\阿波踊りとよさこいを比較!/
今回、ご紹介するのは阿波踊りのプロ集団寶船(たからぶね)さんが書かれたブログ記事です。
阿波踊りのプロから見た、よさこいとは?なぜ、よさこいは演者の年齢層が若いのか?阿波踊りのプロならではの視点から書かれた記事ですので、阿波踊り好きの方や、よさこい好きの方にぜひ読んでいただきたいと思います!
寶船(たからぶね)について
「寶船(たからぶね)」は日本初のプロ阿波踊りのプロ集団です。本場・徳島県出身の米澤曜(あきら)さんが主宰を務め、国内はもちろん毎年世界ツアーを実施し、公演数は年間300ステージを越え、世界38都市で絶賛されています。
以下、寶船HPより引用です。
400年の伝統を誇る日本の祭り、阿波踊り。その伝統芸能を熱く、激しく、そして純粋に踊り狂う若者たち。それが、「寶船(たからぶね)」です。
阿波踊りの本場、徳島県出身の米澤曜(あきら)が主宰となり、1995年に東京で発足。芸能として本格的な阿波おどりを目指し活動を開始しました。その後、熱いパフォーマンスが話題となり、各メディアからの出演依頼・取材依頼が殺到。
阿波踊りを主軸に新たな日本芸能の可能性に挑む、今注目のエンターテインメント集団です
…ちなみに、オマツリジャパンと寶船さんは、一緒にこんなお仕事もしています!
「寶船」の皆さんをFOODEX JAPAN2019に出演コーディネート
そんな寶船さんが書かれたよさこい⇔阿波踊り比較記事。
下記、寶船さんのブログより、許可をいただいてご紹介します!
本日からアブダビ公演がはじまります。
午前中時間があったので、『原宿表参道元氣祭スーパーよさこい』を観に原宿へ。阿波踊りとのカルチャーの違いを知れてとても勉強になりました。
何度もよさこいは観てるし、よさこいイベントにも出演してるのですが、今回盛り上げるロジックや美学の違いが腹落ちできました。年齢層とか踊り子さんの雰囲気も阿波踊りと違っていて、本質を実感できた感じです。
せっかくなので、ここに言語化しておきます。
阿波踊りでもすぐに真似したいアイデア
私のような阿波踊りをやっている人間にとって、時代の変化を取り込み、若者を巻き込むことに成功したよさこいには、学ぶことがたくさんあります。
すぐ真似できて、超いいアイデアだと思ったのは、流しの演舞場(ストリート)に、「50m」「100m」「150m」と進んだ距離を表す看板があったこと。踊り子が見える位置に設置されてました。
演者は一心不乱に踊ってるので、配分を考える余裕がありません。そんな時「あとどのくらいでゴールだっけ、、」って思うんです。阿波踊りでもあったらいいなぁ!
阿波踊りと同じだなと思ったのは、やはり「人数至上主義」と「統一性至上主義」の思想が根深いなと思ったところ。逆に言えば、この現状で全く違う方法論で大衆性を獲得したチームが次の勝者になりそうでした。
欲求を”不純ではないもの”として昇華している
そして、阿波踊りに比べると、やはり圧倒的に踊り子の年齢層が若いです。おそらく平均年齢は大学生くらい。
その層に刺さるようなエクスタシーの設計が阿波踊り業界よりも上手くできてて、やはりさすがだと感じました。
しかし想像より年配の方もいらっしゃって、そんな方々が笑顔で踊る姿はとても素敵でした。
祭りで実は重要なのは、ヤンキー文化、ホスト文化、ビジュアル系文化、クラスのアイドルに憧れる文化など、時代を越えて若者が一度は通る欲求を、違うコーティングをして出してあげること。
よさこいは、それができている。これが成功の要因な気がします。めっちゃいい意味で。
よさこいの踊り子さんは、非行に走ってもないし、圧倒的なカリスマでもないレイヤー。この中間層のイケメンや美人に憧れカッコよく/可愛くなりたい気持ち、晴れの日だけでも自分を盛りたい気持ち、そして大衆性を獲得し他者からの承認を得たい欲求、何か自己実現をしたい欲求をうまく織り交ぜています。
ここが大きなポイントな気がするんです。
ほとんどの若者は、突き抜けた愚行に走らないし、ドヤるほどのインフルエンサーにはならない。優しく純粋で、でも未来への不安が少しある。そして、何かに振り切って輝きたい憧れをいつも持っている。
この層の深層心理を芸能に取り込み、さらにその欲求を”決して不純ではないもの”として昇華してる。
だからよさこいは抵抗感が少なく、やりたい人が増えるんだなと腹落ちできたんです。
よさこいと阿波踊りはロジックが対照的
一言で言うと「よさこいは、青春のエクスタシー」だと思いました。
だからこそ、よくも悪くも孤独に向かわず集団的意識が働き、「みんなで楽しく」がコンセプトになる。動きも揃えていく心理は、きっと「みんなと1つになって孤立を緩和する」という作用があるから。
阿波踊りは、ロジックが真逆なんです。
阿波踊りは、踊る阿呆になることが本質だから、「心の露出狂」であり「生命力の格闘技」であり「自由の獲得」です。人間の醜さや歪さ、コンプレックスをいかに昇華するかが面白さ。その人らしさを出してアベンジャーズになるのが醍醐味。
よさこいは対照的で、「人生の楽しく輝ける瞬間を皆で味わおう!」かな。青春という刹那を謳歌する輝きですね。(*ここでの青春とは、若い時期のことではなく「青春と呼ぶべき輝ける時間」という意味)
これは、どちらも大切で、どちらも世界を豊かにする役割があると思いました。比べるものではなく、どちらも価値がある。
若者の孤独に対するセーフティーネットの役割は「よさこい」が担えるし、アイデンティティを獲得し自分の人生を生きるという擬似体験には「阿波踊り」が格別だと思ってます。
表層的な批評より、文化の本質は何かを探求したい
よく阿波踊り業界で「ダンスっぽいからよさこいみたいだ」とか「生演奏じゃないならよさこいになる」とかいう方がいるけど、文化の歴史と現状を把握して本質を見極めないと、よさこいにも阿波踊りも失礼だなと思うんですよねー。
お互いの芸能の本質を理解し、高め合えたら最高ですよね!!
引用:「よさこい」と「阿波踊り」の違いを言語化したら、どちらの価値も腹落ちできた話 | | TAKARABLOG(タカラブログ)
トップ画像引用:「よさこい」と「阿波踊り」の違いを言語化したら、どちらの価値も腹落ちできた話 | | TAKARABLOG(タカラブログ)