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日本三大盆踊りとは?いつ開催?阿波おどり、郡上おどり、もう一つはどこ?

日本三大盆踊りとは?いつ開催?阿波おどり、郡上おどり、もう一つはどこ?

日本の夏祭りの代表格といえば「盆踊り」。日本全国の広場や寺社の境内などで行われているので、誰もが一度は近所の盆踊りに行ったことがあるのではないでしょうか。

なかでも特に規模が大きくて歴史があり、昔ながらの形態や伝統を色濃く残す次の3つの盆踊りは「日本三大盆踊り」と称されています。

◎阿波おどり(徳島県徳島市)
◎西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)
◎郡上おどり(岐阜県郡上市)

この記事では盆踊りの起源や歴史、日本三大盆踊りがそれぞれどんなお祭りかなどと、あわせて今年2023年の開催についてもご紹介します。

(この記事は2022年に公開されたものを再編集しています。2023年8月15日 編集部更新)

盆踊りの起源と歴史は?何のために踊る?

日本における「踊り」とは、「素人・大衆の中から生まれた、集団での踊り」とされています。よく似た言葉で「舞」がありますが、特殊技能を持つ人が舞台装置の上で行う舞は、厳密には起原が異なり発展の仕方も違うため別のものといえるでしょう。

日本で最もポピュラーな踊りである盆踊りは、平安中期の僧・空也上人が始め、鎌倉時代の時宗の開祖・一遍上人が全国に広めた「踊り念仏」を起源と考える説が有力です。

国立国会図書館デジタルコレクションより『一遍聖絵 巻4』

踊り念仏とは、念仏を唱えながら踊る仏教の修行。「南無阿弥陀仏を唱えることで、穢れたものでも極楽往生が叶う」という一遍上人の明快な教えと、それを踊りながらある種のトランス状態で実行したこと、集団行動によって互いの感情に強い共感性が生まれたことも相まって、踊り念仏の布教は爆発的に広がったといわれます。

その一方、踊り念仏はお盆の行事と結びつき、先祖の霊を迎え、死者を供養するためにも踊られていました。大地を踏みしめて踊ることには、死者の魂を鎮めてあの世へ送り出す意味合いもあったようです。なお、盆踊りの起源や変遷については下記の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。

室町時代に入ると、都市部の町衆を中心に踊り念仏は「風流(ふりゅう)踊り」へと変化を遂げていきます。風流とは人目を引くような派手で華やかなものを良しとする美意識のことで、派手な衣装を着たり、鬼や人以外の扮装をして踊るのが大流行しました。

狩野長信『花下遊楽図屏風』左隻

風流踊りが盛んになるにつれ宗教色が薄れ、やがて踊りの場は「日常の憂さ晴らし」「男女の出会いの場」となっていきます。江戸時代になると、あまりにも風紀を乱し、治安の悪化を招くとして幕府や藩から規制や弾圧の対象になりました。

取り締まりには地域によって濃淡があり、そのため日本三大盆踊りは消滅せず伝統を継いでいくことができたともいえますが、江戸時代の規制下で「阿波おどり」と「郡上おどり」がどんな状況にあったのかは、下記の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

明治時代に入り西洋の文化が浸透すると、盆踊りはますます風紀を乱すわいせつなものとして警察に禁止され一時的に衰退してしまいます。しかし大正時代に生活の中から美を発見する「民藝運動」が起こったことを一つのきっかけとして、昭和初期にかけて復活しました。
戦後以降は宗教的な意味がほぼ完全に薄れ、お盆を中心とした夏の時期に行われる年中行事、お祭りの一つとして盆踊りは行われています。

それでは、盆踊りのルーツが分かったところで、ここから3つの盆踊りについて紹介しましょう。

阿波おどり(徳島県徳島市)

KPG_Payless / Shutterstock.com

「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」の有名な囃子言葉で知られる徳島県の「阿波おどり」は、毎年8月12日~15日の4日間行われます。

一年中、技術を磨いている踊り手たちの華麗な演舞を観る祭りというイメージが強いため、「阿波おどりって盆踊りなの?」という疑問がよく聞かれますが、阿波おどりの起源も先述の踊り念仏といわれます。

徳島市の津田地区では毎年お盆になると、昔ながらの衣装を来た踊り手が海に向かって「お父もんてこーい(戻ってこーい)」と呼びかけ、遭難者に精霊踊りを捧げる風習が今も行われています。お盆の鎮魂のための踊りが、阿波おどりの歴史に織り込まれている一例といえるでしょう。

 

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また、1586年頃に徳島藩の蜂須賀家政が、徳島城の築城記念として城下の人々に城内での無礼講を許し、踊られたという話や、戦国時代末期の勝瑞城では風流踊りが行われていたという話も伝わっています。

阿波おどりには、法被姿で力強くダイナミックに踊る「男踊り」と、浴衣に編み笠と下駄姿で踊る優美な「女踊り」があり、どちらも賑やかな鳴り物の軽快なリズムに合わせて踊ります。「連」と呼ばれる踊りのグループが、多種多様な個性的な振り付けでそれぞれの踊りを披露し、全国から集まった踊り手が技を競い、熱気に包まれます。

例年、いろいろな連の踊りをじっくりと観賞したい方のために、街の中の演舞場沿いには有料桟敷席が設けられます。観光客でも当日に踊りを教わってすぐ参加できる「にわか連」や、街角で演奏されるお囃子の前で輪になって、誰でもいつでも出入り自由で踊れる場所も。

街中のいたる所が踊る人で埋め尽くされ、海外から毎年この日のためにやってくる熱狂的なファンも多数いる、名実ともに日本最大の盆踊りです。

2023年は、8月11日(金・祝)に前夜祭がアスティとくしまで行われ、8月12日(土)~15日(火)の4日間の予定でしたが最終日の15日は台風の影響で中止となりました。詳細は阿波おどり公式サイトでご確認ください。

西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)

秋田県羽後町の西馬音内(にしもない)地区で、毎年8月16日~18日の3日間、夕方から夜遅くにかけて行われるのが「西馬音内盆踊り」です。700年以上の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されているこのお祭りの期間中は、人口15,000人ほどの羽後町に、約10万人もの観光客が訪れます。

様々な布をはぎ合わせて仕立てた端縫い(はぬい)と呼ばれる衣装や、藍染め浴衣を着た踊り手たちが、頭には編み笠、または真っ黒い彦三頭巾(ひこさずきん)をすっぽりと被り、かがり火に照らされている光景は、まさに非日常の空間。哀愁漂う笛のお囃子に合わせ、反らせた指先も美しく優雅に流れるような所作で踊る光景は、幻想的で美しく一度見たら忘れられません。

起源については明確な記録が残っていないものの、鎌倉時代に源親という修行僧が蔵王権現(現在の西馬音内御嶽神社)を勧請し、その境内で豊年祈願として踊らせたという言い伝えが残っています。
また、関ヶ原の戦いで敗れ1601年に滅んだ西馬音内城主の小野寺一族を偲び、臣下たちが法泉寺境内で行った「亡者踊り」も加わって発展、形作られてきたともいわれています。

西馬音内盆踊りの振りは、優雅で静かな抑揚のある踊りの「音頭」と、テンポが速い踊りの「がんけ」の2種類で構成されています。笛・三味線・大太鼓・小太鼓・鼓(つづみ)・鉦(かね)などの楽器が使われ、寄せ太鼓・音頭・とり音頭・がんけの4種類の音楽で構成されるお囃子も見どころのひとつです。

2023年も、8月16日(水)~18日(金)の3日間、開催されます。開催時間は16日と17日は19:30~22:30、18日は23:00までで、会場は羽後町西馬音内本町通りとなります。詳細は羽後町公式サイトの「西馬音内盆踊り」のページなどからご確認ください。

郡上おどり(岐阜県郡上市)

「郡上おどり」は、「奥美濃の小京都」と呼ばれる城下町・郡上八幡で、例年7月上旬~9月上旬にかけて、31夜にわたり行われるお祭りです。メインとなるお盆の4日間(8月13~16日)に開催される「徹夜踊り」には、毎年多くの人が訪れ、浴衣に下駄姿で踊りに参加します。

郡上おどりの起源については詳細な記録が残っていませんが、江戸時代に、藩内の村々で行われていた盆踊りを城下に集めたのが始まりとする説が有力です。

江戸時代には幕府による盆踊りの取り締まりが行われましたが、徳島などに比べると遥かに盆踊りが小規模だったため、それほど規制を受けなかったと考えられます。また、藩の家臣たちが興味を示すこともあまりなく、比較的寛大な対応を藩が取ったおかげで、郡上おどりは平和的に近代まで受け継がれてきました。

郡上おどりの特徴の一つは、観光客も地元の人も一緒に輪になって踊ることで、お祭りの期間中は町内の通りや広場、神社などで順次開催され、全日程で市街地を一巡します。

また、他の盆踊りと比べて踊り曲の多さも特徴です。一番知名度の高い「かわさき(郡上節)」は上品でゆったりとした節回しで、郡上の山や川が織り込まれた優雅な振付がついています。他にも軽快なリズムと威勢の良い踊りが印象的な曲「春駒」など、10種類の多様な旋律の曲があり、それぞれに合わせた踊りが見どころであり、踊るときの魅力でもあります。

2023年は7月15日(土)から9月9日(土)までの間で通算31夜開催されます。詳細な日程は郡上八幡観光協会公式サイトでご確認ください。
4年ぶりに復活した「徹夜踊り」は8月13日(日)~16日(水)の4日間で、20時から最長で翌朝5時頃まで行われる予定です。台風の接近にともなう開催の有無は当日の判断と発表になります。郡上踊り運営委員会のFacebookまたは「TABITABI郡上」の新着ニュースなどで最新の発表を必ずご確認のうえお出かけください。

おわりに

盆踊りの一般的な起源とされる踊り念仏や、亡くなった人の鎮魂のための踊りなどをルーツに持ちつつ、地域の特性と結びついて独自の発展を遂げてきた「日本三大盆踊り」。それぞれ現在のかたちは違えど、歴史と伝統が受け継がれてきた背景には人々の思いが込められているのが感じられます。その土地の空気に触れ、現地の人たちとの一体感を感じられる盆踊りに参加すれば、きっと新鮮な感動と発見があることでしょう。

また、令和になった今、現代風にアレンジされ進化した盆踊りが全国各地で次々と誕生しています。お住いの近くで行われる盆踊りに行って、盆踊りの起源とたどった道筋に思いを馳せながら踊ってみると、きっと前よりも楽しく踊れるのではないでしょうか。今年は全国各地で開催されている盆踊りに出かけてみませんか?

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
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