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日本三大裸祭りとは?黒石寺蘇民祭、国府宮はだか祭、もう一つはどこ?

日本三大裸祭りとは?黒石寺蘇民祭、国府宮はだか祭、もう一つはどこ?

厳寒の凍てつく空気の中、下帯姿、つまりふんどし一丁だけを身に着けた男たちが巨大な規模で壮絶な揉み合いを繰り広げる「裸まつり」。全国各地で開催されているため、「三大」となると諸説ありますが、

◎西大寺会陽(岡山県岡山市)
◎国府宮はだか祭(愛知県稲沢市)
◎黒石寺蘇民祭(岩手県奥州市)

の3つは、「裸祭りの旬」ともいえる旧暦の正月前後の1~2月に行われ、いずれも一年の福を求めて激しい争奪戦となることで特に有名なお祭りです。

折しも黒石寺蘇民祭が、「祭りの中心を担う関係者の高齢化と担い手不足」により、今年2月の開催を最後に終了となることが報道され、様々な反響が巻き起こっています。

いずれも「奇祭」と呼ばれるほど独特の特徴を持つ裸祭りとは、一体どのような内容や見所を持つお祭りなのでしょうか?今回は3つの祭りを中心に、日本を代表する裸祭りを紹介します。

(この記事は2023年に公開されたものを再編集しています。2024年1月編集部更新)

西大寺会陽(はだか祭り)/岡山県岡山市

西大寺(さいだいじ)の会陽(えよう)は、奈良時代に始まったといわれます。
その頃から西大寺では、前年の人々の悪い行いを仏前で懺悔し、新年の平安や息災を祈るため、旧歴の正月元日から14日間「修正会(しゅしょうえ)」が行われていました。

永正7年(1510年)の忠阿(ちゅうあ)上人の時、修正会の最終日に参詣した信者に守護札を出したところ、いただく者は福が得られると希望者が続出したそうです。やむなく彼らの頭上に投与したので奪い合いとなり、参詣者はより自由に動けるよう裸になって水垢離(みずごり)で身を清めて臨むようになり、今日の会陽の原形ができあがったと伝えられています。

現在、投下されるのは2本の「宝木(しんぎ)」ですが、その熾烈な争奪戦が祭りのクライマックスであることは変わりません。例年2月の第三土曜日の深夜、西大寺観音院本堂の御福窓(ごふくまど)から宝木が投下されるや、約1万人の下帯姿の男たちが激しくもみ合い、奪った宝木を境内の外に持ち出した人が「福男」として認定されます。

コロナ禍によって全面中止を余儀なくされていましたが、2023年2月18日には3年ぶりの有観客、一般の参加者ありで開催。ただし、宝木の争奪戦は無しで祝主に直接投下され、「少年はだか祭り」も中止でした。

2024年は2月17日(土)開催、4年ぶりに宝木争奪戦が復活!宝木投下は22時の予定です。そのほか少年はだか祭り、会陽甚句の演舞、会陽冬花火などもみな復活して行われます。

国府宮はだか祭/愛知県稲沢市

尾張大國霊神社(おわりおおくにたまじんじゃ)、通称・国府宮(こうのみや)のはだか祭の正式名称は「儺追神事(なおいしんじ)」。今から約1250年前、奈良時代の神護景雲元年(767年)に、称徳天皇が悪疫退散の祈祷を全国の国分寺に命じたことがきっかけで始まったと伝えられています。

例年、旧暦正月13日に42歳と25歳の厄年の男を中心として、ふんどしに白足袋の8,000人もの男たちが集結。裸になれない老若男女が願いを込めた「なおい布」を結び付けた「なおい笹」を担ぎ、威勢よく境内へ駆け込み奉納します。

その後、祭りはクライマックスへ。神籖によって選ばれた「神男(しんおとこ)」に触れると厄が落とせるという信仰にのっとって、密かに登場した神男に触ろうと裸男たちが殺到し、凄まじい揉み合いになります。浴びせられる手桶の水に裸男たちが怯む隙をついて、神男は参道から儺追殿を目指す約60分間が最大の見どころです。

新型コロナウイルスの影響により中止が続きましたが、2023年は3年ぶりに復活開催。感染防止ガイドラインにのっとり、参加者を条件付きで絞ったり、集団参加の人数を制限したりなど工夫して、2月3日に無事に開催されました。その際の熱狂の現地レポートもぜひ併せてご覧ください!

2024年も2月22日(木)に開催されます。はだか同士がぶつかりあう、町中が興奮のるつぼと化す一日をぜひお見逃しなく!

黒石寺蘇民祭/岩手県奥州市

黒石寺蘇民祭

蘇民祭(そみんさい)そのものは岩手県内の複数の地域で行われていますが、黒石寺(こくせきじ)のものが最も有名で、1,000年以上の歴史を持つお祭りです。旧正月7日の深夜から翌朝にかけて行われ、厄払いと五穀豊穣を祈願します。

蘇民祭は、「備後国風土記」に記されている人物、蘇民将来(そみんしょうらい)の説話が由来とされています。ある日、武塔神(むとうしん。牛頭天王やスサノオノミコトと同一神とされる)から一夜の宿を乞われた蘇民将来は、その貧しさにもかかわらず快く泊めてあげたことから、子々孫々までも厄除けの加護を受けたというのが説話の内容です。

例年約3000人もが訪れ、男たちは下帯1枚だけの裸になり、災厄を払い五穀豊穣を願う「裸参り」にはじまり、「柴燈木登り(ひたきのぼり)」「別当登り(べっとうのぼり)」「鬼子登り(おにごのぼり)」と呼ばれる儀式を夜通し行うなど、エネルギッシュなお祭りです。

一番のハイライトは翌日の日の出の直前まで繰り広げられる「蘇民袋」の争奪戦。厳寒をものともせず裸の男達のエネルギーが激しくぶつかり合う様が見所です。

2020年に開催されたときの、現地からの詳しいレポートもぜひご覧ください。

コロナ禍では中止が続きましたが、2023年は3年ぶりに復活して開催。ただし規模が縮小され、御祈祷・夏参りのみを1月29日の午前中に行い、裸参りの一般参加者は50人に制限されました。

そして2024年は、2月17日(土)の18:00~23:00に開催。今年で1000年以上の歴史に幕を下ろすことになります。2025年以降は儀式のみが行われることになっていますので、一番の見どころである「蘇民袋争奪戦」などは、今年が見納めとなります。ぜひ一瞬一瞬を目に焼き付けたいですね!

日本三大裸祭りの異説

日本では数多くの裸祭りが行われているだけあって、三大裸祭りに名が上がる祭りは他にもあります。その中からいくつかを簡単にご紹介しましょう。

◎古川祭り・起し太鼓/岐阜県飛騨市

古川祭は、町内にある気多若宮神社(けたわかみやじんじゃ)の例祭で、400年の伝統を持つ飛騨に春を告げる祭。毎年4月19日・20日の2日間にわたって行われ、神事である「御神輿行列」を中心に、「動」の起し太鼓と「静」の屋台行列が二大祭事として加わり、3つの行事群が見所です。

 

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◎若宮八幡秋季大祭 裸祭り/大分県豊後高田市

旧暦の10月14・15・16日の3日間の潮位を優先し、最も近い金・土・日曜日に開催。寒風の中、肌をあらわにした男たちが凍てつく川に入り、重さ1トンもの神輿を担いで練り歩く勇壮な「川渡し」が一番の見どころです。巨大たいまつの炎と鳴り響く太鼓の音が荘厳さも感じさせてくれます。

◎筥崎宮の玉取祭り(玉せせり)/福岡県福岡市

毎年1月3日に筥崎宮(はこざきぐう)で行われている神事です。「競り子」と呼ばれるふんどし姿の男衆が2組に分かれ、掛け声とともにぶつかり合いながら、木製の玉を奪い合って末社から筥崎宮まで運びます。

◎四天王寺どやどや/大阪市

新年の五穀豊穣・天下泰平を祈願する正月の法要「修生会(しゅしょうえ)」が行われ、その最終日の毎年1月14日に開催されるのが「どやどや」です。梁の上から牛王宝印(ごおうほういん)という護符が投げ入れられ、下帯姿の男衆が奪い合います。

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