「ゑびす祭」が開催される海神社
日本の政治の中心は江戸時代に東京に移りましたが、天下の台所は変わることなく大阪が経済をリードし続けています。無数の商人が商売を競う関西地方では各地で、年始に商売繁盛を願う行事が行われています。1月9日から3日間行われる「十日戎」では、軽やかなお囃子に合わせて、「商売繁盛で笹持って来い」と歌われるのです。兵庫県神戸市に社殿を構える海神社(わたつみじんじゃ)でも、「ゑびす祭」が開催されています。
約1800年の歴史をもつ神功皇后ゆかりの神社
海神社の創建は今から約1800年前に遡ることができるようです。神功皇后が三韓征伐からの帰路の垂水沖で暴風雨のため身動きがとれなくなりました。そのとき綿津見三神を祀り航海の安全を祈願すると風波がおさまったのです。そこに社殿を建立したことに始まると伝わります。以来、航海安全、漁業繁栄の神として地域の人々の信仰を集めました。
バラエティー豊富な縁起物
「ゑびす祭」が開催される3日間は、神社の境内にバラエティー豊富な縁起物が溢れます。福笹をはじめ、熊手、福箕、宝船、福俵、稲穂などに恵比寿様、お多福、大判小判、鯛などがデザインされます。熊手を使えば福をかき込むことができるでしょう。福箕では福をすくいとることができるでしょう。
七福神が勢揃いする境内を取り囲む露店
縁起物の授与所の他にも数々の露店が境内を取り囲みます。本殿の西にはえびす様を含む七福神が勢揃いしています。穏やかな笑顔からは福が滲み出ているようです。
本殿の北では、「かわらけ割」の祈願をすることができます。竹の棒に挟んだ「かわらけ」に息を吹きかけ、鬼の像で割るのです。赤鬼には諸願成就、青鬼には厄除けのご利益があると言われています。
「ゑびす祭」と同時開催される「とんど祭」
海神社では「ゑびす祭」の中日に「とんど祭」が行われます。10日に訪れると一日で2つの季節行事を体験することができます。
海神社は、JR山陽本線と山陽電鉄の垂水駅の南に隣接しています。JRの垂水駅のホームからでも社殿を確認することができます。
兵庫県神戸市の海神社では、例年1月9~11日に「ゑびす祭」が開催されています。七福神が勢揃いする神社の境内は、バラエティー豊富な縁起物で溢れます。期間中には「とんど祭」も行われ、一日で2つの新春行事を体験することができます。