祭の鷺舞を基本に復原したものになっています。
千年の時を超えて今に伝わっていると思うと、また味わい深く感じられますね。
神秘的な白鷺の舞、その見どころと魅力
オレンジ通りから響くシャラン…シャラン…という清涼な笛の音と、トーン…トーンと響く太鼓の音が、周囲の空気を一気に神秘的なものに。
その音に合わせて、平安時代を思わせる衣装をまとい、顔を白塗りにして唇に紅をさした子供たちや白鷺を模した装束の演者が片足を上げ、羽を広げて練り歩いてゆきます。
そして、雷門通り、雷門、仲見世を練り歩き、浅草寺本堂へ。
白鷺たちが円になって、舞を披露していきます。
不思議、神秘的だなというのが率直な感想です。
実際に舞っている様子がこちらです。
白鷺たちが羽を広げ、時に頭を下げて音に合わせて粛々と舞ってゆきます。
舞と踊りの違いを良くわかっていなかった私としてはその静かな佇まいに息をのまれました。動いているのに「静」という印象を受けたのが神秘的に感じた理由かもしれません。
みなさんも一度“舞”をご覧いただけると嬉しいです。踊り・ダンスとは違った面白さがありました。
さて、そのような由緒あるお祭りを楽しむ前に実は浅草散策も楽しみました。
お祭りのことだけを知りたい方は読み飛ばしていただけますと幸いです。
白鷺の舞と合わせて楽しみたい浅草散策
白鷺の舞が始まる1時間前に到着し、下見を兼ねて雷門を通り、仲見世、浅草寺本堂に巡ることにした私たちオマツリジャパン写真部一同。
白鷺の舞が開催されるためか、雷門前や仲見世は外国人観光客の方や修学旅行中(?)の学生さんも多く、大変賑わっているように感じました。
浅草寺本堂にたどり着くとお香の匂いが香ってきて、まるでお盆に実家に帰ったような落ち着いた感覚に陥りました。本堂前にあるお香の煙は悪い所に浴びると快方に向かうと言われており、全身に浴びる方、頭を突き出して集中して頭に煙を浴びる方など、それぞれが思い思いの身体の部分に煙を浴びているのが印象的でした。
さらに本堂を抜けたところに屋台が!腹ごしらえをするために牛巻串を私はいただきました。屋台には外国人旅行客も多く、屋台の店主は必要に応じて英語と日本語を使い分けていて、商売魂を感じました。
最後に
浅草は観光地として有名で、私自身何度か足を運んだことがありましたが、今まで全く知らなかった浅草を感じられてとても楽しかったです。
みなさんもぜひ足を運んで普段の浅草とはまた違った表情や空気を感じてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みくださりありがとうございました。
2023年 白鷺の舞 開催情報
■開催日時
奉演 2023年4月9日(日) 午前11時30分~午後2時40分
※その他、5月の三社祭、11月3日(祝)にも行われます
※三社祭での白鷺の舞の奉納の詳細は浅草神社公式HPの三社祭ページをご覧ください
■開催場所
浅草寺境内(東京都台東区浅草2-3-1)
※浅草寺へのアクセスなどは浅草寺公式サイトをご覧ください