日本最初の世界遺産「法隆寺」。
1000年以上前に建立され、今なお威厳を保つ日本を代表するこのお寺はJR奈良駅から10分程のJR法隆寺駅が最寄りです。
実は、この駅には法隆寺に負けも劣らぬ魅力を持つお祭りがあります。それは、毎年2月11日に広瀬神社で行われる「砂かけ祭」です。
今回は普段は神輿の祭りばかり言っている筆者が現地で参加してきました!迫力ある砂かけまつりを速報レポート!
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。 2020年1月25日 編集部更新)
由緒正しき広瀬神社
JR法隆寺駅から法隆寺とは反対側の道を進むこと30分。大和川と富雄川の合流地点付近に立派な朱色の鳥居とともに広瀬神社は悠然と佇んでいます。
この神社はその昔は「官幣大社」にも登録されており、歴史ある神社として1300年前から鎮座しています。
毎年2月11日に開催される「砂かけ祭」
広瀬神社では毎年2月11日に拝殿及び拝殿前で「御田植祭(おたうえさい)」が行われます。
御田植祭とは、古来から行われる豊作を祈る祭礼です。通常の御田植祭は実際の田植の時期に田圃で行われますが、ここ広瀬神社では一足早い2月に少し変わった形式で行われます。
広瀬神社の御田植祭は午前の「殿上の儀」と午後の「庭上の儀」の2部構成になっています。「殿上の儀」は、拝殿を田に見立てて、苗代作り・籾撒き・苗取り・田植えを行っていきます。
「庭上の儀」では、拝殿前の広場に竹を4本立て、注連縄を張って田に見立てていきます。ここで苗代作り・田作り・田植えを行っていきます。
この「苗代作り」と「田作り」の際に出てくる田人や牛と参拝者が互いに砂を雨粒に見立てて掛け合います。
この様子から「砂かけ祭」と言われるようになりました。
細かいことは、後回し!砂かけの様子をレポート!
到着したのは13:00頃。参道には地元の方々が露店を出していてアットホームな雰囲気。
既に拝殿前には多くの人が集まり、拝殿では奉納太鼓の最中でした。
拝殿前には田圃も準備万端。
14:00前には多くの人が田の近くに集合。皆、重装備で気合満点。
「レインコート」「軍手」「ゴーグル」「マスク」が4点セットとのこと。
子供達は、既に泥だんごを作って臨戦態勢。
そこに太鼓の音に合わせて、田人(たひと)が登場。
鍬を持って、田の中をぐるっと一周します。その後、一周した後は拝殿に向かって一礼。
そして、おもむろに、、、
始まった!!
子供だけでなく、地元の人たちが勢い良く田人に向かって砂を掛けまくる。
奈良の #広瀬神社 にて本日行われた #砂かけ祭 pic.twitter.com/hF2SfwIguj
— オマツリジャパン (@omatsurijapan) 2019年2月11日
5分ほどすると太鼓の音が鳴り、終了。田人は帰っていきます。
数分後にはまた、新しい田人が登場。このやり取りを10回繰り返していきます。
5回目からは、牛と田人のペアで出てくるようになります。
砂かけの勢いは凄まじいの一言。
境内に安全地帯など無く、どこもかしこも砂あられ。
カメラマンも油断することなかれ、高級なカメラにもお構いなしに砂をかけていきます。
子供達も負けていない!ドンドン追いかけて砂をかけていきます。
砂かけで終わらない、最後は皆さん大好きなアレで締めます。
10回目ともなると、田人も牛も参拝者もヘトヘト。終わりの太鼓が鳴ると自然と拍手が沸きます。
「苗代作り」と「田作り」でよく耕された田に早乙女が2名出てきて、田植えを行っていきます。
松の葉を苗に見立てて、綺麗に田植えが完了。
ここで、かけ声が一言「はい、どうぞ」 一斉にみんな飛び出します。
あっという間に苗は無くなりました。笑
最後には、田があった場所に櫓が設置されて恒例の「田餅」と「松苗」が参拝者に撒かれて行事は締めくくられます。
何故砂をかけあうのか?
それは、砂を雨粒と見立て、激しい雨を降らすことで秋の豊作を願う意味が込められています。この広瀬神社には、水の神であり、田を守る神が祀られています。
また、行事の最後に撒かれる「松苗」は、松葉で作られており、中には籾種が入っています。この地域の方々は昔からこれを持ち帰り、自分たちの田圃の水口に刺しておくそうです。
「松苗」には、悪病・害虫・悪水から田圃を守ってくれる効果がるとのこと。
また、一緒に撒かれる「田餅」を食べると無病息災で過ごすことができるそうです。
戦利品の松苗と田餅を片手に帰路につく。
伝統がありながら、誰でも参加することが出来るこの祭り。是非2020年はあなたも参加してみてはいかがでしょうか?!
※その際には、レインコートだけでなくゴーグルを装備する事を強くお勧めします!!