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獅子博物館の館長が主催!「全日本獅子舞フェスティバル白岡」が担う役割とは?

更新日:2022/12/1 Yukimasa Inamura
獅子博物館の館長が主催!「全日本獅子舞フェスティバル白岡」が担う役割とは?

日本全国の獅子舞が一堂に集う機会は、なかなかあるものではない。しかも、それを仕掛けているのが、日本初の私立獅子舞専門博物館「獅子博物館」の館長・髙橋裕一さん。この方の熱い想いによってこのイベントは成り立っている。

2022年11月20日、埼玉県白岡市の白岡市中央公民館で「第8回全日本獅子舞フェスティバル白岡 兼 第14回獅子博物館表彰式」が開催され、全国から6つの獅子舞団体が集った。その当日の様子と、髙橋さんへのインタビューを交えながらこのイベントの持つ意味についても考えていきたい。

3年ぶりの一般開催!全日本獅子舞フェスティバル白岡とは?

毎年11月から12月ごろに埼玉県白岡市で開催される獅子舞のイベント。同市にある獅子博物館・館長の髙橋さんが主催している。日本全国の獅子舞が白岡市中央公民館に集い、各団体ごとに個性あふれる演舞を披露するのが特徴だ。

元々は、(公社)全日本郷土芸能協会と各地の機関と獅子博物館の共催で、全国各地で開催してきた「全国獅子舞フェスティバル」が2012年に終了し、その後は内容を刷新して獅子博物館主導のもとで行われている。

コロナ禍で一時、オンラインのみでの開催となったが、今年は3年ぶりに一般客を招いての開催となった。また、白岡駅東口商店会まつりと同時開催だったため、お弁当や名物であるシラオカ麺など、飲食ブースも充実していた。

第8回全日本獅子舞フェスティバル白岡の様子

それでは、今回の獅子舞フェスティバル白岡の様子を振り返っていこう。会場となる白岡市中央公民館は、白岡駅から徒歩5分の住宅街の一角にある。会場に着くと、1,000円で資料(41頁)を購入して入場した。

地元小学生による「小久喜のささら獅子舞」

1団体目は、南小学校郷土文化研究クラブ(埼玉県白岡市)。地元に保存会によって継承されている小久喜のささら獅子舞を習うクラブ活動があるそうだ。

素面に豆絞りで舞っているが、その動きや太鼓の音は、まさに獅子舞そのもの。参加児童は4~6年生で、6年生をA組、5年生をB組、それぞれのお囃子を4年生が行うという構成だった。

30年以上指導にあたっている保存会の方に話を聞くと「450人以上の指導にあたってきて、6人が保存会に加入してくれた」と話されていたのが印象的だった。これだけ長い間指導してきても保存会に入る人は6人。郷土芸能の継承は本当に地道な努力が大事なのだ。小学生たちが太鼓を叩いて頑張る姿はとても印象的で、応援したくなる活動だと感じた。

演舞の途中で子ども獅子が誕生!「誕生獅子」

2団体目は誕生獅子。兵庫県神戸市の生田神社祭礼に奉納するが、活動は都内で行なっている。誕生獅子の名前の由来は、演舞の途中に2頭の親獅子(赤と緑の胴幕)から1頭の小獅子(オレンジの胴幕)が生まれるというという演舞内容による。赤と緑の中間色がオレンジということからも、子どもの色を判別できよう。

激しい演舞が特徴で、会場内の客席まで降りて舞い歩いてくれるなど、サービス精神も旺盛。私の席にも、獅子頭が手で触れられるくらいのところまで近づいてくれた。一番の見どころは、親獅子から子獅子が誕生する瞬間だ。気づかないほどの早さで、いつの間にか親獅子の中から子獅子が飛び出し、一頭増えているのだ。私のYoutubeにてその様子を公開しているが、実際に誕生獅子を見る機会があれば、ぜひその瞬間を見逃さないでほしい。

会津の春の訪れを祝う「下柴の獅子舞」

3団体目の下柴の獅子舞(福島県喜多方市)は、「会津彼岸獅子」の源流と言われており、福島県指定重要無形民俗文化財に指定されている。会津の春を訪れを祝う獅子舞であり、雪が溶け、遅い春を知らせる行事として行われてきた。

近年は、温暖化で雪もなかなか積もらなくなったようだが、その行事は脈々と伝承されている。また、周辺の団体と共同しながら「彼岸獅子サミット」を開催するなど、後継者育成にも力を入れているそうだ。

この獅子舞は異形の頭をかぶり、小さな太鼓を持つ。演舞内容としては、弓舞という演目で獅子が弓をくぐる場面などの見どころがある。以前、会津若松市内にて彼岸獅子の演舞を取材した記事があるので、こちらも参考にしていただきたい。

遠く離れた横浜で受け継がれる岩手の踊り「金津流横浜獅子躍」

4団体目の金津流横浜獅子踊(神奈川県横浜市)は、岩手県の無形民俗文化財である金津流梁川獅子躍を手本として2013年より活動している団体である。

横浜市在住の方が、岩手県のみちのく芸能まつりにて金津流梁川獅子躍に魅せられ、以後、23年間横浜と現地とを行き来して修行。ついに2013年に古式神事に則り、金津流獅子躍の秘伝書が伝授された。そのため、団体としては新しいが、伝統的な舞い方を継承している。その演舞は、ささらの大きさと太鼓の音の重さが相まって、非常に迫力が感じられた。

それにしても岩手県の金津流梁川獅子躍は相当魅力的なのだろう。1964年の東京オリンピックや1970年の日本万国博覧会などで披露されたこともあるとのことで、ぜひ今度はこちらの演舞も生で見てみたいと感じた。

半世紀ぶりに奇跡の復活「登戸の獅子舞」

5団体目が登戸の獅子舞(埼玉県鴻巣市)。この獅子舞は江戸時代から歴史があるものの、1959年に後継者不足などの理由で途絶えてしまった。しかし、1997年に獅子頭を修理したことをきっかけに復活の機運が高まり、登戸獅子舞保存会が発足して、2006年に約半世紀の時を経て奇跡的に復活した獅子舞である。

獅子舞が半世紀ぶりに復活というのは全国的にも稀な事例であり、伝承元である原馬室(はらまむろ)の獅子舞の有志とも連携しながら復活させたようだ。

演舞内容としては、2頭の雄が1頭の雌の気を引こうと争う様を表現した演目があり、桜の木に雌を隠してしまったり、ライバルが眠っている時にアピールをしたりと、そのストーリーも見どころ満載であった。

難易度の高い芸とユーモアが魅力「丸一仙翁社中」

最後の演舞は、江戸太神楽・丸一仙翁社中(東京都文京区)。代表の丸一仙翁は江戸太神楽の13代家元としてご活躍されており、舞台、テレビ、映画出演等幅広いご活動をされている。

太神楽は元々、江戸時代に伊勢(三重県)や熱田(愛知県)などを中心に全国に広がった芸能だ。神社への奉納芸であったものが、徐々に寄席のような娯楽の席で上演されるようになり、余興だった芸がより前面に出る形で人気を博すようになった。

今回も前半は獅子舞を演じておられたが、後半はユーモア溢れるさまざまな芸が続いた。写真のものは、傘の上で玉を転がすという技で、3人が同時に玉を交換し合うなど、その難易度は高い。腕の角度や回し方など、少しでも狂ったら成り立たないため、熟練した技能が必要であり、緻密な仕事だと感じた。一方で、わざと失敗して笑いを取ることもあり、それもすごいと感じた。

このように、全国から集まった獅子舞団体にはそれぞれとても個性があり、また三匹獅子舞、獅子躍、太神楽など、獅子舞のさまざまな形態を1日で鑑賞できるため、獅子舞文化への理解を深める良い催しだと感じた。

獅子舞に携わる団体や個人への表彰

また、今回の獅子舞フェスティバル白岡の特色として、功績ある団体や個人を表彰するということも行われている。今回は沖縄県の獅子舞を撮影して写真集を出した方と埼玉県の獅子舞を撮影・記録した方の2名が「獅子博物館賞」として表彰されていた。

そのほか「獅子博物館奨励賞」「獅子博物館特別賞」の贈呈なども行われ、今回獅子舞を披露した6団体には感謝状も送られた。このような表彰の場があることで、個人や各団体が切磋琢磨したり情報交換したりする機会が自然とできているようにも感じられた。

獅子博物館の館長・髙橋さんの継承への想い

イベント終了後、全日本獅子舞フェスティバルを主催されている髙橋さんに、お話を伺うことができたのでご紹介したい。獅子舞団体1つ1つに個性があることを強調されていたのが印象的だった。

―――本日は獅子舞フェスティバル白岡を開催されてみていかがでしたか?

髙橋さん:今回、3年ぶりの一般開催でした。集客には苦労しましたが、内容的にはとても喜んでもらえるイベントになったかと思います。

当方と交流の深い団体にお声がけして、6団体が集まってくださいました。芸能は土地の顔なので、一つ一つが違っておりまして、優劣はつけられないなと改めて実感しました。

そのなかでも、頑張っておられて特色がある団体をジャンルが被らない形でお声がけしました。獅子舞、獅子躍など「シシ」の芸能は姿かたちが違っていても、一本の糸でつながっています。

コロナ禍で辞めてしまうところも多いですが、なんとか工夫して続けておられる団体を大いに応援したいです。このような経緯もあり、今後の獅子舞フェスティバルの開催方法については、検討が必要と思っています。

全日本獅子舞フェスティバル白岡を終えて

今回の獅子舞フェスティバル白岡では、ささら、獅子躍、太神楽など、「シシ」と名のつくさまざまな芸能を一箇所で見ることができたのが、とても面白かった。また、獅子舞にもさまざまな特色があることを知れる良い機会であり、出演団体にとってもお互いに良い刺激になったことだろう。

全国的には地域ごとの獅子舞フェスティバル、共演会、郷土芸能祭などは数多く存在するが、全国から獅子舞が集まるという機会は珍しい。ここでしか味わえなかった雰囲気を噛み締めながら、帰路に着いた。

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この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国300件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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